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3年で10社営業支援したスタートアップ初期営業 受注GET編

・受注ができるようになる仕組み作り

前回はアポGET編として、アポをGETするための改善方法について書きました。下記、前回のアポGET編も合わせて見ていただけると嬉しいです!

さて今回は、受注GET編として、受注をとるための改善方法について書かせていただきます。

では、張り切っていきます!

・リストを運用するために必要な2つのこと

アポがとれて商談ができたものをリストで管理します。前回の記事の内容を踏まえ、アポをGETするための運用をして、どんどんアポをとっていきます。アポがとれたら、スプレットシートの別のシートで商談後の顧客をリストで管理します。

そしてここでも、アポGET編と同様、「ステータス」の管理と「理由タグ」の管理をします。

①ステータスの管理(今その会社はどのようなステータスなのか)
②理由タグの管理(なぜ受注できなかったのか)

まずは①ステータスの管理についてです。
商談した結果、その顧客は、受注に向けてどのようなステータスなのか。
商談後のステータスは、アポ前のステータスと違い、感覚的になりがちな「受注確度」を管理していく必要があります。

例として、以下のようなステータスで管理します。

⑴確度A
⑵確度B
⑶確度C
⑶確度D

この時大事なのは、ステータスの定義を社内で明確にしておくことです。
意外とこのステータスが、なんとなくの振り分けになってることが多いです。商談後、「なんとなく確度A」「なんとなく確度D」はダメです。
しっかりと、社内で明文化し、ステータスの定義を共有します。

では、どのような定義がいいのか。 商談後のステータス管理のポイントは1つです。それは、先方の決裁フローに合わせて確度を管理することです。先方決裁フローのベルトコンベアのどこに載ってるのかで確度を決めます。

ベルトコンベア例
情報収集→担当者検討→決裁者検討→社内稟議

「確度A」の定義 → 社内稟議中(申込書待ち)
「確度B」の定義 → 決裁者検討中(担当者から決裁者に提案)
「確度C」の定義 → 担当者検討中(担当者が上に提案するか検討)
「確度D」の定義 → 情報収集中(とりあえずの情報収集)

暫定的なものであっても、ひとまず定義を明文化しておきます。営業していく中で、確度A~Dの定義を日々アップデートし、時にはさらに細分化したり、改善していきます。

②「理由タグの管理」は、なぜ受注ができなかったかという理由をタグ化したものです。

A 予算がない
B 別プロジェクトで忙しい
C 時期じゃない
D ニーズがない
E 競合を利用している
F 情報収集中
G その他

前回のアポがとれない理由タグと、重複する部分も多いかと思いますが、同様に上記のように管理していきます。こうすることで、「確度はどれくらいなのか」+「なぜ進捗していないのか」をセットで管理できます。

ステータスと理由タグが設計できたら、いよいよ商談時のポイントについてです。

・商談で大事な2つのこと

商談では下記の2つのことがポイントになります。

①必ず議事録をとる(商談後、ステータスと理由タグを明確にする)
②15:15:15を意識して商談する

①「必ず議事録をとる」は、当たり前ですが、なかなか出来ていないスタートアップが多いです。

僕は「営業は議事録を作りに商談しに行く」ぐらいの気持ちで商談します。

営業戦略にはもちろん、自社サービスがマーケットにどう思われているのかもわかります。事業全体に活用できるはずです。

よくある問題点として、議事録のフォーマットがなく、自由すぎて、単なる会話メモになってしまう。議事録を書いても、その議事録が有効に活用されない。誰も見ないと思って、だんだん書かなくなる。などが多く見受けられます。

ここは仕組みで解決しましょう。議事録は簡単なチェックリストを作り、その項目をヒアリングすればOK。商談当日に必ず議事録を社内で共有する。議事録は営業チーム(および社長と経営層)は必ず目を通す。以上。

チェックリストは、先に決めた「ステータス」の定義にもとづいたものを作成します。商談後、ステータスに振り分けができるように絶対に聞かなきゃいけない項目をチェックリスト化します。

<チェックリスト>
1. 決裁者に提案してもらえますか?(⑴確度B?)
2. チーム内で(もしくは担当者が)検討してもらえますか?(⑵確度C?)

こうすることで、社内の誰が提案しても、明確にステータスに分けて管理ができます。初回の商談相手が決裁者で、一発で申込に進む場合は確度A、商談相手が情報収集の段階であれば、確度Dというような感じです。

同様に「理由タグ」も、あらかじめチェックリストにします。

<チェックリスト>続き
3. 予算的にはマッチしますか?(理由タグA?)
4. なにか他に優先されているプロジェクトはありますか?(理由タグB?)
5. 検討いただけるタイミングはいつでしょうか?(理由タグC?)
6. 貴社に必要な内容だと思いますか?(理由タグD?)
7. 他のサービスを利用されていますか?(理由タグE?)

