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星の王子様 読書記録 第25節 王子様との絆ができた

  <Les hommes, dit le petit prince, ils s'enfournent dans les rapides, mais ils ne savent plus ce qu'ils cherchent. Alors ils s'agitent et tournent en rond…>
  Et il ajouta :
<Ce n'est pas la peine…>
  Le puits que nous avions atteint ne ressemblait pas aux puits sahariens. Les puits sahariens sont de simples trous creusés dans le sable. Celui-là ressemblait à un puits de village. Mais il n'y avait là aucun village, et je croyais rêver.

 <人は>王子様は言った。<彼らは特急列車になだれ込む。だけど、彼らは何を探しているのかもうわかっていないんだ。それからせわしなく動いて、規則正しく回転しているんだ。>
 彼はこうも言った。
<その必要はないんだよね。>
 僕たちがたどり着いた井戸は、サハラ砂漠の井戸とは似ていなかった。サハラ砂漠の井戸は、単純に砂の中に穴が掘ってあるだけのものだった。そこにある井戸は、町の井戸に似ていた。でも、街なんてそこにはまったくなかったし、僕は夢を見ているんだと思っていた。

🌈単語
creusés
♢creuserの過去分詞 複数形
①・・・に穴をあける、を掘る、えぐる、うがつ
②[穴、溝]を掘る
③[顔や体の部分]をくぼませる、へこませる
④[体]を反らせる
⑤[格差、不均衡など]を拡大する;[赤字など]を増大させる
⑥[問題など]を掘り下げる
⑦・・・をひどく空腹にさせる、の食欲をわかせる

♢形容詞
enfournent
♢他動詞
①・・・をオーブンに入れる
②[話]・・・を詰め込む、押し込む
♢代動名詞
[話](s'~+場所)・・・へ殺到する、なだれ込む

sahariens
♢形容詞 saharienの複数形
①サハラ砂漠の

trous
♢男性名詞 trouの複数形
①穴、へこみ、窪み
②(貫通した)穴、穿孔;(体の)穴
③(身を隠す)穴、巣穴
④(衣服などの)破れ(目)、裂け目
⑤傷口、裂傷、外傷
⑥隙間、空隙
⑦空白の時間、あき(時間)、暇
⑧欠落、遺漏;不十分な点、弱点
⑨欠損、赤字;使途不明金

tourner
♢他動詞
①・・・を回す、回転させる
②[材料など]を混ぜ合わせる、かき混ぜる
③(回転させて)・・・の向きを変える
④・・・を裏返しにする;弄り回す
⑤[角など]を曲がる;迂回する;回避する;免れる
♢自動詞
①回転する
②(周りを)回る、円を描く、旋回する
③(狭い場所を)歩き回る、うろうろする

rêver
♢自動詞
①夢を見る
②夢想にふける
③現実離れした事を考える

rond
♢形容詞
①丸い、円形の、球形の
②丸みを帯びた;中身の詰まった;[金額が]かなりの
③肉付きの良い;ずんぐりした
④端数のない、単刀直入な
♢熟語
✅en rond
円くなって

✅Ce n'est pas la peine…
それには及ばない。その必要はない。

<C'est étrange, dis-je au petit prince, tout est prêt : la poulie, le seau et la corde…>
  Il rit, toucha la corde, fit jouer la poulie.
  Et la poulie gémit comme gémit une vieille girouette quand le vent a longtemps dormi.
  <Tu ettends, dit le petit prince, nous réveillons ce puits et il chante…>
  Je ne voulais pas qu'il fît un effort :

 <不思議だね。>
 王子様は言った。<全てが整えられている。滑車、桶、ロープ・・・。>
彼は笑い、ロープに触って、滑車を動かした。
 そして滑車は、風がずっと長い間止んでいた時の古い風見鶏が音を立てるように、きしんだ音を立てた。
 <聞こえるね。>王子様が言った。<僕たちは、この井戸を呼び覚ますんだ。そうしたら井戸が音を立てる・・・>
僕は彼に苦労をかけたくなかった。

🌈単語
corde
♢女性名詞
①綱、縄、ロープ
②(登山用の)ザイル、ロープ
③(絞首刑の)ロープ;絞首刑
④(サーカスで、綱渡り用の)綱
⑤(心の)琴線;感情、心情
⑥(弓、石弓の)弦;(アーチェリーの)ストリング

étrange
♢形容詞
①奇妙な、変わった、不思議な、異常な
♢男性名詞
奇妙なこと、不思議なこと

poulie
♢女性名詞
①滑車、プーリー

seau
♢男性名詞
①手桶、バケツ
②桶[バケツ]一杯分

<Laisse-moi faire, lui dis-je, c'est trop lourd pour toi.>
Lentement je hissai le seau jusqu'à la margelle. Je l'y installai bien d'aplomb. Dans mes oreilles durait le chant de la poulie et, dans l'eau qui tremblait encore, je voyais trembler le soleil.
  <J'ai soif de cette eau-là, dit le petit prince, donne-moi à boire…>

