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【ブレイク必至】世界最高年齢差ヒップホップユニットが伊達じゃない理由

調べてはないが、恐らく世界最高の「年齢差」ユニットが話題を集めている。滋賀県を拠点に活動するヒップホップユニット「赤ちゃん婆ちゃん」だ。15歳の少年「MC玄武」とコンビでラップをするのは、その名の通り実の祖母である「MCでこ八」御年68歳である。
初めてその存在を聞いた時は、半信半疑だった。地元のお祭りにでも余興で出るのかと斜に構えていたが、そのTwitterアカウント(を持っている事にも驚きだが)のプロフィールを見て一変する。

「68才のラッパーです。真剣です 孫とクルー組んでます」

簡潔ながら力強い言葉。ラッパーに必要な要素を既に持っている事が直感で伝わる。そして開いたYoutubeがこれだ。

「68年 人生経験 まだまだお迎え 全然けぇへん」
「口を開けば あの世あの世 まだ行ったことねぇし」

一発で打ちのめされる。他の誰にもできないラップ。
人生経験 と(お迎え)全然けえへん で韻を踏むなんて誰が想像できたか。
当たり前だがその辺の若者には到底出てこない発想。
年齢を逆手に取った「あの世なんて行ったことないし
そりゃそうだ、とクスッとしつつ、「だからお前と何が違うんだ」という主張に返す言葉がない。見事なパンチラインだ。

ヒップホップで一番尊敬されるのは「オリジナリティ」
人の真似をする事なく、いかに自分自身がユニークな存在かを示すのが流儀だ。この時点で既に100点満点。こんなユニークな存在で、こんなユニークな歌詞で。ラップを始めた瞬間に「誰にも真似できない」場所にいるなんて、、、ズルイ!

孫の玄武がラップをやり始めたのを見て「わしもやる」と言ったらしい。
インタビューで「それ聞いて驚いた?」と聞かれた玄武の答えがこれだ
いや、普通に面白そうやし。ラップやるのはいいことやと思って。自分が「クルー組もうや」って誘って、でこ八が「“赤ちゃん婆ちゃん”って名前でええやん」って言ってすぐに決まりました。一緒にやったら面白そうやし、2人ともいい人生になりそうじゃないですか。

そう、普通はこんなユニット出来上がらない。ハートが強くて好奇心溢れるおばあちゃんが仮にいたとしても、思春期で繊細な孫はそんな事受け入れられない。この時点で若干15歳の「MC玄武」も只者でないとわかる。このばあちゃんにしてこの孫あり、だ。

「68歳で初めてわかったやつ 15歳で悟ったやつ」

そして2人自身が何よりも真剣。暇つぶしなんかじゃない、こいつらは本物だ。。。1月、東京で初ライブをすると言うので、全ての予定を放り投げて行ってきた。
とにかく、生で見たい。

東京も東京、渋谷ど真ん中の「アンダーバー」
入った途端に煙がもくもくとする、なんの遠慮もなく若者向けの「クラブ」である。
いい歳した大人たちに混ざって肌ツルツルの少年と、腰の辛そうなおばあちゃんが隅っこに。
2人目当てで来た自分をしても「場違い」を感じずにいられない。本当に普通の、少年と、お婆ちゃんだ。特別元気とか、若く見えるとか、そうでもない。「うちのおばあちゃんとなんも変わらんな」そう思う人は多かったはず。

その「うちのばあちゃん」が、マイクを握る。
既に話題になり始めている彼らはライブのトリを務める。
それを知って来ている観客もいれば、「誰あれ?」な客も。
期待と不安、それこそかなりの不安で見守る観客の様子は手に取る様にわかる。
「本当にできるのか?」「途中で倒れたりしないのか??」
その観客を察した上で、マイク握ってステージに立ったでこ八の一言目
「私、今心臓バクバク、その目が怖いわ。」
「あ、でもね、私歌ってる途中その辺で暴れるかもしれんから気をつけて〜」

大歓声の観客。不安が興奮に変わる。
自分の武器を完璧に理解し、表現できる。完全なラッパーだ。

一曲目で早速歌詞を飛ばしても、それを次のMCで話題にする。また盛り上がる観客。

MCでは笑いに包まれ、曲では盛り上がる。
色物ぽさを堪能させたと思いきや、玄武の聴きやすい声と大人びたスキルに背筋が伸びる。

話題性は間違いなくある。でもこの2人は既に、それ以上の確かなものを持っている。
なんか、、、とんでもないとこまで行く気がする。
いろんな幸運に恵まれたら、下手したら紅白だって出ちゃうんじゃないかってくらいに。

「課題は話題性のその先 音出し新しいもの探して
ステージの上ではトンデレラもシンデレラの靴を履かせてくれや
見て感じたもの吸い尽くす 誰もやれない事唯一無二
ワックな奴、他を当たれ 赤ちゃん婆ちゃん、ご堪能あれ」


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