ジャスミン藤

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先生が学校を卒業する日

 『生徒は毎年、卒業していくけれど、先生はずっと学校に残って同じことを繰り返す。先生には卒業がない。退職する日までは・・・。  卒業式の日、よく思っていたこと。卒業する生徒には新しい場所で、新たな出会いと学びがあるんだなあ。羨ましいなあ・・・。私はどうだろう。  私は彼らが卒業したあとも、また同じ枠組みの中で、しかも、自分で考え納得したこと「ではない」枠組みの中で、それが最善だと信じている「ふり」をして、生徒の前に立って、なんとかしのいでいかなければならない。  文科省や

    • 神田沙也加さんの訃報を聞いて思うこと

      注)だいぶ前に途中まで書いて中断していた記事を、続けて書きました。  昨年末(2021年12月18日)、神田沙也加さんがお亡くなりになったというニュースを聞き衝撃を受けました。才能にあふれ、可愛らしくて、ミュージカルや歌で活躍の場を確立されていた方でした。心よりご冥福をお祈りいたします。  私はお母さまの松田聖子さんの歌を聴いて育った世代です。働くシングルマザーの子どもとして育った沙也加さんの心情を思い巡らせてみた時、私も同じようにシングルマザーとして1人娘を育てた経験か

      • 家族のテーブル

        私には弟がいる。おそらく彼は、今50歳だ。 彼は就職していない。生きていることが仕事だ。 結婚もしていない。 彼は実家で76歳の両親と3人で暮らしている。 彼は、おそらく、ほぼ1日中、2階の6畳の自室で、ただじいっと横になって生きている。身体的には表面上、何も問題なく五体満足なのだが、6畳の空間での生活が10年以上続いている。 彼は料理が得意だ。台所に立ってよく自分の食事を自分で作っている。彼は作った料理を自室に持って行って1人で食べている。 私が時々、ふらりと実

        • ずっとあったのに気づかなかったもの

           私は毎日、車で通勤している。通勤途中、橋の上まで来ると、川の向こう左手に延々と山脈が広がっているのが見える。冬の晴れた早朝などは、パキッとした濃紺の青空と、白い雪化粧をほどこした薄水色の山脈のコントラストが一斉にぱあっと目に飛び込んでくる。その色合いは絶妙で、感動的に美しい。冬の朝、8時頃が美しさのピークである。少し時間が経つと、空の青がどんどん白みがかっていき、美しいコントラストが見れなくなってしまう。だから毎朝の通勤時間帯は、一番美しい青・白・水色が見れる私の「ご褒美時

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          3本

        記事

          親は子どもの勇気に支えられている

            #子どもに教えられたこと  娘は幼稚園からピアノを習っていた。  私はピアノを弾けないが、小学校で合唱をしていた時、伴奏できる友人を羨ましく思い、「習いたいな」と心のどこかで思っていた。でもウチはお金がないから無理だろうなとも思っていて口にすることはなかった。  だから、娘には親が憧れていたピアノを習わせることにしたのだ。  まずピアノがなかったので電子オルガンから買い、小学校2年の時、アップライトピアノを買った。小学2年の時、初めてピアノコンクールに出ることに

          親は子どもの勇気に支えられている

          できる=「よい」、できない=「悪い」ではなく「事実」をただ「ありのまま」受け止め「評価しない」生き方

           これは、自分自身に一番言いたいことである。  「できる」=「よい」、「できない」=「悪い」ではない。  頑張っても、何かが思い通りに出来ない時、「自分はこれが苦手で、頑張ってもなかなかできないんだなあ」と、事実を「ありのまま受け入れる」だけにとどめて、その後に続く「だからダメなんだ」と自分を否定する評価をしないようにする。  これは、幸せに生きていく上で、大事なことである。  人は誰しも得意、不得意がある。しかし、この「出来ないこと」で「なんて自分はダメなんだろう」

          できる=「よい」、できない=「悪い」ではなく「事実」をただ「ありのまま」受け止め「評価しない」生き方

          自分の価値観 >他人の価値観

           私は長く教師を務めてきたが、教師という仕事がとても嫌だと感じることがしばしばあり、何がそんなに嫌なんだろうと、よくよく考えてみた。  私は「子どもが好き」である。それは間違いない。彼らの笑顔を見ると癒される。すなわち、私は基本的に生徒が好きなのだ。いわゆる「嫌だな」「苦手だな」と思う生徒も、本当に嫌いなわけではなく、自分に対する彼らの態度や言動に、しばしば傷つくから「嫌だな」と感じるのであって、嫌いではない。彼らの個性も受け入れられるし、彼らのために「何かしてあげたい」と

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          「返事はハイかYesしかない」と言う教師

           先日、ある会議に出席した時のこと、「返事はハイかYesしかないと教えられたので、自分はこの役職を引き受けました」と挨拶した管理職がいた。  この言葉の真意は「私はこの分野は専門外で何もわかりませんが仕方なく引き受けました。なので助言はできません。」と言いたかったのだろう。「主体的に考える生徒を育てる」と国は謳っている。しかし、教師自身がこのような「思考停止」「(立場が逆ならば)パワハラ」発言を平気でしているのが現実だ。  この方は長年、とあるスポーツの指導をしておられた

          「返事はハイかYesしかない」と言う教師