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声を上げるには~変わりゆくアドボカシーの手法

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

2015年5月、日本から遠く離れた米国シアトルの港で、「抗議(アドボカシー)活動」に新たな局面が訪れようとしていました。

オランダに本拠を置く石油会社のロイヤル・ダッチ・シェル(以下、シェルと略)は、北極圏での採掘目指し、航行可能な採掘リグという40階建てのビルに匹敵するような巨大な石油掘削装置を、シアトルから北極圏にむけて進めようとしていました。

それに対して、環境保護団体「Green peace」を中心に、採掘による環境への影響などを懸念した人々がリグの行く手を阻もうと、小さなカヌーに乗って抗議活動を行っていました。その数は海上で500以上にも上っていたそうです。

5か月後、シェルは、北極圏での採掘計画を放棄すると発表したそうです。(※1)

この抗議(アドボカシー)活動が今までと異なる特徴は、そこに集まった人は環境保護に熱心な人だけでなく、何百万人にも及ぶ一般の人たちが参加したことだと言われています。

1.「Mobilization Lab」という存在

この活動には、「Mobilization Lab」(以下、MobLabと略)という抗議(アドボカシー)活動を設計・支援することを目的とした専門のコンサルティング組織がバックアップしていました。

MobLabは、一般の人々の情熱を、いかに集められるか、が成功要因の一つとして捉えています。どういう行動が人々の支持を多く集められるか、を徹底的に検討するそうです(※2)。

2.一般の人の声を聴いて

MobLabは、ユニセフ、国境なき医師団、オックスファム、アムネスティ・インターナショナル、セーブ・ザ・チルドレンなど、国連及び国際的NGOの活動をサポートしているそうです。

ユニセフでは、ボランティアを集める取り組みとして、ユニセフスタッフとブレストして対象となる人を大まかに絞り込んだら、実際に街頭で一般の人にインタビューして、フィードバックを行い、取り組み方法を調整をする、ということを繰り返したそうです。
アムネスティでは、難民支援のためのプロジェクトを進めるために、スタッフとともに街頭インタビューで、一般の人々との意識合わせを行いました。そこでは、多くの人が「難民」と「移民」との違いを知らなかった、という声が聞こえ、アムネスティとして当然であると思っていたことと、多くの人が思っていることのギャップを理解でき、それに応じたメッセージに変えていったそうです。

3.ファンドレイジングとの親和性

多くの人に、自分たちの活動や目的を伝えることは、共感し応援してくれるファンを増やすことと似ています。その過程で、カヌーに乗る場合もあれば、ボランティアをする場合もあります。そして、寄付をする場合もあります。

自分たちの活動を拡げることは、今日は多くの人に伝え、共感してもらい、その力を借りることが重要なのではないでしょうか。

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~


※1 参考
https://en.wikipedia.org/wiki/Seattle_Arctic_drilling_protests

写真:Flickr / Backbone Campaign

※2 参考




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