【詩】うたを忘れたカナリヤ

うたを忘れたカナリヤは
人に恋をしてしまい
うたを歌わなくなりました

うたを忘れたカナリヤは
いつもあの人を思うが余り
檻の出方も忘れました

うたを忘れたカナリヤは
毛をつくろう事もせず
ただの鳥になりました

誰かが舟をこしらえて
月夜の海に流したら
うたを歌えるようになるのかしら?

いえいえ
うたを忘れたカナリヤは
うたを歌うのやめました
カナリヤであることやめました

そして広い海の彼方に向かい
足についたリングを投げて
空へと羽ばたいていくのでした



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