ファンドレイジングの王道「キャンペーン」~非営利組織がその真価を発揮させる方法とは

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

これまでに街角などで、募金キャンペーンを目にしたことはありませんか。実はこうしたキャンペーンは、ファンドレイジングにおいては古くから多くの非営利組織で行われ王道ともと言われてきました。今回は、このキャンペーンについて見ていこうと思います。

1.キャンペーンの種類と効果

ファンドレイジングにおいて、キャンペーンとは「目標とする金額」を決め、それに向けて定めた「特定の期間」のなかで行われるファンドレイジング活動全般、と一般的に言われています。募金箱を持った行為も、DMを送る行為も、特定の期間内で、目標となる金額を達成するための行為であれば、キャンペーンの一環となります。なお、このキャンペーンですが、いくつかの種類に分けられます。

① シーズンキャンペーン
しばしば年の瀬に見られる"歳末募金キャンペーン"など、季節性の強いキャンペーンになります。
② プロジェクトキャンペーン
緊急災害時の募金キャンペーンや、医療支援が必要な人を助けるための募金キャンペーンなど、テーマ性の強いキャンペーンになります。近年話題の「クラウドファンディング」も、このプロジェクトキャンペーンに含まれます。
③ キャピタルキャンペーン
学校や美術館などの施設を建築及び改築するといった"建設募金キャンペーン"、○○大学開校150周年といった"周年募金キャンペーン"、行政や中間支援組織がしばしば創る基金のための"基金募金キャンペーン"など、規模間の大きいキャンペーンになります。

キャンペーンの手法はそれぞれ異なってきますが、それを通じて組織が得られる効果は共通しています。

効果1 寄付金額がアップする
目標と期間を定めることで、NPO側としては比較的多くのリソースをキャンペーンに集中して充てられるになります。また支援者側としても、応援したい気持ちや関心分野があると、比較的その意欲を駆り立てられることがあります。こうした下地のもとで、戦略的にキャンペーンを展開すると、寄付金が集まる可能性は高まります。
効果2 組織の一体感が醸成される
一般的なファンドレイジングに比べて、キャンペーンは全組織をあげた活動と位置付けやすいと言われています。そのため、他のスタッフの理解や協力を比較的得やすいことから、彼らを巻き込み一緒に活動することで組織としての一体感が醸成され、ひいては強い組織へ至るチャンスになり得ます。

一方で、デメリットもあります

ピーク疲れ
最大のデメリットはこれです。キャンペーンは、ファンドレイジングにおける一種のピーク期間を創り出すものです。当然、1回のキャンペーンに費やすNPO側の労力は高まります。また支援者目線では、キャンペーンが立て続けに行われると、どうしても疲れや飽きを感じてしまいます。そのため、キャンペーンは連続して行わない、というのが割とよく聞きます。

2.最高の効果を発揮させるキャンペーン戦略とは

では、実際にキャンペーンを実施するには、どうすればよいのでしょうか。今回は「シーズンキャンペーン」について、見ていきます。

ちなみになぜシーズキャンペーンかというと、国内においては、これまで7月や12月はボーナスシーズンということで、そこに合わせたキャンペーンを行うことがありました。しかし最近は、12月を『寄付月間』と定めて寄付行為の促進をはかる動きがあったり、税額控除のメリットが受けられる認定NPO法人の増加や、同じく控除を受けられる「ふるさと納税」(※1)の爆発的な拡がりにより、12月のかけこみ寄付が増えています。こうしたことから、12月をピークとする季節性キャンペーンへの注目が今高まってきています。

<ステップ1.準備フェーズ(約1-4ヶ月間)>

まず、目標金額と実施期間などのキャンペーン全体の計画を立てて、実施に向けた準備を進めていきます。この計画と準備がキャンペーンの成否を大きく左右します。仮に12月をピークポイントとした場合、計画と準備は早いところは6月から、遅くとも9月から始めます(年間のファンドレイジング計画や組織の経営戦略に組み込んでいる組織もなかにはあります)。

