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『ドライブ・マイ・カー』、アカデミー賞ノミネートまとめ!

先日発表されたアカデミー賞のノミネート。
そこで見事、日本から『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされました!

アメリカ映画以外の映画に対する賞である「国際長編映画賞」には、ノミネート濃厚とされてましたが、主要部門である「作品賞」「監督賞」「脚色賞」にまでノミネートされたのは本当にすごいです!!

個人的にも大好きな作品で、昨年のベスト10にも上位で入れました。

今回は、『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされた各賞を中心に、noteでまとめてみたいと思います。


『ドライブ・マイ・カー』ノミネート

https://filmarks.com/movies/93709

今回、『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされた部門のおさらいと、自分の考えをまとめてみます。

<今回ノミネートされた部門>
・作品賞
・監督賞
・脚色賞
・国際長編映画賞


・作品賞

これはアカデミー賞の目玉の賞です。
昨年1年間で一番良かった映画に贈られる賞なので最高の名誉です。
授賞式でも一番最後に発表されて、この受賞で締めくくるくらいです。

<今年のノミネート作品>
『ドライブ・マイ・カー』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ」
『ベルファスト』
『ドリームプラン』
『リコリス・ピザ』
『ウエストサイド・ストーリー』
『コーダ あいのうた』
『DUNE / デューン砂の惑星』
『ドント・ルック・アップ』
『ナイトメア・アリー』

ここにノミネートされたっていうのがマジですごいです。
アメリカ映画以外でノミネートされるだけでも本当にすごいのですが、受賞したらそりゃもうとんでもない快挙です。
ノミネートされたこと自体が日本映画では史上初ということです。

<過去3年の受賞作品>
2020年 『ノマドランド』
2019年 『パラサイト 半地下の家族』
2018年 『グリーンブック』

2年前に『パラサイト 半地下の家族』が韓国映画として作品賞にノミネートされてそのまま受賞したのでこれは本当にすごかったです。
韓国エンタメ界の実力も相当なものですが、英語版のSNSアカウントも用意していたり、ロビー活動もしっかりやっていてやれる準備は万全だった感じもありますが、日本ははっきり言ってそこまでできてないです。


・監督賞

こちらも作品賞に続く目玉の賞。
作品賞にノミネートされている作品の監督が選出されることが多く、こちらも監督として手腕が讃えられる最高の名誉となります。

<今年のノミネート監督>
濱口竜介 『ドライブ・マイ・カー』
ジェーン・カンピオン 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ポール・トーマス・アンダーソン 『リコリス・ピザ』
スティーブン・スピルバーグ 『ウエストサイド・ストーリー』
ケネス・ブラナー 『ベルファスト』

なので、濱口竜介監督がここに入ったというのは本当にすごいです。
作品自体が認められていて、その作品を監督したということで評価されているのですが、アメリカ映画以外の作品で入ってきてるのがすごいですね。

濱口竜介

日本人としてノミネートは、『乱』(1985年)の黒澤明監督以来ということで、36年ぶりになるそうです。
『砂の女』(1965年)の勅使河原宏監督を入れて史上3人目のノミネート。

こちらも受賞したら日本人として初めて快挙です。

<過去3年の受賞監督>
2020年 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
2019年 ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)
2018年 アルフォンソ・キュアロン(『ROMA / ローマ』)

そして、ちょっと流れとしてあるんじゃないかと思わせるのが"アジア勢の流れ"です。
白人ばかりが受賞してきた"ホワイトオスカー問題"で揺れたアカデミー賞は、多様性を問うために賞に投票する権利のあるアカデミー会員に女性や有色人種を大量に増やしました。

そこから受賞したのが、韓国人である『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督です。
そしてその翌年には、中国系のクロエ・ジャオ監督が受賞。
2年連続でアジア系が受賞するという流れが起こっています。

左:ポン・ジュノ 右:クロエ・ジャオ

もちろん作品が素晴らしく、監督の実力があることが大前提ですが、この流れ、ワンチャンあるんじゃないかと思わせてくれます笑


・脚色賞

こちらも主要部門の賞です。
作品賞に並ぶ作品がこちらでも入ってます。

<今年のノミネート作品>
『ドライブ・マイ・カー』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『コーダ あいのうた』
『ロスト・ドーター』
『DUNE / デューン 砂の惑星』