このように、商談後、ステータスと理由タグが明確になるチェックリストを持って商談に臨みます。

15:15:15を意識して商談する
続いて大事なのが、②「15:15:15を意識して商談する」です。
僕は、基本的には、商談を大きく3ブロックに分けて考えます。15分自社サービスの話。15分顧客の状況の話。15分議事録のための話。これで計45分。

アイスブレイクや、どこかのブロックが伸びたりすることがほとんどなので、15:15:15の計45分を目安に考えます。
※サービス内容によっては、多少配分のアレンジはします。

伝えるべきことがたくさんある場合、20:15:10など適宜配分してください。大事なのは自社サービスの話だけで終わることのないように、目安の配分を考えておくことです。

自社サービスの話だけで終わってしまい、次のアクションがまったく分からず、「提案している」という状態で、ずっと進まない案件になってしまう。というのがよくあるケースです。

まずは、15分自社サービスの話。
セールストークを15分くらいでまとめておきます。長くても25分。大枠さえ抑えたサービスの紹介ができていれば、細かいところまで全て話す必要はありません。(もちろん聞かれたら答えます)

会わなければ伝えきれないようなところに集中することも大事です。メールや電話では説明しにくいところや、ざっくばらんな効果の話など。逆にメールや電話でもフォローできるところは時間配分を考えて、「後ほどご連絡します」にしても大丈夫です。むしろ、商談後のコミュニケーションのきっかけを作っておくことも重要になります。

続いて、15分顧客の状況の話。
顧客の情報をヒアリングします。大きな話から小さな話にしていくといいと思います。まずは、会社全体の方針や体制の話。そこから、対面している方の日々の業務や課題感など。ヒアリング時のポイントは、なるべく聞きたい本質にフォーカスして、クローズドな質問にしていくよう心がけています。

「あなたの課題は何ですか?」のようなオープンな質問は、答える方も難しいです。よりクローズドに、「もしあなたが今、予算があったら何に使いますか?」「この施策とこの施策だと、どちらにお金を使いますか?」という形で、顧客の状況をヒアリングしていきます。

先に用意したチェックリスト以外のところが聞き出せたら、備考欄に書いて議事録化します。

最後に、15分議事録のための話。
15分顧客の状況の話のブロックで、聞ききれなかったマストで聞かなくてはいけないチェックリストの質問をしていきます。チェックリストの聞けていない項目を聞く際は、「より御社に最適な提案がしたい」と伝えてヒアリングしましょう。

最後に、「資料を提出します」「さらにカスタマイズした提案をします」など、次の自分のアクションを明確に共有して、商談を終わらせます。

注意点として、商談はナマモノなので、あまりカチッと配分を意識してしまうと、言葉に気持ちが乗りません。ですので、あくまで配分は目安として考え、当日の会話の流れを最優先してください。

チェックリストの項目も「聞かなきゃいけない!」ではなく、「聞いたらより良い提案ができる!」とお考えください。

・営業状況の定点観測の仕方

日次で前日の商談結果を、営業メンバーで定点観測します。「⑴確度A」が何社か。「E競合を利用している」という理由タグが何社か。など。

これはレギュラー予定として、時間をあらかじめとっていきます。最大でも30分くらいしかかかりません。アポ前の電話などのアプローチ状況と商談状況を一緒に確認しても、30分くらいだと思います。

「昨日の商談は何件で、このステータスが何件、この理由タグが何件でした」「昨日の電話アプローチは何件で、このステータスが何件、この理由タグが何件でした」という感じです。

ステータスや理由タグのルールが社内で明確になっていれば、営業も報告がしやすいです。よくあるダメな例としては、営業報告の仕方が社内で明確になっていないので、営業が営業報告のために、自分の営業状況をまとめる時間が必要になってしまうというケースです。

・クロージングおよび再アプローチで大事な2つのこと

①受注できない「理由タグ」のカウンターパンチを用意する
②クロージングの際は、成約後のチェックリストを送る

①カウンターパンチを用意する
先の定点観測にて「どのステータスで止まってしまうことが多いか」「どの理由で止まってしまうことが多いか」をみて、これらに対する次の打ち手を考えます。その新たな打ち手を持って、クロージングや再アプローチにかかります。

前回記事と同様の例ですが、例えば僕は、「C時期じゃない理由タグの顧客の数が10社ある。どうしても今やらなければならない理由を作って、再アプローチしたい。そのために、期間限定追加サービスとして、こんなサービスをしたい。これができれば、この10社のうち、半数以上受注のチャンスがある」と言って自社を説得し期間限定で追加サービスを実施しました。期間限定追加サービスというカウンターパンチです。

