青の昨日は闇と静けさに
過去の杞憂が 差し込む今日に
窓の向こうで 明日の夕暮れに

私の騎士はまだ見えない

記憶の桜を　咲かせよう
青春の緑を　讃えよう
足元の紅葉よ　私を謳え
白紙の雪原よ　迎えてくれ

私の雪はまだ降らない

形に有象を拒めば　嘘を吐き
話に無像を望めば　言葉尽き
若葉の蜘蛛を払えば　芽生える罪よ
朝日の羽毛を羽織り　目覚める宵に
あの日の夜明けを　照らせよ月夜

辺りの霧はまだ晴れない

底に太陽はただ昇れず焼べても
時の大洋は未だ零れ続けても

私の息はまだ冷たい

去ればこの世界も終に始まる
いつかこの出会いを導に帰すだろう
やがてこの願いを時雨が聞くだろう
そしてこの手紙も雲に沈むといい
死してその終わりも虚と印せばいい

愛しの君はまだ消えない

どうかその日が昇るまで
私は祈り続けよう
私達のため四季が　眠らないことを
分かち合う溜息に　熱があることを
別れを知るため待ち続けよう

渡しの岸はまだ見えない