だけど脚色賞ってどんな賞なのかよく分からない方もいると思います。
脚本賞と何が違うの?っていう疑問が自分もありました。
簡単に違いを比較してみると以下の感じです。

脚本賞:その映画のために書かれたオリジナルの脚本のための賞
    (Writing Original Screenplay)
脚色賞:元々原作があってそれを映画用にアレンジした脚本のための賞
    (Writing Adapted Screenplay)

『ドライブ・マイ・カー』の場合、原作は村上春樹の短編小説です。
こういう原作があって、それを映画のためにアレンジしたものが脚色賞の対象になるんですが、濱口竜介はその脚本力が元々定評がある人です。

原作では車中で会話するだけの短い内容なんです。
それが映画ではなんと2時間半という大作に笑
さてどのように脚色されていたのでしょうか。

原作の短編集「女のいない男たち」を読んだ方なら分かると思いますが、タイトルになっている『ドライブ・マイ・カー』の他に、『シエラザード』や『木野』といった別の短編の話も引用されていてそれらが見事に一つの話に融合されています。
さらに原作にはない「ワーニャ伯父さん」や「ゴドーを待ちながら」と言った演劇の要素も入ってきて、広島や北海道と舞台となるエリアも広がっています。

原作には描かれていない余白の部分を思い切り創造性豊かに広げて一つの作品として作り上げています。
こういう脚本力の力量が本当にすごいです。
日本人のノミネートが史上初!となってます。

<過去3年の受賞作品>
2020年 『ファーザー』
2019年 『ジョジョ・ラビット』
2018年 『ブラック・クランズマン』


・国際長編映画賞

こちらはアメリカ以外の映画を対象にした賞なので、海外の作品は大体この賞がメインとなってました。
かつては「外国語賞」と呼ばれていて今でもついつい言っちゃいますが、2年ほど前に今の名称に変更となりました。

<今年のノミネート作品>
『ドライブ・マイ・カー』(日本)
『ワースト・パーソン・イン・ザ・ワールド』(ノルウェー)
『フリー(Flee)』(デンマーク)
『Hand of God -神の手が触れた日-』(イタリア)
『ブータン 山の教室』(ブータン)

各国の代表作品が送り込まれる賞で、アメリカ以外の作品はここでの受賞を目指すのが普通なのですが、ここだけじゃなく作品賞にまでノミネートされるっていうのは本当にすごい。
さらにはアメリカでは馴染みの薄いアジア映画において作品賞も制した『パラサイト〜』の快挙がいかにすごいことか。

今回、この国際長編映画賞では『ドライブ・マイ・カー』が本命と言われていますが、果たしてどうなることやら。

<過去3年の受賞作品>
2020年 『アナザーラウンド』
2019年 『パラサイト 半地下の家族』
2018年 『ROMA / ローマ』


最後に

アカデミー賞って毎年ワクワクしますけど、今年はさらにワクワク!
『ドライブ・マイ・カー』がこんなにノミネートされるなんて!!
もう楽しみで仕方ないです。

放送は、日本時間で3月28日(月)の午前10時頃から昼過ぎくらいまで、WOWOWにてやります。
これは生放送で見るのがやっぱり楽しいので、可能であれば映画仲間とワイワイお酒でも飲みながらできるとサイコーですね。
思いっきり平日ですけど笑

アカデミー賞ってアメリカ時間で日曜の夜にやるんで日本だと月曜午前になっちゃうんです。(泣)


ということで今回は『ドライブ・マイ・カー』のアカデミー賞にノミネートされた部門についてまとめてみました。
この作品をきっかけに西島秀俊ら日本の俳優陣にもスポットが当たって海外で活躍してくれることを祈ります。
まだ未見の方は絶賛公開中ですしレンタルも2/18から出ますので、鑑賞をおすすめします。

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最後までありがとうございます。



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