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近況/2023年11月_出産しました

久しぶりにnoteを書きたいと思う。書きたい事が決まっているわけではないし、寝不足なので思いついたことをつらつらと書き綴る感じになると思う。

先日第二子を出産した。2人目だし、無力症だし、まあ予定日よりは早く産まれるだろうと思っていたら、なんのことはない、予定日ピッタリ、40週0日に出てくるタイプの男だった。
無力症のために頚管縫縮術をして張り止めを飲み、安静指示で生活していたので、とにかく抜糸まで耐えて、その後はいつでもと思っていたら、そのいつでもが思いの外長かったので、正直10月後半くらいからは毎日イライラして過ごしていた。出産というのは24時間いつ始まるかわからない。突然とんでもない痛みに襲われるというわけではないけれど、それでも陣痛は痛いし破水したら水が出る。日中、保育園送迎の途中や買い物中にそれが起こったら?あるいは、寝ている時?と毎日ドキドキするし、自分の体の問題だけではなく、上の子がその時どこにいるのか(自宅、保育園、送迎中etc)、その時夫の所在はどこなのかによっても連絡や動きが変わるので、常にハラハラとしながら待つというのは本当に疲弊した。夜の方がお腹が張るので今夜かな?と思い、朝が来ると今日もダメだったか…と落胆する。
お腹自体もどんどん大きくなり、見る人みんなに「急に大きくなりました!?」と驚かれてばかりだった。張りが強ければ座っているのも苦しいし、お腹の皮膚の表層がピリピリと裂ける感覚も不快だった。恥骨は痛いしトイレは近いし、身体中謎の発疹と痒みはあるし、ホルモンの影響かばね指にもなった。
とにかく心身ともに妊娠、出産間近という事象に拘束されている感覚が辛くて、日々苛立ちながら過ごすことがとても苦しかった。周りからはもうすぐですね、楽しみですね、と言われ、そうですねと返していたけれど、正直にいえば、今すぐにでも出てきてほしいと願ってばかりだった。
とはいえ、この臨月の間に息子とゆっくり過ごす時間が取れたことは幸いだった。運動会も見に行けたし、アデノで1週間自宅療養になった時はまだ生まれていなくてよかったと思ったし、ハロウィンに一緒におばけナンを作ったりして、息子との時間をちゃんと作れたことはとてもよかったと思う。陣痛が来たのも休日の日中だったので、息子に行ってくるねと声をかけることもできたし、私の不在中、お父さんと一緒に遊びに出かけたりして家でゆっくりと過ごせたことは彼にとっては安心だったと思う。あくまで結果論ではあるけれど、ある意味でとても空気を読んだタイミングで生まれてきたのかもしれない。

出産は進行はイマイチ、進み始めたら超特急という感じだった。3500をゆうに超えたビッグベビーだったせいか上手に降りてこられなかったようで、助産師さんも「進み始めたら早そう」と言いつつも、「陣痛が中々波に乗らないね」とモニターをうーんと眺めていた。私自身、2回目の出産ということもあり、産まれる時は腰ではなくておしりが痛くなることを知っていたので、まだだな、という感覚がずいぶん長かった印象だ。今回、夫には息子を家で見てもらっていたので立ち会いはなし。助産師さんと話すか、友達とラインをしていた。ちょうどお昼頃に病院到着だったので昼食は持参。タクシーを待つ間に夫におにぎりを作ってもらっていたら、息子も「ぼくも作りたい!」と言って小さなおにぎりを握ってくれたのだけれど、陣痛の合間に食べたおにぎりは今まで食べたどのおにぎりよりもおいしかった。
いざ出てくるぞとなってからは本当にあっという間で、上の息子の時とはまた違ったお産だった。助産師さんがベビーの頭を持って回旋させているのが見えていて、院長先生は私のお腹を全力で押していた。いきまなくていい、力を抜いて、とか、腹筋を使って、とか、あまり記憶にないけれどそんな感じだった気がする。途中頭か肩?が恥骨に挟まった時間があったような感じで、とにかく股に何か固いものがあるという強烈な存在感を感じた時間があった。首が引っかかって、と聞いた気もするけれど、分娩時の記憶なんてまあ当てになるものではない。自分がこんな声が出るんだと思うような声が出る。自分でも知らない自分が出てくる。因みに汚い話だけれど、人間のシモから出るものは多分全部出た。別にそんなこと助産師さんにとっては慣れっこだろうけれど、大変申し訳ない気持ちにはなる。
出産後最初にベビーを見た感想としては、とにかくデカかった。羊水で浮腫んでいることを加味しても相当むちむちとしていて、こりゃ立派な朝青龍だな…と思ったし、顔がどうもイカつい感じがしたので、考えていた名前、ちょっと違うか…?と思ったりもした。爪の形が縦に細長くてきれいだなと思った。顎の脂肪がすごくて、蓄えてきた感がすごかった。
ベビーが少し離れたところで綺麗にされている間、院長先生が後産と会陰縫合をしてくれた。上の子の時は胎盤がうまく出ず、手で掻き出された(冷静に考えて相当おっかない)けれど、今回はお腹の上からぐっぐっと先生が押して、痛いな痛いなと思っていたら、どぅるんと出ていくのがわかった。後産てあんなにスッキリと出るものなのかとちょっと感動した。会陰は軽く裂けたらしい。詳細は聞いていない。溶ける糸で縫ったので基本的に抜糸はなしということだった。

