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エピソード大喜利:お題『テニスの試合中ボールボーイが泣いてる、何があった?』

休日に流れる穏やかな空気とは裏腹に、とある部屋の一室では夫婦喧嘩が起きていた。
原因は朝食の味付けが濃かった、というとても些細なこと。
夫は何気なく言った一言だったが、言われた妻は日頃の鬱憤も重なり、強めに言い返した。
2人には中学生になる子どもがいて、同じテーブルを囲んでいた。
当然そのやり取りを見ていたが、夫婦は子どもの前ではなんとか一言ずつ言い合いジャブのみでグッと堪え、子どもが出掛けると同時に掴み合いのゴングは鳴った。
 
妻『味付けどうこう言う前にしっかり仕事しろよな』
夫「仕事?しっかりやってんだろ。折角の休日なんだから仕事の話するなよ」
妻『家に仕事持ち帰ってきて、ピリピリした空気出して仕事してるせいで家の空気悪くなってることに気付けよ』
夫「忙しいんだからしょうがねーだろ。家族のために働いてんだから、そんな言い方すんなよ」
妻『家族のためってキラーワードで何でも許されると思うんなよ』
売り言葉に買い言葉、夫婦喧嘩は止まらない。
 
その頃、夫婦の暮らす家から徒歩で20分程の所にあるテニスコートでは試合が行われていた。全部で4面あるテニスコートの中に試合が中断しているコートがある。
夫婦の中学生になる息子がこのコートでボールボーイを務めていて、突然泣き出してしまったのが原因だ。
レフェリーが試合を止め、ボールボーイに駆け寄ると、選手たちも駆け寄り、ボールボーイの背中に優しく手を添える。
 
『大丈夫かい?ボールが当たっちゃったかな?』
レフェリーたちは声を掛けるが、ボールボーイは首を振ってはいる。
涙が止まらず、何も答えられないでいた。
 
ただ心の中ではこう思っていた。
『ごめんなさい。両親がおそらくまたケンカしていて、それを思い出したら涙が止まらなくなってしまって。でもそんな事を言ったら2人に怒られるし…、きょうは家に帰りたくない』
 

ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