思い出のオタク屋
みなさん青春の思い出の店ってありますか?
近所の駄菓子屋、思い出のコンビニ、可愛い店員さんがいた本屋など人それぞれに思い出の店があるはず。
私にももちろんあります。そう、オタク屋です。
なに言ってんだこのすっとこどっこいと思われている方は、まあ落ち着いてください。
小学生の頃、近所のラーメン屋の隣に突如現れたその店は、ショーウィンドウの真正面にエッチなイラストの箱を飾る青少年の教育上とってもよろしくないお店だったのです。
僕にメガネお姉さんの性癖を叩き込んだのは間違いなくこのお店の影響ですね。
ですがその店の開店頻度がものすごく低い。
もしかしたら深夜に営業していたのかもしれませんが、小学生当時の僕がオタク屋の開いているところに遭遇するのは、コンビニのお釣りがぞろ目になるくらい稀なことでした。
また開いていたとしても店主が今ならもれなく条例にひっかかるレベルで睨みをきかしてくるので、自転車などで素早く通り過ぎるふりをしてショーウィンドウのなかのお宝を観察する必要がありました。
おそらくお気に入りのお宝を子供に奪われ、豚の餌のようにズタズタされたトラウマをお持ちだったのでしょう。
一回自転車を取りに戻ってる間にシャッターが下りていた時にはバカみたい悔しがった記憶があります。
今思い出しても理解できないくらいに。
別に僕とその店長が仲良くなってオタクの作法を叩きこまれるとかそんなグランドブタペストホテル(名作)のような展開は一切なく、その店のシャッターが開かなくなるまでずっと犯罪者を見るような目で睨まれ続けます。
マジでガキに向けていい目じゃなかったんだよなあ。
さてそんな楽しい思い出に溢れたオタク屋が15年くらいずっとシャッターを閉めたままだったのですが、この度内装屋が入っているのを目撃しました。
蛇睨み店長はおそらくいらっしゃらないみたいで、少しの寂寥感を覚えずにいられません。
思い出の店はつぶれてしまったけれども、新しい店ができることを心待ちにしています。
願わくば、子供たちに夢を与えられるようなお店。
そう僕にとってのオタク屋のようなお店が出来てほしい。
具体的には何時間いても怒られない喫茶店になってくれれば。
え?オタク屋みたいな店?
今時もっと過激なものに触れてるでしょ、小学生でも。
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