産後2時間はLDRで経過観察、トイレも行けたし、無事個室へと移動となった。上の子の時は総合病院で個室(トイレあり)、すぐに母子同室開始だったけれど、今回のクリニックでは個室(トイレなし)、母子別室で授乳は翌日昼から、というスケジュールだった。つまり、産後2時間一緒に過ごした後は翌日昼までベビーに会うことはなかった。恐らく新生児室に行けば会えたと思うけれど、まあいいかと思って部屋でゆっくりと過ごさせてもらった。

今回の出産を総合病院にしなかったのは、このクリニックにはキッズルームがあるからというのが決め手だった。我が家は義実家も実家も遠方であることと、上の子の分娩時間が短い=今回はその半分でさらに短い可能性があることで、陣痛が来てから祖父母を待つということはできなかった。産休で保育園を16時に退園後、夫が帰宅するまでの数時間の間に産気づいた場合に、上の息子を預けられる場所というのが必要だったのだ。クリニックのキッズルームの利用可能な時間や曜日の問題もあったけれど、自宅とクリニックの間に保育園があることもあって、最悪は保育園に立ち寄って息子をドロップ→クリニックへ、という手段も用意はしていた。幸いなことに休日だったので、キッズルームも保育園も無理を言って利用することにはならなかった。
後に知ったのだけれど、今回産んだクリニックは地域では非常に人気の産院だった。口コミの評価は高く、院内も綺麗だし、食事にも定評があって、リラクゼーションフロアもあった。ただ、私自身は妊娠出産というのはいつ何が起こるかわからない命懸けのもの、という印象が強く、マタニティフォトやジェンダーリビールなどのイベントにもあまり興味がない…というか、そういうことをして、最後の最後でもしも死産だったりしたら辛すぎるなと思って、出産を無事に終えて母子共に元気ですとなるまではあまり色んなことをしたくないし、人にも知られたくないと思っている。そういうこともあって、出産する場所の第一要件は安全なお産であって、産後のラグジュアリーなケアとかそういうことは二の次三の次だった。それは今も変わらない考えではある。

勿論無事に出産が終わったということが大前提ではあるけれど、今回選んだクリニックでは大変にいい経験をさせて頂いた。というのも、上の息子の時は総合病院、母子同室、母乳育児推進、という方針だったのだけれど、今回の産院は個人経営のクリニックであり、母子別室、授乳指導はあるけれどミルクも当然組み込まれた混合栄養でのスタートだった。
まず、産んだその日はゆっくり寝て、翌日の昼食後から授乳室で授乳が始まる。新生児とその母親がずらっと並んで乳を出して授乳する姿は中々圧巻だけれど、助産師さんがジッと個人を見るわけではなく、うまくいっていない様子の母子のところへやってきて簡単にアドバイスをしてまた別の母子の様子をみて…と巡回するような感じになる。「最初は舐めてくれるだけでいいのよ」「まだこれからだから大丈夫大丈夫!」と、母乳の状態についてカラッとした様子で接してくれたし、直母量を見ながらミルクを何ml飲ませるか考えてサッと差し出してくれたりと、非常にストレスフリーに授乳を開始できたと思う。

