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アカデミー賞 結果発表のまとめと、今回の授賞式で起こった”珍騒動”について

2021年の第93回アカデミー賞、今年はコロナの影響で例年のよりも大分遅れて4月の開催となりました。

今年も動画配信勢のシェアがすごいラインナップになっていますが、結果はどうなったのか、メインどころの受賞結果とまとめ。
それに今回のアカデミー賞授賞式の”珍騒動”についてまとめてみたいと思います笑


作品賞 『ノマドランド』

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やはり大本命の作品が受賞しました!
リーマンショックで仕事も家も失った主人公が、車上生活の季節労働者としてアメリカを漂流(ノマド)する姿を描いたとても美しい作品。

主人公以外のほとんどのキャストが実際のノマドの人たちで、彼らが語るリアルな現状にアメリカの闇を感じつつも、そこに新しい希望も見え隠れする。

逞しく生きる女性が主人公で、それを描いたのが中国出身の女性監督。
多様性やセクハラ問題を抱えてきたアメリカ社会やアカデミー自身が持つ問題意識にも合致したテーマ性ある作品で、作品自体も素晴らしく納得の受賞。

本来は、締めであるはずの作品賞が今回はアカデミー側の演出によって、最後でなく途中に発表されました。かなり異例のことで、なんで順番を変えたのか最初は良く分かりませんでしたが、わざわざ変えるだけの演出を用意していたようです。


監督賞 クロエ・ジャオ

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こちらも大本命、中国出身の女性監督クロエ・ジャオ。
前作の『ザ・ライダー』当事者を本人役で登場させることでドキュメンタリーのようなリアルさと、大自然の雄大な景色を融合させるような独特の手法が際立ちます。

『ノマドランド』では製作にも加わりプロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドが『ザ・ライダー』を観て、クロエを本作の監督にと抜擢したのだとか。
さすがの選球眼だし、それに応えたクロエ・ジャオももみごと。

そんな彼女の次回作がマーベルとは笑
どんな風になるか想像つかなくて、楽しみ!

WOWOWの中継で、中島健人がクロエ・ジャオにインタビューしてる映像があって、そこでクロエ・ジャオが『幽☆遊☆白書』の大ファンであることを語ってました。(しかもかなり興奮気味に笑)
これは、クロエ・ジャオ監督でハリウッドでの実写版あるか!?

プレゼンターが昨年の受賞者である韓国のポン・ジュノ監督だったので、アジア系が2年連続で監督賞を受賞するという快挙でした。
このシーンはしびれた。


助演女優賞 ユン・ヨンジャ

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いやー、よく受賞してくれました。
『ミナリ』のおばあちゃん。孫とのやり取りが本当に良かったです。

移民一家を描いたこの作品は、移民の苦労を描きつつも彼らを受け入れ共同体に迎え入れていく地域も同時に描くことで分断社会に対するメッセージを感じさせる秀逸な作品です。

73歳にして受賞したことも、アジア系女優として受賞したこともとても意義深いものとなりました。
アカデミーの多様性が感じられる流れとなってきました。


助演男優賞 ダニエル・カルーヤ

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こちらも本命と目されていた『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』のダニエル・カルーヤが受賞しました。

ブラックパンサー等の重要人物でありながら、実はスパイであった男の葛藤を描いた作品。
日本では劇場公開予定が決まっていなくDVDリリース予定という、まさかの状況なのですが、夏くらいに観れそうです。

ダニエル・カルーヤは、『ゲット・アウト』や『ブラック・パンサー』に出演している俳優。
今回の授賞式のスピーチでは家族いじりもするお茶目な人でした。

他の衣装デザインなどでも黒人の受賞が続き、今回のアカデミー賞は非白人の躍進が期待されていましたが、その通りに受賞が進む結果となってきました。


主演女優賞 フランシス・マクドーマンド

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こちらも堂々の受賞!
個人的には、キャリー・マリガンかなーと思ってましたが、3度目となる主演女優賞の受賞となりました。(『ファーゴ』、『スリー・ビルボード』)

彼女は、他にエミー賞(ドラマ)、トニー賞(演劇)でも受賞していて演劇の三冠王でもあります。

作品賞の後に発表されたこともあるのでしょうが、授賞式のスピーチはあっさりでしたが、作品賞、監督賞のクロエ・ジャオの時の方がめっちゃ喜んでました。


主演男優賞 アンソニー・ホプキンス

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こちらは今回最大のサプライズ!
大本命だった昨年惜しまれながらも亡くなったチャドウィック・ボーズマンではなく、『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが受賞!(『羊たちの沈黙』に次ぐ2度目の受賞)

『ファーザー』は日本ではまだ観れないのですが、きっと素晴らしい演技ということなのでしょう。 楽しみ!

