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改善アイディアが生まれ全体の底上げに繋がる”数字の規則性”を発見しよう!

数字の規則性を見つける。
これは多くの方が意識をしていることかもしれない。私も業績アップのサポートをする時には特に意識するようにしている。細かな点に意識を向けるよりも先に、俯瞰的に見て、押さえておく必要のある数字が無いかを徹底的に意識する。

ビジネスセミナーにおける数字の規則性

ビジネス系の受注型セミナーを例にとって考えてみよう。ビジネス系セミナーにおける数字の規則性とは何だろうか?

”案件化率30%”

セミナー参加者の30%が案件化し、平均的な受注率が30%の力だとすると、セミナー参加者の約10%が売上につながる。仮に30名を集客したセミナーだとすると、案件が10件程度発生し、3件程度が成約できる。これがビジネスセミナーにおける規則性である。

商品・サービスの特性などを多少加味する必要はあるかもしれないが、多くの場合に、この案件化率30%という数値は適用できる。この数値を知っている事で、少なくとも開催されているセミナーの良し悪しを判断することができる。

例えば案件化率が10%程度だったとしよう。この場合は、問題があるセミナーと位置付けられる。それでは何が問題だったのだろうか?

・セミナー参加者の質
・セミナーのストーリー
・案件化につながるクロージング(案件誘導)

これ以外にも、会場選びやオペレーションの質など、細かな点はいくつもあるが、まずは上記3点を確認すると、案件化率が低い理由が明確になる。

セミナー参加者の質とは、案件化に繋がる権限を有する参加者を多く集められたかどうかという事である。決裁者、またはそれに類するポジションの人の参加率が高くなれば、案件化率は高くなる。

次にセミナーのストーリー。これは簡単に表現すると、セミナー参加後に自社が営業したいと考えている商品・サービスが欲しいと感じるまでに、参加者の心理を動かすことができるストーリーを組めているかどうかという事になる。セミナーは事前に構成を組める営業機会である。案件化率を引き上げるためには、このストーリーが肝になる。

最後にクロージング。これはセミナー終了後に参加者に、どの様なアクションを起こして欲しいのかを決めておき、そのオファーをする行為である。例えば、体験版の利用や何らかの診断や分析。直接的には個別の相談など。1対Nの関係で成り立っていたセミナーを1対1の関係に変化させるための重要なアクションになる。

セミナーでの案件化率が10%だと分かった時点で、上記3点を点検する。セミナー参加者はどうだったか?ストーリーは練り上げられていたか?クロージングは適切にできていたか?参加者にとってハードルが高く、申し込み難いクロージングになっていないか?すると、必ずどこかに課題がある。それを改善し続ける事で、案件化率は上昇し始める。

数字の規則性が必要な理由

実は数字の規則性を明確にした方が良い理由として、その活動における全体の底上げができるという点が挙げられる。ネットの世界の様に、すべてが数値化されて見える化されている活動の場合は不要だが、人が中心となって動かすマーケティングや営業の場合、明確な指標が無いケースがある。そうなると、曖昧な感覚や個人の感性といった要素が優先される様になる。結果として、成果の優劣がはっきりとするバラツキの多い活動になってしまう。

数字の規則性が分かり、シンプルに追いかけるべき指標が共有されることで、自分の活動の良し悪しを判断でき、改善行動が進んでいく。誰が見ても、良い状態なのか。悪い状態なのかを判断でき、そこに上司のバイアスなどが関与する余地が無くなることも大きな利点となる。

コンサルタント時代に「ご支援先には、たくさんの事を一気に話をしてはいけない。キーになるポイントを一点だけ伝えて、それを実行してもらうことが大切だ」と教えられた。最初は意味が分からなかったが、今なら理解できる。この数値だけを指標として改善をしていきましょう。と伝えると、目標とする方向性が明確になり、細かな改善点を伝えるよりも、その活動の精度が高くなっていく。数字には不思議な力がある。

数字の規則性を発見するステップ

数字の規則性は意識的集中的にその活動を見ること発見できる。私が規則性を発見する時は、以下のステップで明確にしていく。

・活動の構成要素を因数分解する
・活動におけるベストプラクティスの数字を抽出する
・抽出された数字を割合に置き換える
・変数として影響力の高い構成要素を決める

規則性を導き出したい活動の構成要素を、因数分解(掛け算で表現できる数式)して落とし込んでいく。セミナーの場合は以下の通りとなる。

成約数=(集客数×決裁者参加率)×クロージング誘導率×成約率

この様に因数分解ができたら、社内にあるベストプラクティスを集める。集客数などもバラバラだと思うが関係なく、社内でも成果が出たと考えられる事例を集める。可能な限り、たくさんの事例を集められると、その後の規則性を発見するのが簡単になる。そして、そのベストプラクティスを因数分解した構成要素に当てはめ、数字を抽出する。

例えば、集客数が50名で決裁者(またはそれに類する人)の参加者が30名だとしたら、決裁者参加率は60%になる。さらには、その中でクロージングに誘導された人が9名だとしたら、クロージング誘導率は30%になる。この様な形で、ベストプラクティスと数字を集め、それを割合に置き換えていく。恐らく、良い事例は比較的類似した指標を示すはずである。

この時に注意することは、”正しい”を求め過ぎない事である。全ての事例が全く同じ数字になるという奇跡は発生しない。当然バラツキが発生するが、それを俯瞰的に分析をして”おおよそ”で良いので当たりをつける。この”おおよそ”という感覚が重要だ。大切なことは、規則性によって活動の良し悪しが判断でき、改善に繋がるヒントが生まれること。また結果として、全体の底上げに繋がることだ。”おおよそ”でOKという感覚を忘れないようにしよう。

また、自社のベストプラクティスだけで本当に良いのか?という不安が残るかもしれない。一般的な指標という観点では、やはり他社の事例なども取り込む必要があるのは事実だ。ただ、少なくとも社内における規則性は見出すことができる。数字の規則性は、先にも説明した通り、まずは全体の底上げ効果が期待できる。数字を明確にした瞬間から、その活動の良し悪しが明確になる。まずは社内からでも、この数字の規則性を明確にしていこう。

最後に、変数として影響力の高い構成要素を決めるとあるが、これは自分たちでは直接的な影響力を行使できない要素ではなく、あくまでも自分たちの改善の中で影響を出せる構成要素に絞るという考え方である。

セミナーの場合は”クロージング誘導率”を案件化率と置き換えて使っている。集客や決裁者参加率よりも成約に近く、その変数を高める事で結果に大きく影響するからだ。自分たちの改善行動で数字を大きく変動させることが可能な要素にとにかく絞る。これが重要になる。

・次回アポイント率
・デモ実施率
・見積もり提出率
・お試し実施率

何に絞るかは、その行動によって大きく変わる。ただ、あくまでも自分たちの活動によって数字を動かすことができる変数に注目することが重要になる。

数字は追いかけられるためにあるのではなく、自分たちを後押しし、改善行動のブースターとして位置づけるべきだと考えている。数字を味方にするには、数字の規則性に着目し、まずは自分たちの活動を俯瞰して分析することから始めよう。基準ができれば、改善のアイディアが生まれる。

#経営者 #経営 #中小企業 #ビジネス #原理原則

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