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DX人材に求められるデジタル以外のスキル要件と人物像

私とDXについて

私は外資戦略コンサルティングファームでIT系中心にコンサルタントとして6年近く働いた後、国内最大級の生活系サービス比較サイトでの事業企画や、国内最大級のECプラットフォームにて事業戦略、サービス立ち上げ・グロース、マーケティング/CRM、エコシステム戦略の立案・実行を10年ほど手掛けてきました。

現在は非デジタルが圧倒的主流の外資FMCG企業において、デジタルだからこそ実現可能なビジネスモデルの立案と構築、既存事業のビジネスモデル変革(DX)をリードしています

私がこれまで、デジタルな企業における事業のトランスフォーメーションをしてきた経験と、Nonデジタルな事業をデジタルでトランスフォーメーションをしつつある現在進行中の経験をふまえつつ、「DX」とは何なのか、DXをリードできる人材に必要な要件が何なのか、考えをまとめようと思います

DXとは?IT化と何が違う?

個人的な考えですが、「デジタルによる非デジタルのビジネスモデルの変革」、これこそがDXの真髄ではないでしょうか。

DX (Digital Transformation)という言葉は最近様々なところで取り上げられ、定義も様々あると思うので唯一の正解はないと思っていますが、私の解釈としては「デジタルによって実現可能なビジネスモデルの変革」だと思っています

事業の最初からデジタルベースで作られたものは、Digital Nativeな事業ですので、DXと言うのは違うかなと思います。

昔、「IT化、ICT化」というワードでITによる自動化、システム化がすすめられましたが、これも必ずしもDXにあてはまらないと思います。顧客の観点から何も変わっていなければ、あくまで「IT化」であって、「DXした」とは言えないと思っています。

DXできたのであれば、顧客にとって新しいバリュー、体験が提供されてこそ、DXと言えるのではないでしょうか。

DX人材に求められる要件~デジタル知識だけでは圧倒的に足りない

聞こえはいい「DX」ですし、コロナ禍における事業変革の必要性から、実際DX人材に対する需要は急激に高まっているようです


こちらのキープレイヤーズさんのこちらの記事を見ると、DXを推進しているスタートアップをなんと207社もピックアップしています。今どんなDXがホットなのか、どんなDXサービスが世の中にあるのか、DX人材をどうやって採用したらいいのか関心ある方は非常に参考になると思います

https://keyplayers.jp/archives/19647/

では、私の実体験を踏まえて考える「DX人材」とどのような人材なのか、まとめてみます。

これも様々な考え方があると思うのですが、「自分がDX人材を採用するなら求めてしまいたい要件」という観点で整理してみました

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はっきりいって、デジタルだけ詳しくてもDXは務まらないと思います。もちろん、デジタルに詳しくないといけないですが、そこは如何様にでも解決できます。デジタルに詳しい人は世の中にゴマンといるので、お金ですぐに解決できます

しかし実際は、自社特有のビジネスモデルやオペレーションを深く理解し、どこにボトルネックがあり、変革しようとするとどのような課題が噴き出すのか、そしてそれを経営陣にわかりやすく数字で説明し、後押しや必要なリソースを得つつ、疑心暗鬼な現場や様々な部署のキーマンたちを説得し、変革プロジェクトを推進し、様々な課題を解決しながら変革を達成し、その上で事業にとって必要な成果を得て、組織のケイパビリティーとして定着させる、というところまでは牽引しないといけないのです

デジタルだけ詳しくても、デジタル化されていないビジネスプロセスを理解できる能力がなければ、デジタルでどのような課題をどのように解決すべきかの具体案は出せません。

そして実際に変革に必要なリソースを提供すべき(デジタルに詳しくない)経営者が、その提案を理解し賛同できるような経営目線での提案能力が必要です

さらに、いざ経営陣がGOサインを出したとしても、現場がスムーズに応じるかと言えばまずありえません。あらゆる部署の至るとこから課題問題が噴出します。DXなのでどれも前例がないものばかり。誰もどう解決したらよいかわからないですし、協力してくれるとも限りません

もちろん、4つを全て高いレベルで兼ね備えている人は非常にレアですので、数人のチームでそれぞれの弱い領域を補完しあいながら進めるのが良いでしょう

DXチームは特殊部隊かつドラゴンクエスト

これは「敵軍が大勢待ち構えている海岸線に、少人数のDX特殊部隊が上陸した」ともいえる状況です。

普通の動き方をしていては、一瞬にして吹き飛ばされてしまいます。頼みの綱の経営陣のサポートや物資の支援も、いざ戦が始まってみると思ったような支援は受けられません。手持ちの道具だけでなく、その辺に転がっている石やモノでさえ何とか武器にしてしまうような機転と応用力が求められます

こんな困難な状況をどうやったら乗り越えていけるのか?

やはり一人一人が問題解決能力を総動員して物事を推進させていく姿勢が大事です。しかしそれだけではスタミナが切れてしまいます

それでも粘り強く戦っていれば、賛同してくれる部署や人は出てくるはずです。そのDXが企業やサービスを良くするためのものであれば、大義名分に同調してくれる人が出てこないと逆におかしいからです

そうやって、少しずつ前進しながら、少しずつ仲間を増やしていく。

そう、ドラゴンクエストなどのRPGで、冒険が進むにつれて仲間が増え、強大な敵とも戦える協力なパーティーができてくる、あのような感じです。

実際私もそのような経験をしました。仲間が増えるためには、進むべき明確なビジョンを示す必要がありますし、それを絶対に実現するんだ、という明確なコミット・覚悟が必要です。敵前逃亡しそうな将には誰もついていきませんよね?

そうやって少しずつ「小さな勝利」を重ねていくことで、自信は深まり、仲間は増え、いずれ会社全体を動かすモメンタムを生み出していきます。

経営陣もそのモメンタムが本物だと理解できれば、非常に強力な援軍を送ってくれるでしょう。それまで耐えつつも経営陣の関心が薄れてしまわないよう、スピード感を持って改革を前進させられるリーダーこそが、DX人材だと私は考えています

DX人材をめざす人へ

DXを推進するためには、デジタルの知識やデジタルビジネスの実務経験はもちろんのこと、非デジタル領域のビジネスモデルやオペレーションに関する理解力が重要になります。

こと、デジタル中心の若い人は非デジタルのビジネスを古いだとかイケてないだとか、眼中にないだとか、見下しがちな傾向があると思います。でもそれではDXはできません。そういう人はDigital Nativeなサービスをどんどん作って伸ばしてください。ただ、デジタルだけでインパクトのある事業は、正直つくれません。できたとしてもGAFAや大手プレイヤーが簡単にリプレースしてしまいます。

他者には簡単に真似できない、リアルのビジネスモデルや、顧客基盤や知財、物理的両面のアセットを、デジタルの力を活用することで、より優位かつ強固なポジションを構築していくためには、経営目線と現場目線両方を以て自社や他社のビジネスを観察し、理解していく姿勢が求められると思います

おわりに

非常に偉そうなことを言っていますが、私のDXもまだまだ道半ばもいっていません。DXを推進している人やチームは得てして少人数、少数派だと思います

業界や職種を超えて、DX人材でサポートしあえるようなことができたらよいなと思っていますし、DXを進めようとしている方の何らかのヒントになれば嬉しいです。

引き続きDXについても発信していこうと思いますので、Twitterをフォローいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想・コメントなどいただければフォロー返ししますし、ぜひ一緒にDX界隈を盛り上げていきましょう!

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