それから、リラクゼーションルームもとてもよかった。エステ、ボディケア、岩盤浴があり、フロアは軽やかな音楽が流れ、大きなソファや暖炉、フリードリンクにはハーブティーが数種類用意され、大きな窓から入る自然光が気持ちの良い空間だった。特によかったのがボディケアで、なんと理学療法士が配置されている。立位、片足でのバランス、臥位での状態などを丁寧に評価し、痛みや違和感がどこから来ているのかを見定めた上で、生活上気をつけることや運動指導をして、時間内に徒手でほぐしたり動かしたりしてくれる。また、もう一方のコースではエコーを使って腹直筋と骨盤底筋の状態と動きを観察し、実際に運動指導をしながら、それらの筋肉が動いている様子をリアルタイムで見せてもらえる。ボディケアというからマッサージ程度のものかな?と思っていたけれど、予想を上回るしっかりとした内容にとても驚いた。

そして、何よりもよかったのが食事だ。毎食毎食がレストランの食事のようだった。和洋中とジャンルが様々なだけではなく、そもそも味がとてもおいしい。病院の食事といえば、薄味な分、出汁や酢が強かったり、味気なかったりするイメージだったけれど、このクリニックの食事は何を食べてもとてもおいしかった。けれども、外食疲れのようなことは全くなく、毎日食べ続けたいと思うちょうどいい味付けだった。魚料理がいつも身が厚くしっかりとした状態の良い魚だったので、そもそも仕入れている食材が良質なのだろうと思う。毎日3食+おやつで計4食、本当にいい思いをさせてもらった。それは、単においしくて幸せだったということもあるけれど、子育てが始まるとまずオシャレな店など行くことはできない。行ったとしても、子どもが食べれるものがあるか、騒がないか、切り分けなど常に子どもに気を配っての食事になるので、ゆっくりと食事を味わうのは中々難しい。ファミレスやフードコートがまずいというわけではないけれど、本格的な味を求めることは難しい。更に、母親をやっていると自分が食べたいから、という理由だけで食事を作ることは難しい。子どもが食べれる/食べやすい食材、栄養、コストetc、考えることはたくさんある。それに、自分が作る食事の味は所詮知れている。まずいわけではないけれど、やっぱり人が作ってくれた食事とは全然違う。そういう生活が今後待ち受けていることを重々承知の上で、退院したら何が食べたいかと色々考えていたけれど、退院する頃には食に関する欲求不満はすっかり解消どころか満たされていた。5日間の入院の間、献立を考える労力から解放され、自分では作れない美味しい味をゆっくりと堪能し、しかもそのジャンルも味もバラエティに富んでいて、お祝膳に至っては本格的なフルコースをシェフ自ら提供してくださり、なんというか、食を通してとても癒された。日々の営みであるからつい忘れがちだけれど、食事というのはストレスフルなものである。一方で、こんなにも人を満たしてくれるものでもあるのかと考えさせられた。まあ、ただ単に食い意地を張っているだけかもしれないけれど。

なんにせよ、今回の出産をこのクリニックにしたことは大正解だったと思う。ゆっくりと休ませてもらったし、スタッフの方々の仲のいい雰囲気も患者にとってはとてもありがたかった。私が出産した日を皮切りに、3日間で16人ものベビーが誕生したそうで、常にバタバタと忙しそうではあったものの、授乳や自分自身の体調についての相談などもしやすく、とても快適に過ごさせていただいた。あくまで結果論ではあるけれど、上の息子の時のような産褥熱や黄疸などのトラブルもなく、会陰縫合の後も多少ひきつれる程度でひどい痛みに悩まされることなどもなかった。