 <僕にさせてよ。>僕は彼に言った。<それは君には重すぎるよ。>
ゆっくりと、僕は井戸の縁石にくるまで、桶をやっとの思いで持ち上げた。
僕はそれをまっすぐに立てた。耳の中では滑車の音が響いていて、桶の中の水はまだ揺れていた、僕は水面に映った太陽が揺れているのを見ていた。
 <僕が飲みたいのはその水なんだ。>王子様は言った。<僕に飲ませてよ。>

🌈単語
aplomb
♢男性名詞
①鉛直、垂直(性);(垂直状態での)均衡、安定性
②冷静、落ち着き
③厚かましさ、ずうずうしさ

chant
♢男性名詞
①歌唱、声楽;歌声
②歌、歌曲、声楽曲

durer
♢自動詞
①<~+時間>・・・だけ続く、継続する、持続する
②長く続く、長引く
③長持ちする、耐久性がある
④長く思われる

hissai
♢hisserの単純過去 他動詞
①・・・を(やっとの思いで)持ち上げる[引き上げる]
②[旗、帆など]を揚げる
③・・・を高い地位に就ける;[企業など]を大きく成長させる

installai
♢installerの単純過去
①<~qc(+場所)>(・・・に)[家具など]を置く、配置する;[器具、設備など]を据え付ける
②<~qn+場所>・・・に・・・を座らせる、寝かせる;住まわせる、落ち着かさせる

lourd
♢形容詞
①重い
②<体が>重い感じのする;だるい

margelle
♢女性名詞
①(井戸、泉などの)縁石、へり石

oreilles
♢女性名詞
①耳;耳介
②聴覚、聴力;音感
③聴くこと、傾聴;聞き手
④(容器などの対になった)耳、取っ手、握り;(袋の)耳、端

trembler
♢自動詞
①体が震える

 Et je compris ce qu'il avait cheché!
  Je soulevai le seau jusqu'à ses lèvres. Il but, les yeux fermés. C'était doux comme une fête. Cette eau était bien autre chose qu'un aliment. Elle était née de la marche sous les étoiles, du chant de la poulie, de l'effort de mes bras. Elle était bonne pour le coeur, comme un cadeau. Lorsque j'étais petit garçon, la lumière de l'arbre de Noël, la musique de la messe de minuit, la douceur des sourires faisaient, ainsi, tout le rayonnement du cadeau de Noël que je recevais.

 そして僕は彼が探していたものがわかった!
僕は桶を彼の唇まで持ち上げた。彼は目を閉じて、飲んだ。祝杯のような甘露だった。その水は、単なる食糧とは別ものだった。それは、滑車の音楽と、僕の両手の苦労と、星空の下で歩いたことから生み出された。それは贈り物のように、心のためにも良かった。僕が小さい男の子だった時、クリスマスツリーの灯り、深夜のミサの音楽、
人々の笑顔の柔らかさが、そのようにして、僕が受け取ったあらゆるクリスマスプレゼントの全ての輝きを生みだしていた。

🌈単語
fête
♢女性名詞
①(宗教上の)祭り、祝祭;(公に記念すべき出来事などの)祝い、祭典;祭日、祝日
②守護聖人の祝日
③(個人の)霊名[洗礼名]の祝日
④祝宴、催し、宴会、祝い事
⑤[話]お祭り騒ぎ、浮かれ騒ぎ
⑥陽気、喜び、楽しみ
soulevai
♢他動詞 souleverの単純過去
①・・・を少し上げる、持ち上げる
②[波、ほこりなど]を立てる、舞い上げる
③<~qn(contre qn)>・・・に(・・・に対する)怒りをかきたてる;反乱を起こさせる、を(・・・に対して)蜂起させる
④・・・を興奮させる、高ぶらせる

 <Les hommes de chez toi, dit le petit prince, cultivent cinq mille roses dans un même jardin… et ils n'y trouvent pas ce qu'ils cherchent…
---Ils ne le trouvent pas, répondis-je…
---Et cependant ce qu'ils cherchent pourrait être trouvé dans une seule rose ou un peu d'eau…
--Bien sûr>, répondis-je.
Et le petit prince ajouta:
<Mais les yeux sont aveugles. Il faut chercher avec le coeur.

