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【読者】書店を支えるのは読者の清き一票です

それでも私は
マニアックな本を読み続けたい。
 
マニアックな作家、
というと、その作家に失礼に
当たりますが、それは
お許し頂くとしまして。

今月、嘉村礒多(かむらいそた)
という戦前を生きた
私小説作家の作品集が、
岩波文庫から
発売になりました。

おっ!嘉村礒多だ!と私は
書店で声を出しそうになりました。

戦後の作家や文学研究者で、
もしも、昔の私小説家で
読み直すべき価値がある人は誰か?
という話になると、
嘉村礒多、
葛西善蔵、
上林暁の3人がよく名前が 
挙がっていました。
でも、嘉村礒多はなかなか
書店には並んでいませんでした。

だから、前から
嘉村礒多の本が出ないかなあ、
と気になっていました。

こうした作家が
岩波文庫や中公文庫やちくま文庫で
コツコツと刊行されていくのは
すごく嬉しい出来事です。
少なくとも古い作家好きな
私みたいな人間には。

今回、嘉村礒多が刊行された
その背景には、
岩波文庫編集部や岩波の販売部が、 
採算がとれると判断できるだけの
何らかのデータや根拠が
あったからだと思うんです。

ここ数年の、
私小説家の作品の復刻が
どれくらい売れたかという
数字が、それも、
赤字ではなく
それなりに黒字になるという
直近データがあるから、
だろうと推察しちゃいます。
出版社では、直近データが
何よりも、モノをいうからです。

ということは、
嘉村礒多や葛西善蔵や上林暁を
買って読んでいる読者が
それなりにいるってデータが
あるからですね。

ああ、良かったあ、
マニアックで地味かも知れませんが、
そんな本を読む読者が
まだまだいるという事実が
選挙の一票みたいに?
出版界や書店界や、
しいては、文学界を
支えているってことに
なるんですよね。

なんだか一気に、
話が大風呂敷になりましたが、
読者の存在が、
本に関わる全ての業界の
基礎になっている、、、、
ああ、今日は話がどうも
大風呂敷になってしまうな(笑)。

まあ
そんな訳で、
私は今日も明日も、
ベストセラー作家も読むけれど、
マニアックな私小説家の本も
いっぱい読んでいきたい。

そうしたら、
金子光晴や上林暁や
嘉村礒多の作品が
ちゃんと刊行される世の中が
いつまでも続くってことに
なるんですものね。

いや、これもまた
ちょっと大風呂敷かしら(汗)

世の中が、
東野圭吾や佐伯泰英ばかりが
売れ続けるのは、
書店や出版社には、不健康ですから。

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