そんな感じで無事退院し、今は夫と息子に新生児を加えた4人での生活が始まった。快適な病院生活ではあったけれど、やっぱりお風呂場とベッドは家がいちばん良い。
帰ってきて驚いたのは、息子がコストコ現象を起こしていたことだ。つまり、なんかすごく身体がデカい。顔が縦長だし、手が固いし、ハグすると骨と筋肉を感じる。大人のような重量感と厚みがある。たった5日会わなかっただけで?と思うけれど、5日間まんまるな顔とむちむちふにゃふにゃの3kgちょっとの生き物としか触れ合っていなかったので、17kgもある自立した生き物を比べたら、そりゃ人類の進化を感じてしまうのも当然のことだと思う。5年前は彼も小さくてふにゃふにゃした生き物だったのに、すごいことだなと改めて思う。
帰宅後は本格的な新生児の世話が始まり、5年ぶりの夜勤は中々つらい。記憶よりもけたたましいサイレンのような泣き声は寝不足のメンタルをゴリゴリに削ってくるので、1日1回くらいはイラッとしたりもしている。けれども、小さい生き物はやっぱり愛らしい。はよ寝てくれと思うけれど、何が映っているのかわからないけれどきらきらと光を反射する瞳はとてもきれいだ。ただふと冷静に、小さくないな…?と思わされるデカさがある。つい先日まで私の腹にいて、股から出てきたとは思えないサイズ感をしている。キミ、新生児って本当かい?とたまに問いかけてみるが、キョトンとした顔で見つめ返されるかどうか、というところだ。

ちなみに、産後の手伝いは結局誰も召喚していない。実母からは10月に入ってから毎週毎週連絡が来て、産後手伝いに行きたそうな雰囲気をゴリゴリに出されたが、知らないフリをした。あくまで上の息子の環境変化を最小限にすることと、夫にやってもらいたいという私の希望を押し通した形にしている。
今も早くベビーを母に会わせてやるべきなのではと思う気持ちがないわけではない。けれどそのたび、「新生児を抱くのは本当に幸せな気持ちなのよ」という義母の言葉と、上の息子を産んだ際に毎日実母に病院へ押しかけられて何時間も居座られた記憶が蘇り、身体が拒否している。私が大変な思いで育み産んだ子を、母の幸せのためになど使わせたくはない。
それに実際問題、手伝いは特にニーズがない。掃除は毎日しなくても死なないし、やるとしても掃除機でチャチャっと終わる。洗濯すれば乾燥機が乾かしてくれるし、食器洗いは食洗機がやってくれる。食事は夕食宅配を手配して、朝は各々簡単に済ますし、昼は私だけなら冷凍のおかずとご飯やプロテインがあればそれで十分。我が家にとっての問題は息子の保育園送迎だけれど、そこは夫が勤務時間を調整してカバーしている。最も大変なのは夜勤だけれど、実母であろうが義母であろうが、それを手伝ってもらうことはないので、彼女たちの出番は何もないのだ。
そもそも、夫が在宅勤務だと気を使う、というよくある話だと思うが、たとえ家族であったとしても、ひとりで過ごしたいのだ。いつ食べようか、いつ寝ようか、泣いたベビーをどのくらい泣かせて様子を見るか、そんなことを例え善意や配慮であってもいちいちああだこうだ言われるのは非常に鬱陶しい。言われなくても、こう思ってるんだろうな…と勘繰ってしまう性格なので、勝手に気疲れしてしまう。なので、適度に誰もいてくれないことが私にとっては非常に快適なのだ。そうでなければ、今日だってこうしてnoteを書くなんて出来ない。

随分と長い記事になってしまった。長い記事が書けるくらいに書きたいことがあって、それをアウトプットする元気が出てきたと言うのは妊娠中との大きな違いだ。妊娠中はとにかくしんどいしか頭になくて、文章が何も書けなかった。
出産して、いろんなマイナートラブル(発疹、痒み、口まず、etc)が劇的に良くなっている。妊娠による身体の変化というのはそれほど負担のあるものなんだなと改めて驚くし、劇的な変化具合にちょっとどうかと思うほどだ。この後劇的な変化による良くない面が何か出てくるのかもしれない。ただ、現状についてはおいしく食べれるし、乾燥はしているけれど痒くはないし、階段を上っても息切れや膝の痛みがなくなってとても身軽で快適になった。そのことはポジティブに受け入れたい。
赤子のいる生活はまだ始まったばかりで、ああこれからだなあと少し遠い目になる時もあるけれど、まずは無事出産できたこと、彼が元気なことを喜びたい。そして、どうかこんな世の中でも健やかにしなやかに大きくなってくれることを願っている。



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