全員がチャドウィック・ボーズマンの受賞で終わるんだろうと思ってたんで、思いっきりズッコケました笑
「どういうこと!?」という空気の中、番組もそのまま終わり、物議を醸すこととなりました。


▼その他の結果はこちら



授賞式”珍騒動”について

さて、ここからは今回の珍騒動がどういうことだったのかについてまとめていきたいと思います。

WOWOWの生放送を見ながらだったのですが、見てた方はほぼ同じようなリアクションだったのではないかと思います。
作品賞が途中で発表されたあたりからちょっとザワザワし始めてきて、主演男優賞がアンソニー・ホプキンスで「え!?」ってなって、そのまま番組も終っちゃって、直後は色々と整理できてなかったのですが、まとめてみたいと思います。


作品賞の順番

そもそもアカデミー賞では、最重要とされる作品賞が一番最後に発表されて前年の一番の作品を労います。
なので、お祭りの最後として作品賞の発表で盛り上がるというのが通例です。

今回はその順番を変えるというかなり異例の演出でした。
事前には知らなかったので、作品賞が途中で発表された際にはかなりざわつきました。

作品賞が最後じゃなかったことってまずなかったそうです。


ソダーバーグの狙い

今回、アカデミー賞の演出を手掛けたのは、映画監督のスティーブン・ソダーバーグです。

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『オーシャンズ11』シリーズをはじめ人気作を作りながらも、チェ・ゲバラの映画など骨太な社会派作品も手掛けている才能あふれる監督です。
『コンテイジョン』ではコロナを予言するかのような内容でした。

そんなソダーバーグの狙いとしては、今回のアカデミー賞の最後の最後にチャドウィック・ボーズマンが受賞して、彼の追悼の意味もあり、非白人が躍進するアカデミー賞の象徴としての意味もあり、大いに盛り上がってそこで幕を閉じるというものでした。

今回の候補の中で、一番固いと言われていたチャドウィック・ボーズマン。ところが、結果的にはアンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞することになりました。


その結果起こったこと

最後にアンソニー・ホプキンスが受賞したものの、なんと本人はアカデミー賞の会場にいませんでした。
彼が居たのはイギリスの自宅で、コロナの影響で国外には行けない状況。
なので、オスカー像を受け渡すこともできず、プレゼンターだったホアキン・フェニックスも受賞者を読み上げて「え!?」って感じのまま、オスカー像を渡す相手もおらず、立ち尽くしたまま画面はエンドロールに切り替わり番組は終わりました…

それに、最大の名誉である作品賞が前に発表されたことにより『ノマドランド』が受賞した功績、それに監督賞も受賞したクロエ・ジャオの快挙が少し霞んでしまう結果になってしまいました。

さらに、BLM(ブラックライブスマター)の問題に対するアンサーとしても黒人であるチャドウィック・ボーズマンが受賞することがメッセージになるのですが、結果的に受賞したアンソニー・ホプキンスは白人でした…

ということで、目指したことに対して結果が全て裏目に出てしまったということに。。

・アンソニー・ホプキンスが会場におらず、オスカー像を手にする映像で終われなかった
・作品賞や監督したアジア系女性監督クロエ・ジャオの快挙が霞んでしまった
・最後の最後に白人の受賞で終わる結果になった

恐らくソダーバーグが目指したであろうこととは真逆の見え方になり、見ている方も「は!?」となったし、1つが違っただけでここまでグダグダになって終わってしまうという世紀の珍騒動となったのでした。


アカデミー賞は、ガチだった

そして、このグダグダで終わった授賞式から良かったことを挙げるとすれば、いろいろな所でも言われていますが「アカデミー賞はガチだったんだ」ということです。

大本命だったチャドウィック・ボーズマンの受賞に賭けすぎたソダーバーグがやらかしてしまったことではありますが、どういう結果になるのかは当日の関係者であっても本当に知らされていないということが今回はっきりしたことでした。


最後に

なんかしばらくモヤモヤしていたところはあったのですが、自分の中でも整理する意味もあってnoteを書いたら少しスッキリしました。

いろいろな人が、いろいろな角度から感想があると思いますので他にも情報を出している方がいれば見てみると面白いと思います。

それに今回のアカデミー賞作品で動画配信や、これから劇場公開するものなどたくさんありますので、気になった作品をぜひこの機会にチェックしてみることをおすすめします。


最後までありがとうございます。

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