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そもそも『明治維新』という名の歴史イヴェントは存在しなかった

 薩長中心の下級武士達が、ロスチャイルドの暗躍・操縦によって、テロリズム・策謀・破壊的で拙速な現状変更を基調とする倒幕にのめり込み、何らヴィジョンを持たぬうちに、勢いだけで、それを果たした後、気づくと、事前に"徳川近代"の秀でた幕臣官僚達が予めスタートさせていた近代化新政策の数々を、彼ら下級武士達は、ただその通りに倣い、なぞってゆくほか道はなかった。

【参考】 小栗忠順

 >>引用はじめ

 横須賀造船所の事例だけを以て徳川近代の近代性を述べるのは適切ではなく、株式法人組織の導入、廃藩置県構想、鉄道網整備構想、海軍の創設、国民軍の創設、郵便制度の創設等々、徳川近代を支えた幕臣官僚たちの描いた青写真や既にスタートを切っていた事業は、そのまま明治新政府への〝お土産〟となったのです。 

 このことについて、私たちは実に単純明快な歴史教育を受け、今もなおその教育内容は新政権が成立した約百五十年前に設定された路線から全く外れていないのです。今、それは「官軍教育」と呼ばれ、「薩長史観」とも呼ばれるその歴史観については、ようやくごく一部に見直しの機運が高まってきたものの、一世紀半にも亘って教え込まれたことは簡単には否定されないものです。

  唯一最大といってもいいそのポイントは、「薩摩長州を中心とした下級武士たちの手による革命的な、封建的徳川体制の打倒によって、我が国は西欧列強による植民地化を防ぎ、近代国家建設の幕を開けた」という点でしょう。つまり、徳川近代の国際化、近代化構想や施策の主語を自分たちに置き換えているだけなのです。

  討幕勢力が欧米列強の植民地化を防ぎ、近代日本のすべては明治に幕を開けたとするこの後付け史観は、「日本の夜明け史観」ともいわれています。このポイントのほぼすべてが史実からは全くかけ離れていることは、本書でも、これまでの著作でも述べてきた通りです。

<<引用終わり
知ってはいけない明治維新の真実
原田伊織 著 SB新書

第三章 戊辰戦争という奇妙な「戦争」
1 テロリズムからクーデターへ
より
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