準備① 計画立て
最初は下記を決めましょう。
・目標金額
・実施期間
・体制
・ツール
・予算
・スケジュール

準備② 体制の準備
理事やボランティア、そして出来る限り他のスタッフも巻き込んで、組織全体で進めていく体制を創りましょう。実際には、理事や他のスタッフは忙しいので、声を掛けにくいかと思います。その場合は、事務局長などの責任者を説得してその威光を借りたり、お願いしたい仕事を細分化して一部だけを協力してもらうなど、可能な限り巻き込む努力をしましょう。
ここで大切なのは、キャンペーンを単なる資金調達の一環としてではなく、組織を上げて取り組み、その過程を通じてスタッフ間や理事・ボランティアとの連帯感というか一体感を高めることを目指しましょう。そうすることで、信頼関係の強い組織へと成長させていけます。組織としては、例えば地域で毎年あるお祭りのような感覚で、キャンペーンを行えるようになるのが理想です。

準備③ キャンペーンメッセージ(ストーリー)の作成
今回のキャンペーンを通じて支援者に何を伝えたいのか、そしてそれは支援者の共感を呼び込むメッセージになっているのかを踏まえて作成します。ここでいうメッセージとは例えば、キャンペーンを通してのキャッチコピーであったり、キャンペーンのwebサイトや広報媒体物で必ず紹介する寄付者のストーリーであったります。

準備④ 対象となる支援者の選定とリストアップ
キャンペーンで呼びかける対象者を決めます。マンスリーサポーターを含むのか、関東地域に住む支援者だけにするのか、若年層だけにするのか、など。選定した対象者はリストアップしましょう。

準備⑤ コミュニケーション方法の選定(フォローアップ方法の選定含む)と準備
対象者に応じたコミュニケーション方法とその内容を決めます。また、寄付後のお礼方法も決めておきます。そして、決めたコミュニケーションの準備をしましょう。

対象者とコミュニケーション方法の選定は、キャンペーンだけでなく、ファンドレイジング全般に共通したスキルになります。この辺は、別の機会に集中して書ければと思います。


< ステップ2.実行フェーズ(約2-3ヶ月間)>

上記の準備を経て、キャンペーンを実行します。実行時のポイントをまとめてみました。なお多くは10月ぐらいから、一部の準備タスクと並行して初めて行くとよいでしょう。

実行ポイント① 対象に応じたコミュニケーションと寄付依頼
支援者の方の属性を踏まえて、それぞれに適切なコミュニケーションを行いましょう。例えば、マンスリーの方をキャンペーン対象に含めた場合に、彼らは毎月寄付していることから、なぜ今回のキャンペーンで追加寄付を求めているのか、その必要性をより丁寧に説明することが大切になります。手法としては、彼らへ郵送する寄付案内に、その理由を丁寧に書いた資料を1枚追加するなどがあります。
実行ポイント② 段階的なコミュニケーションと寄付依頼
いきなり寄付のお願いをしないように気を付けましょう。過去に単発で寄付をされた方が、あまりNPOからの連絡がないなかで年末になっていきなり寄付のお願いを受けたら、困惑してしまう恐れがあります。そうならないために、例えば、10月に活動報告書を送付し、11月にイベントを案内し、12月に寄付のお願いをする、などといった段階的なコミュニケーションがあります。
実行ポイント③ 複合的なコミュニケーションと寄付依頼
寄付をお願いされても、ご本人は忘れていたり、気が付かなかったりする場合もよくあります。このため、12月初旬に郵送物を送り、まだ寄付していない人には限っては12月下旬にメールでフォローアップするなど、複数のコミュニケーションツールを適切なタイミングで使い分けることで、嫌に思われない範囲で寄付の依頼ができます。

ステップ3.振り返りフェーズ >

今回のキャンペーンを振り返り、翌年に向けた改善点などを検討します。

3.キャンペーンはファンドレイジングの総合力が試される

キャンペーンの運用をみると、ファンドレイジングの知識・スキルが必要になる箇所が随所に見られます。例えば、対象者の選定においては、いわゆる「支援者分析」のスキルがあるとより効果的ですし、コミュニケーションは必然的に発生することから、いわゆる「支援者コミュニケーション」のスキルが求められます。また、組織のメッセージ等を棚卸する「ケースステートメント」スキルなど、多方面にわたってファンドレイジングの知識・スキルの有無が、キャンペーンの良し悪しに効いてきそうです。つまり、キャンペーンというのは、ファンドレイジングの総合力が試される手法と考えても良いかもしれません。


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Junya Aizawa

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