非営利組織において「業務効率化」は効果があるのか~組織の基盤強化を考える

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

組織・事業を成長させるために必要なことは何か、をよく考えます。それは、潤沢な資金かもしれませんし、優秀な人材かもしれません。はたまた、優れたビジネスプランかもしれません。こと、非営利組織においてはどうでしょうか。実際に経営していく上で、例えばユニセフなどの大きな組織であれば、比較的にそれらは潤沢にありそうです。一方で、中小規模の組織では、なかなか資金も人も足りない、ということが多々あります。こうした中小規模の組織では、今あるリソースを用いていかに多くの成果を生み出すか、が重要なポイントの一つと考えられます。このリソースをヒト・モノ・カネと置き換えたとき、今回はこのうち、多くの組織にとって「強み」として捉えることができる"ヒト"について見ていこうと思います。

1."ヒト"の時間配分を考える

例えば、成果を「支援者の満足度向上」と仮定した場合、日常業務においてすごく大変な(特に年末での)領収書発送業務があります。これはこれで、法人格によっては税額控除に関わり、極めて重要な事務作業になります。一方で、支援者から見ると、領収書が届くことは当たり前のことであり、満足度に影響する要素は決して高くはないと考えられます。

もし、この領収書発送に費やしている"ヒト"(=スタッフ)のうち何人または何時間かでも、支援者とのコミュニケーションに費やしたら、それは電話をしたり、対面で会える感謝の集いを企画したりしたら、満足度の向上に繋がるのではないでしょうか。
このとき代りに「領収書を発送しない」ということではなく、例えば領収書発送の業務プロセスを見直して作業時間を短縮したり、ITソリューションの導入やアウトソーシングなどを通して業務を削減したりして、スタッフである"ヒト"の余剰リソースである時間を確保します。

つまり、ポイントは"ヒト"の「適切なリソース配分」を目指すことで、高い成果につなげます。そして、これを実現するために、業務の効率化などを検討する必要があります。

例えば他にも、マンスリーサポーター制度において、その決済手続きや入退会の管理業務などをITソリューションの導入を通じて効率化する一方で、スタッフが支援者とのコミュニケーションに割く時間を多くすることで、支援者満足度の向上につなげる、などがあります。

基盤強化とは

ここまで書くと、「お金がないから、スタッフが一所懸命やっているんだ」という話もあります。(私も、同じ立場にいたこともありますので)この気持ちは本当によくわかります。こうした実状において、最近は多くの助成財団や企業、行政が『組織基盤強化』という形で補助・助成金を出していますので、こうした機会を利用する方法もあります。

基盤強化とは、(特に小さな)組織の強みである"ヒト"を「恒常的に」に活かすため、業務効率化を考えるコンサルタントを招いたり、ITソリューションを導入して、"ヒト"の時間をどこに重点的に費やしたら最高の成果を生み出すかを考えられるようにする、という風に考えることもできるかもしれません。

2."ヒト"の仕事への割り振り考える

"ヒト"の能力は、得意なこと、好きなことをやっているときが、最も高く発揮されると言われたりしています。例えば、先のような領収書発行にみられる事務作業において、ある人は支援者とのコミュニケーションなどのファンドレイジング業務、またある人は現場での事業活動など、その人の能力がより発揮されることに集中する方が、より高い成果をだせる可能性があります。(※繰り返しになりますが、事務作業は組織運営でも極めて重要な仕事です。私もそうですが事務作業が得意な人、好きな人もいます。これは、ことさら強調しておきたいです)。

つまり、ポイントは「適材適所」を目指すことで、高い成果につなげられることです。そして、これを実現するには、その人が、どの仕事が得意ないしは好きか、また成果につながるようなスキルがあるか、を経営者やマネージャーが把握することかと思います。

他にも例えば、ボランティアにしてもらっている様々な郵送物の封入作業をあえて(一部)アルバイトを雇い、(本人が希望し、かつスタッフが信頼をおくような)ボランティアが支援者との交流会を企画・運営するようにします。ボランティアをするぐらい、その組織に共感し、好きでいる気持ちを汲み取った活動をお願いすることは、組織にとっても、また支援者にとっても良い機会となるかもしれません。
また別の例では、これまでスタッフが作成したり運用していたwebサイトやオンラインマーケティングを一部アウトソーシングする一方で、そのスタッフが仮に元新聞記者であったらそのテキスト部分を自前で執筆するなど、得意な部分を活かしながら、かつ余剰時間も生み出せる、といった方法もあります。

このように、

① ITソリューションを導入して、機械の良さである「(比較的)単純かつ大量の作業を自動化する」という点を活かし、人の良さである「コミュニケーション」を活かす
② 外部の専門家へアウトソーシングして、その良さである「(スタッフに比べて)専門性としての高い効果を生み出す」という点を活かし、スタッフの良さである「(外部の専門家が持たない)事業への熱意や共感の気持ち」を活かす

といった、リソース配分を考え、さらに適材適所も組み合わせることで、より高い効果を生み出せるようになる方法もあります。

最後に

これを仕組みというか型として考えるのが、実は「戦略」というものになります。これはこれでまた書ければと思いますが、大切なことは、大きな組織だけではなく、実は中小規模の組織においてこそ、"ヒト"という強みを活かした「リソース配分」と「適材適所」(そしてその延長にあたる「戦略」)を上手に使うことで、組織の成長を生み出せるのではないかと思います。

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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Junya Aizawa

コンサルタント/クライアントはソーシャルを大切にしたい営利・非営利組織/専門は経営戦略及びファンドレイジング戦略の策定とその実行支援など/最近広めたいワードは「カッコいい社会貢献」/長野県好き

イラスト使ってくれたマガジン(仮)

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