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小説において重要なシーンと無駄なシーンを見極める−第5回オンライン小説講座

全6回の講座で5回目を終えた人が増えてきました。受講者の小説の書き方に対する考え方が変わってきた実感があり、とても嬉しく思います。

講座では参加者持ち込みの原稿を見ながら話をしていますが、この原稿だけではなく、参加者から次に出てくる原稿もおもしろい作品、読者に喜ばれるものであって欲しいと思って話をしています。

そのためには今この原稿がどうか?だけではなく、どんなジャンルやストーリーにも役立つ小説の書き方まで広げた話をする必要があるし、今この原稿についてのアドバイスは他の小説を書く時にも役に立つことであることを理解してもらう必要があります。引き続きここを意識して最終回も行なっていきたいと思います。


それでは今回も講座のなかで出た話をご紹介します。



小説において書くべきこととそうでないこと。その見極め。

アマチュアの人の小説を見ていると、「このシーンは書く必要ないな」とか「ここのエピソードは飛ばしちゃうのか」と思うことがあります。作品においてあまり重要ではないシーンを長々と書いていたり、終盤の感動シーンがあっさりと終わっている。そのために読んでいて退屈に感じたり、作品がつまらなく感じてしまいます。


なぜこのようなことが起きるのか。
それは小説全体のなかで書くべきこと、物語においてなにが重要なシーンかが分かっていないからだと思います。


では重要なシーンとはなんでしょうか?
それは「変化」が起きているシーンのことです。

主人公の気持ちの変化。人生に対する考え方の変化。主人公と他の登場人物との関係性の変化。物語の舞台となる世界の異変。

小説には書ける文字数が限られています。ストーリーにおいて重要な変化、出来事が起きているシーンこそ重要で限られた文字数を使って書くべきことと言えます。逆に書かなくてもよいシーンとは、そのような変化がない部分のことです。


例えばある作品の冒頭で、主人公のいつもの日常のシーンが同じように3話も4話も繰り返されたら読んでいてどう思うでしょうか?

変わり映えのしないシーンの繰り返しに退屈さを覚えて、はやくなにか事件が起きてストーリーの本題に入ってくれ、と感じるのではないかと思います。


変化のなかでも特に主人公の気持ちの移り変わりは重要です。

主人公の気持ちが暗いところから明るいものへ変化していくのであれば、その変わっていくさまをしっかりと描写しましょう。また、変化のきっかけとなる出来事も重要です。どんなことが起こって、それを体験した主人公はなにを感じたのか?なぜ後ろ向きだった気持ちが前を向き始めたのか?それをきちんと書きましょう。


主人公の気持ちを長々と書くよりも、テンポよくストーリーを展開させたほうがいいのでは?と思う人もいるかもしれません。確かにストーリーの展開も重要ですが、小説においてそれ以上に重要なのが主人公の変化なのです。

どの部分を優先して書くべきか?小説を書くときには常になにを優先させるかを問われていると言ってもよいと思います。その答えを出すために重要なものと無駄なものを判断できる知識が必要です。



プロットを考えるときや原稿の改稿の際に、1章ごとに「この章で起きている変化はなにか?」を考えてみてください。

・1章は、物語の始まり。主人公の人生に事件=変化が起きる。
・2章は新しいキャラが登場して主人公の周りの人間関係が変化する。
・3章は環境の変化を受けて主人公の気持ちが変わっていく。

このような感じで章ごとに物語においてどんな変化が起きているのかを簡潔にまとめられるのであればOKです。変化が起きていない無駄なシーンがなく、重要なシーンはきちんと書けていると言えるでしょう。

小説において重要なシーンとは、なにかが変化しているシーンです。重要なものとそうではないものの見極めが自分でできるようになるといいですね。



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