また、「E競合を利用している」という理由タグに対しては、競合優位性をまとめたマトリクス表などを作成し、提出していました。

上記のように「確度はどれくらいなのか」+「なぜ進捗していないのか」をセットで数値管理できていると、社内のメンバーや他部署の巻き込みがしやすくなります。

②成約後のチェックリストを送る
打てる手を全てだし、やれることも全て行ったあとは、クロージングしていきます。ただし、クロージングで「はやく決めてください」はご法度です。
実際に成約した際のフローやチェックリストを、できれば日付つきで送ります。
 
1.申込書送付(弊社から申込書をお送りします)
2.申込書受領(申込書をいただきます)
3.アカウント開設(弊社でアカウントを開設します)
4.デザイン提案(弊社からデザイン案をお送りします)
など

「このあとのフローはこのような感じです」と、顧客に何が必要かを先回りして伝え、成約後をイメージしてもらうように連絡します。

・どのステータスにも有効な一気通貫できる施策

マーケティング領域ともかぶってくるかと思いますが、初期営業構築で大切なので、プラスアルファとして一気通貫でできる施策についてです。初期の段階で、全体を通してやっておいた方がいい施策が下記です。

①メルマガ
名刺交換した方に定期的にメールマガジン。僕は毎週トピックスを考え、メルマガを配信していました。自社サービスの有効な使い方、最近のアップデート内容などはもちろん、業界全体の動向や、業界のホットな話題についての自社なりの考察などを配信していました。

②メディア掲載
新機能や、実績などのトピックスを作り、プレスリリースや、有力媒体に取り上げてもらう。プレスリリースは有効な営業ツールです。新機能や、新しいパートナーの情報など、定期的に配信できるようにネタを揃えていきます。

③イベント出展
各種イベントに参加します。(ピッチコンテストや、テックイベントなど)こちらもリード獲得に非常に有効です。参加できるイベントは、できるだけ把握しておき、そこに集まるお客様と自社サービスのターゲットがマッチするようであれば、積極的に参加していきます。

④インタビュー記事
初期は、受注したら必ずインタビューの打診をしていきます。なぜ自社サービスを選んでくれたのか、顧客担当者のマーケットに対する考え方も含めてインタビューし、記事化し、自社サイトに載せていきます。こういった他社事例の記事は、営業の際にすごく有効に活用できるので、必ずやるべきです。

これらはどのフェーズの、どのステータスにも有効なので、初期から意識して、やっていくべきだと思います。

・超重要な最初の10顧客に対する考え方

アポGET編、受注GET編の内容で運用し、最初の10顧客を獲得していきます。そして、もうひとつ必ずやるべきことが、それらの最初の10顧客が自社サービスにどれくらい満足しているかという部分です。これも営業の仕事です。

なぜ自社サービスが選ばれたか?
結果には満足しているか?
改善すべき点はあるのか?

これらを徹底的にヒアリングします。自社サービスのレポーティングや振り返りなどでアポは取りやすい関係値かと思います。

これは営業プロセスの改善というより、サービスや事業の改善になります。
効果は満足しているか、成約後のフロー、やりとりに満足しているか、改善して欲しい点はあるか、徹底的に聞いていくべきです。最初の10顧客が満足してくれれば、それを100顧客にスケールさせていく道筋が見えてきます。また、最初の10顧客が満足することで、営業の自信につながります。

営業は、「自分が営業している商材が本当にいい商材なのかどうか」「自社商材について腹落ちしているかどうか」というモチベーションの部分が、とても重要です。そういった意味でも最初の10顧客の満足度を自ら把握しにいくという作業が必須になります。

・受注GET編のまとめ

さて、今まで長々とお話しさせていただきましたが、まとめます。
「あらゆるフェーズ、あらゆるステータスに対する、進捗しない理由が浮かび上がり、次の打ち手を考えることができる仕組みを作る」

材料は揃ってくるので、次考えることは、進捗しない理由を元に「どうやってフェーズやステータスを前に進めていくか」ということになります。次なる打ち手として「自社サービスのネタ」(カウンターパンチ)を作っていくことになります。

今回の内容で大事なのは、あくまで、どうやったら進捗するかの材料を仕組みで集めることです。

そしてもっと言うと、営業も事業の一つの歯車ですので、マーケティングや開発なども含めた全体の流れの中で、それらを考える必要があります。

長々とお付き合いいただいてありがとうございます。

もし少しでも役に立ったと感じたら、SNS等で拡散していただけたら幸いです。また、この内容自体もアップデートし、運用していくつもりですので、皆様のケーススタディもいただけたら幸いです。

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