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【小説】プロットの作り方。「対立の構造をつくる」

小説を書くときに、まずはプロットをまとめてみることを私はおすすめしています。
プロットとは原稿に対して、物語の大まかな流れをまとめたものを指します。小説の全体像を示す設計図のようなものですね。

今回はそのプロット、物語の全体像を考えるときの基本について書いていきます。

対立の構造をつくる

小説の全体像をつくる時の基本は、物語の世界において「対立した2つの勢力」を用意することです。「善」と「悪」といった正反対の2つのものがこれに当たります。

「警察官」と「犯罪者」や「世界を守ろうとするもの」と「世界を破壊しようとするもの」は対立として分かりやすいかと思います。ファンタジー作品に多いですね。

ファンタジー以外、恋愛作品のプロットを考えるときにもこの基本は使えます。例えば「恋をして結ばれたいと思うカップル」と「カップルが結ばれるのを邪魔する周りの人間」などは対立関係にあると言えるでしょう。


このような対立構造にある2つの勢力がある物語は、2つの勢力による争いの様子が描かれていき、最終的にはどちらかが勝利することで決着することが多いです。

片方が勝利した結果、もう一方の勢力は消滅したりして、2つの勢力の争いが終わります。その争いの終わり、対立構造の終焉が物語の終わりにもなります。

具体例として実際の作品を見ていきましょう。


『ハリーポッター』における対立の構造

『ハリーポッター』は物語のプロットの基礎に対立構造があります。
それは、ハリーやダンブルドアを中心とする不死鳥の騎士団の勢力と、ヴォルデモートを中心とする純血主義の勢力の対立です。

この2つの勢力、特にハリーとヴォルデモートは敵同士、対立する関係にあり、二人の戦いがシリーズ全体を通して描かれています。

原稿の部分からそれが読み取れる箇所を見てみましょう。
ハリーポッター5巻、以下の予言に関するハリーとダンブルドアのやり取りは、ハリーとヴォルデモートの対立構造を示しています。

ハリーは質問した。
「予言の最後は……たしか……一方が生きるかぎり……」
「……他方は生きられぬ」ダンブルドアが言った。
「それじゃ、その意味は……最後には……二人のうちのどちらかが、もう一人を殺さなければならない……?」
「そうじゃ」ダンブルドアが言った。

『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』第37章「失われた予言」

ハリーやダンブルドアたちの勢力とヴォルデモートたちの勢力。その対立の決着、物語の終わりは、ハリーとヴォルデモートが戦い、二人のうちどちらかがもう一人を殺すことで成立するということです。

『ハリーポッター』では予言というメッセージを通して、読者に「ハリーポッターの物語がどこで終わるのか?」を示しています。

そして実際に、シリーズの最終巻でハリーはヴォルデモートを倒し、ハリーの勢力が勝利を収めたことによって対立構造は消え、物語としての『ハリーポッター』は終わりを迎えました。


まとめ

このようにまず対立した2つの勢力をつくることによって争いが始まり、物語がスタートしていきます。

そしてその対立が終了したときが、物語の終わりも意味します。2つの勢力の争いに勝負が着いていないのに物語が完結することはありませんし、勝負がついてからだらだらと物語が続くこともありません。「この小説はどこで終わりにするべきか?」その問いを考えるときにも、対立構造の概念は役に立ちます。

小説のプロットを考えるときは、まず対立する2つの勢力から考えてみましょう。




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