 <君んちの人は、>王子様は言った。<同じ庭の中にある5000の薔薇の花を栽培していたんだ。彼らは自分達が探しているものをそこでは見つけないんだ。
ーー彼らはそれを見つけないんだね。僕は答えた
ーーだけれども、たった一本の花の中にも、わずかな水の中にも彼らが捜しているものは見つけ出せるだろうね。
ーーそのとおりさ 僕は答えた
そして王子様はこうも言った
<でも、目は盲目なんだ。心で探さなければならない。>

J'avais bu. Je respirais bien. Le sable, au lever du jour, est couleur de miel. J'étais heureux aussi de cette couleur de miel. Pourquoi fallait-il que j'eusse de la peine…
<Il faut que tu tiennes ta promesse, me dit doucement le petit prince, qui, de nouveau, s'était assis auprès de moi.
--Quelle promesse?
--Tu sais… une muselière pour mon mouton… je suis responsable de cette fleur!>

 僕は水を飲んだ。ほっと息をついた。早朝の砂漠は、蜜の色だ。僕は、その蜜の色にも幸せを感じていた。なぜ僕は苦労しなければならなかったのだろうか。
 <君は約束をまもらなければならないよ。>王子様は僕に静かに言った。もう一度、彼は僕の側に座った。
ーーどんな約束事?
ーー知っての通りさ・・・。僕の羊のための口輪・・・僕はあの花に責任があるんだ!
 

🌈単語
assis
♢形容詞
①座っている、座った
②基盤のしっかりした、確固とした、安定した

promesse
♢女性名詞
①約束;(多く複数で)約束の言葉、約束事
②(文章)前兆、予兆、兆し;(多く複数で)将来の希望、(成功の)可能性

 Je sortis de ma poche mes ébauches de dessin. Le petit prince les aperçut et dit en riant :
 <Tes baobabs, ils ressemblent un peu à des choux…
 --Oh!>
Moi qui étaits si fier des baobabs!
<Ton renard… ses oreilles… elles ressemblent un peu à des cornes… et elles sont trop longues!>

 僕はポケットからデッサンの下絵を取り出した。王子様はそれをちらっとみて笑いながら言った。
<君のバオバブは、どこかキャベツみたいだね。>
ーーえっ!
僕は、バオバブの絵にはとても誇りを持っていたのに!
<君のキツネ・・・その耳・・・それはどこか角みたいだ、長すぎるんだよ!>

🌈単語

ébauches
♢女性名詞 ébaucheの複数形
①粗描、下絵、下書き、草案
②ほのかな輪郭;始まり、兆し
③未完成のもの、不完全のもの

choux
♢男性名詞 chouの複数形
①キャベツ
②シュークリーム

 Et il rit encore.
<Tu es injuste, petit bonhomme, je ne savais rien dessiner que les boas fermés et les boas ouverts.
--Oh ! ça ira, dit-il, les enfants savent.>
  Je crayonnai donc une muselière. Et j'eus le coeur serré en la lui donnant:
<Tu as des projets que J'ignore…>
Mais il ne me répondit pas. Il me dit :

 そして彼はまた笑った。
<君は不公平だよ。坊や。僕は中身の見えないボア大蛇と、中身の見えるボア大蛇くらいしか絵を描いたことがないんだからさ。>
ーー<ああ、それでいいよ。>彼は言った。<子供たちはわかってくれるもの。>
僕は口輪を描いた。そして彼にそれを揚げる時、胸が締め付けられる思いがした。
<君は僕の知らない計画をもっているんだね・・・。>
でも彼は答えなかった。彼は私に言った。

<Tu sais, ma chute sur la Terre… c'en sera demain l'anniversaire…>
Puis, après un silence il dit encore :
<J'étais tombé tout près d'ici…>
Et il rougit.
Et de nouveau, sans comprendre pourquoi, j'éprouvai un chagrin bizarre.
Cependant une quetion me vint :
<Alors ce n'est pas par hasard que, le matin où je t'ai connu,
il y a huit jours, tu te promenais comme ça, tout seal, à mille milles de toute les régions habitées! Tu retournais vers le point de ta chute?>

 <知っての通り、僕が地球へ落ちたとき、明日がその日なんだ。>
それから、沈黙した後、彼はまた言った。
<ちょうどこの辺りの近くに落っこちたんだ。>
そして彼は顔を赤らめた。
 そして再び、どうしてなのかもわからないまま、僕は、不思議な胸苦しさを感じた。それにもかかわらず、ある疑問がよぎった。
<だから、一週間前に、僕が君と知り合った朝、君が人の住んでいるところから数千マイルも離れた所で、たった一人で歩いていたのは、ひょっとすると偶然じゃなかったんだ!
 君は落ちたところへ戻るところだったんだね?>

