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パン屋探して三千歩

久しぶりにシャバへ出た。

ずっと行ってみたいと思っていたパン屋さんへ向かう。
昨今、ブームだった高級食パンにはあまり興味がない。
柔らかすぎて、お菓子みたいで、ちょっと物足りない。
できれば全粒粉で出来ていて、胡桃やドライフルーツも入っているザクザクと食べ応えのあるパン ド カンパーニュみたいなのが好き。


こんなやつね!

ところが、なかなかない。
ザクザクした食べ応えのあるパンを置いてある店がない。

ネットでやっと見つけた一件のパン屋さん。
パン  ド カンパーニュみたいなやつがゴロゴロ売られている。

いざ、いかん!と、息巻いて出発。

しかし結局、私は昨日、そのパン屋さんへ辿りつくことが出来なかった。

「ちょっと分かりにくい場所にある」らしいので、マップをonにして歩く。

辿りついているはずの場所には、思っていた名前と全く違う名前のパン屋さんがあった。

なんだろう?

違う名前の看板だとしても、実際には同じ店ってことはないか?
「世界一おいしいパン屋 〇〇ベーカリー〇〇店」とかなんとか長い名前だとして、「世界一おいしいパン屋」まで看板に表記して、実際店の中は「〇〇ベーカリー」となっているのではないか?と。

期待は外れ、名前は店の中まで看板と同じ名前だった。
私の探している店の名前ではなかった。

捜索中のパン ド カンパーニュも見当たらない。

私が間違えているんだな、きっと。
ここではなくちょっと裏とか、奥まった場所とかにきっとあって、こちらは「よく間違われている店」なのかもしれない。この店ではないのだ。
そう思ってレジの若い女性に聞いてみた。

「すみません、失礼な質問になっちゃうんですけど、こちらは○○ベーカリーさんではないのでしょうか?」

ああ、見れば分かるではないか、店のいたるところに違う名前が書かれているではないか。
と言いたげにレジのお嬢さんは、

「違いますね」

と、きっぱり答えた。

まるでイエスノークエスチョン。
それ以降のインフォメーションはなかった。

当然だ。
「競争相手のパン屋さんを探しているんです」と言ったようなものだ。
気を悪くされているに違いない。

申し訳ない気持ち100%でクロワッサンを2個だけ買って店を出た。

店を出て改めてスマホを見直す。
やはり、この住所で間違いない。

諦めきれず、お隣の花屋さんの店頭にいらした女性に訪ねてみた。
「○○ベーカリーさん、この辺だと思って来たのですが、見当たらないんです。ご存じないでしょうか?」

すると女性は仕事中の手を休め丁寧に説明してくださった。

「○○ベーカリーさんは昨年で閉店されたんです。今は別のパン屋さんになりました。オーナーさんが変わり、メニューも変わりました。でも、作られている職人さんたちは一緒なんですよ」

ひょえ~、そうなんですかあ~~~。

「地図で検索して、ここで間違いないと思ったのですが、名前が変わっていて驚いていたところだったんです。HPがアップデートされていなかったんだですね。ありがとうございます。おしえてくださって、たすかりました」

お仕事中にすみませんでしたと、お礼を言って立ち去った。

おいおいおい、そうならそうと、レジのお嬢さんは何故説明してくれなかったのか???
確かに私の質問、
「こちらは○○ベーカリーさんではないのか?」の質問に、間違った答え方はしていない。

しかし、何故だか私はAIと会話した気持ちになってしまった。

何故、そのようなことを聞いてくるのか?
ちょっと考えればわかること。
新しいお店のほうもよろしくお願いします。くらい言えるよねえ。
と、小姑みたいな気分になってしまう。

いや、こちらの聞き方も悪かった。お嬢さんは、以前の店のことなんて全く知らされていないのかもしれない。こちらが、

★○○ベーカリーを探していること。
★こちらの住所で間違っていないと思われること。
★もしかしたら、名前を変えましたか?
★もしかしたら、別の場所に移転されて、こちらは新しく開店された別の店なのでしょうか?
★全てひっくるめて失礼な質問してしまって申し訳なく思っていること。

みたいなことを全て伝えればよかったのかもしれない。

は~~~、しんど。

振り返ってみれば、私もそうだった。
若い頃、聞かれたことには答えていたと思う。
しかし、何故、その質問をしているのか、相手は今、どういう状況で、どういう情報を欲しいと思っているのか、まったく考えていなかったように思う。

今だってそうだ。
瞬時にして、相手のかたが何を求めているのかを知る能力を身に着けなければと思う。
それは想像力であり、思いやりであり、人間力なのだろう。

パン ド カンパーニュを買えなかった私は、もうどうしてもパンを手にいれたくなり、近くを闊歩して食パンを手に入れた。

なんだかんだ言っていた高級食パンだ。(笑)

今日の私を救ってくれたラ・パンさんの食パン。うさちゃんの焼き印!

可愛い❤️
もう、それだけで今日は報われた気がする。
明日の朝ごはんに全部食べてしまおう。

いやらしくスマホのSiriに質問してみた。
「〇〇ベーカリーはどこですか?」
瞬時にして、「〇〇ベーカリーは閉店しました」という内容のHRLを表示してきた。

な~んだ、始めからS iriに聞けばよかった。

なんて、とんでもなく意地悪な今日の小姑なのであった。


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