物語とは、〇〇を描くこと−第1回オンライン小説講座

オンライン小説講座が始まっています。参加者4名。全6回やっていきます。

「主人公の成長を描く」のが物語

初回なので、まずは小説の書き方に関する基本的なノウハウをお伝えしました。「主人公の作り方」です。

私は編集者として、小説は「主人公の成長を描くこと」が基本だと考えています。小説の冒頭とラストの主人公を比べたときに、主人公が成長していること。成長とは年齢の積み重ねだけではなく、人間的で精神的なものを意味します。

主人公が人として成長していくさまを描くのが小説であり、物語全般がそうだと思っています。


そこまで分かりやすい成長ではなかったとしても、冒頭とラストでの主人公の状態を比べたときに「なにかしらの変化」は絶対に必要です。そうでないと「この話はいったいなんだったのか」という感想を読者が抱いてしまいます。


今回は主人公の作り方の1つである「主人公に必要な3つの要素」について、具体例となる小説を読みながら解説をしました。

私が小説を編集するときの見ているポイントの1つに、この「3要素を踏まえた主人公が作れているか?」があります。これができている作品はほぼおもしろいです。逆に、おもしろくない作品は主人公がきちんと作れていません。

なぜなら主人公は物語の中心だからです。中心がしっかりしていれば物語全体がしっかりしますし、主人公が微妙であれば全体が微妙になります。


キャラクターメイキング、主人公の作り方。これを分かっているだけで、小説家としてはかなり段階が上がります。

私としては絶対にお伝えしておきたいところなので、講座の1回目に持ってきました。


小説家としての課題は、人それぞれ

あとは参加者それぞれの原稿ごとに改善点をアドバイスし、修正をお願いしました。

ストーリー展開やキャラ設定に課題があったのでもう一度プロットから練り直す人や、ストーリーは問題ないが文章表現が課題なのでまずは冒頭のシーンを書き直す人などさまざまです。

このようにアドバイスとそれに基づいた原稿の修正を6ヶ月かけてやっていきます。講座が終わる6ヵ月後には、ブラッシュアップされた原稿と、原稿の修正を通して小説の書き方を学んだ参加者が存在していること。そこをゴールとしてやっています。


私は普段、Twitterやnoteで小説の書き方を発信していますが、大勢の人に向けた話はどうしても一般論になります。

ファンタジーや恋愛ものなどジャンル関係なく、共通して使える小説の書き方の基礎については大勢に向けた発信で問題なく伝えることができます。


しかし基礎からうえ、コンテストで入賞できるレベルの小説を目指すのであれば、1人1人細かく原稿をチェックし、よく書けている部分とそうでない部分をより分けていく必要があります。

そしてそうでない部分、小説家として課題になっている部分。
ここがなぜ、できていないのか?その原因と解決策は人によって異なるのが、小説の難しいところです。

2人の小説家がいて、できていないことは「主人公のキャラが弱い」で同じだとしても、「作者の頭のなかには明確な主人公像があるのに、文章で表現できていない」のか。それとも「主人公のキャラはよくできている方だが、主人公以上に魅力的なキャラが存在しているため、相対的に主人公の影が薄くなっている」のか。

課題は同じだとしても、その原因によってやるべきことは変わってきます。


「編集者は書いた本人よりも、小説のことが理解できていなければならない」

これは私の編集者としての信念です。

物語や小説には、「おもしろいものを作るための理屈」があり、編集者はその理屈が分かっていなければダメだと思っています。

書いた本人がなんとなくやっている表現でも、編集者はその表現が作品のなかでどのような意味を持つのかを理解していなければなりません。


その小説に関する理屈を使って参加者の原稿を読み、それぞれの小説家としての課題と原因と、ステップアップのための解決策を見つける作業を小説講座のなかでやっています。


小説家としての課題と、原因と、解決策。

それらを正しく特定することができ、かつ課題の解決に真面目に取り組むことを続ければ、小説家としての力量は確実にあがるはずです。

そう思って、この講座を開催しています。



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