 Le petit prince rougit encore.
Et J'ajoutai, en hésitant :
<À cause, peut-<être, de l'anniversaire?…>
Le petit prince rougit de nouveau. Il ne répondait jamais aux questions, mais, quand on rougit, ça signifie <oui>, n'est-ce pas?
<Ah! lui dis-je, j'ai peur…>
Mais il me répondit :
<Tu dois maintenant travailler. Tu dois repartir vers ta machine. Je t'attends ici. Reviens demains soir…>
  Mais je n'étais pas rassuré. Je me souvenais du renard. On risque de pleurer un peu si l'on s'est laissé apprivoiser…

 王子様は再び赤くなった。
それから僕は、ためらいながら、こうも言った。
<多分、記念日のためなんだね?>
<王子様はまた赤くなった。かれは質問には決して答えない。だけど、赤くなる時は、その通り、という意味なんじゃないだろうか?
<ああ!>僕は彼に言った。<僕は怖いよ・・・。>
でも彼は答えた。
<君はもう仕事に行かなくっちゃ。君は機械を治さなければならない。僕はここで待ってるよ。明日の夜、また来てよ。>
 でも僕は落ち着かなかった。僕はキツネのことを思い出した。なじまされてしまうと、人は泣いてしまうかもしれない恐れがちょっとだけあるんだから。

🌈単語
rassurer
♢他動詞
①・・・を安心させる、落ち着かせる


🌈文学

王子様が、<君んちの人は>と言ったが、サンテグジュペリが地球に住んでいることから、地球の人っていうのは、と訳すのが本当のところ。

 前半部分は、今までの話を踏まえている。喉の渇き。それを満たしたいという欲望。それを実現するためのプロセス。星の下を歩き、滑車を回して水を汲む。欲望が生み出され、実現のために動き、それを達成する。この1連の行動が、同じ水を何倍もおいしくする。

 サンテグジュペリは、王子様が求めていたものがわかったのだった。

 こんなに近くに幸せになれる秘訣があったのに、どうして僕はここまで回り道をしなければならなかったんだろう?

 絆を作れば、お互いがお互いを必要とし合う。そして、その人に会いたいという渇望が生まれる。あるいは、その人が近づいてくるという喜びが生まれる。そこにこそ幸せがあるんだろう。

 次の話でわかるのだが、井戸の側には残骸の壁がある。昔、ここはきっと何らかの町だったのだろう。

 羊の口輪を書く。それは何のためか。王子様が星へ帰った後、目を離したすきに、羊が薔薇の花を食べないようにする必要があるからだ。これが、僕の知らない計画・・・なのだろうか。
 サンテグジュペリはそれを察知し、王子様との別れが近いことを感じ始める。

 サンテグジュペリは、王子様が顔をあからめた時、そうだ、という意味だと考えたが、それだと、最初に顔をあからめた時の意味がよくわからないかもしれない。でも、それは、その前の質問、僕の知らない計画があるんだということに対する返事だったのだろう。

 王子様が、子供たちはわかっているよ。と言った時の、子供たちは、一体何を指しているのだろうか。

 子供たちは、表面ではなく、本質を見抜くことができる存在だ。
王子様は、サンテグジュペリの絵の表面を見て、その絵の可笑しさを笑った。でも、子供たちは本質を見抜くことができるから、そうした表面的な絵の形には惑わされることはないということだ。

 ところで、王子様から、子供たちはわかっている、という言葉が出たのは、転轍手との出会いがきっかけだろう。子供たちだけが、自分達の求めているものが何かを知っている。

 ここは個人的に、サンテグジュペリの心の中にいる子供ではないか・・・人々の心の中にいる子供のことなのではないか・・・と思うことがある。冒頭で、僕たちは元々子供だった。とある。そして、それを忘れてしまっている、と訳すことができる。実際にそういうことはある。しかし、キツネとの会話を思い起こしてみると、価値を置かないとか、ないがしろにしている、という意味に訳すこともできるはずだ。もしそうであるとすれば・・・。

 私はこうも考える。単語というのはやっぱり表面的な文字の並びにしか過ぎない。大切なものは、目には見えない。私たちは、単語という外皮を超えた、更に奥深くの意味を模索して、本質をつかみ取らなければならないのだ。

 例えサンテグジュペリの絵がどうであれ、君の中にいる子供は、しっかりと君の事情を見抜いているから。大丈夫だよ。という意味なのだろう。これがサンテグジュペリの心の中にいる子供だと考えた理由だ。そして、その子供は、王子様を含む。つまり、子供たちというのは、自分と、サンテグジュペリの心の中の子供だ。これで十分、les enfantsになれる。

 王子様との別れが近いことを感じたサンテグジュペリは、泣いちゃう予感がするのだった。サンテグジュペリと王子様の間には、確かな絆が生まれていた。
 
  


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