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シリーズ 「古事記の暗号」

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現代人の私たちが古事記を読んで「よく分からない」と思うのは、古代人と現代人では「心の在り方」が違うからです。また、当然ながら世界(宇宙)の捉え方も違います。とは言え、私たちがどこ… もっと読む
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記事一覧

思考(マインド)は心を支配しようとする ~ 古事記の暗号 9

思考(マインド)は心を支配しようとする ~ 古事記の暗号 9

私は、民族の深層に共通して流れるストーリーが、神話というものだと思っています。

私が「自分」だと思っているものは、私の顕在意識が創り上げてきた個人的ストーリーだとすると、神話は潜在意識に流れる集合的ストーリーではないでしょうか。

神話で語られるストーリーをシンボルと捉えると、いろんなことに当てはめて解釈することができます。

例えば、イザナギとイザナミをシンボルと捉えた場合、

イザナギ   

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祓戸四神 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 8

祓戸四神 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 8

黄泉の国が、根の国・底の国と同一視される根拠は、黄泉比良坂(よもつひらさか)という出口が共通しているからです。

黄泉の国を訪れたイザナギが、イザナミから追いかけられ、命からがら逃げ出てきたのが黄泉比良坂(よもつひらさか)でした。

イザナギは、このとき千引きの岩で、黄泉比良坂(よもつひらさか)を塞いでいます。

イザナミが黄泉の国から出てくることができないように塞いだのです。

根の国を訪れたオ

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鼠の浄土 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 7

鼠の浄土 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 7

日本昔話で「鼠の浄土」という話があります。

「おむすびころりん」ですね。

おじいさんは昼食のおむすびを食べようとしたが、それを落としてしまう。

おむすびは坂を転がり穴の中に落ちたので、おじいさんは穴の中まで追いかけていった。

穴の中にはネズミの国があり、おじいさんはネズミたちから財宝を授かる、という話です。

異界を訪問し、そこから宝物を持ち帰るパターンのお話ですが、この元ネタは「オオナム

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石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<後編>~ 古事記の暗号 6

石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<後編>~ 古事記の暗号 6

ニニギがイワナガヒメを送り返したのは、イワナガヒメが醜かったからです。

醜い=「見・難い」

イワナガヒメは「見るのが難しい」のです。

永遠性の象徴ですから。

永遠なんて、そんなものどこにある?

私たちは、永遠を見つけることができません。

それは、時間と言う概念に縛られているからです。

でも、時間は概念上のものであって、存在しないかもしれませんよ。

時間が存在するか否かに関する議論は

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石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<前編>~ 古事記の暗号 5

石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<前編>~ 古事記の暗号 5

新年あけましておめでとうございます。

今年がみなさまにとって、楽しく健やかな一年でありますようお祈りいたします。

みなさまは、どんな正月を過ごされましたか?

私は、長崎の実家で年越ししました。

私の実家は、玄関先から真正面に初日の出を拝むことができます。

まだ薄暗い空に、燃えるような太陽がポコっと頭を出す瞬間は何とも言えませんね。

思わず手を合わせて礼拝してしまいました。

西洋人の目

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アマテラス 岩戸籠りの意味 <後編>「詔(の)り直し」 ~ 古事記の暗号 4

アマテラス 岩戸籠りの意味 <後編>「詔(の)り直し」 ~ 古事記の暗号 4

アマテラスは、なぜ狼藉を働いたスサノヲを責めるのではなく、むしろ敬意を表し、自ら岩戸にさし籠り、徹底的に自己と向き合うに至ったのでしょうか?

この疑問を解くため、これまでの経緯をあらすじで振り返ってみましょう。

「・・・イザナギとイザナミはたくさんの神々を産みました。

しかし、最後に火の神カグツチを産んだ時、イザナミは大火傷を負い、その怪我が元で死にます。そして、黄泉の国へ行ってしまいます。

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アマテラス 岩戸籠りの意味 <前編>「見畏みて」 ~ 古事記の暗号 3

アマテラス 岩戸籠りの意味 <前編>「見畏みて」 ~ 古事記の暗号 3

アマテラスは高天原でのスサノヲの狼藉をみて、天の岩戸に隠れたとされています。

スサノヲの狼藉を 「恐れて、岩戸に隠れた」 或いは

「怒って、岩戸に隠れた」 と訳されることも多いのですが、

私個人の意見として、そうした訳は微妙にニュアンスが違うと思っています。

アマテラスは、

「恐れて、岩戸に隠れた」~スサノヲに恐怖を抱いて、目の前の現実から逃げたのでもなく、

「怒って、岩戸に隠れた」~

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イエス・キリストとスサノヲ~古事記の暗号 2

イエス・キリストとスサノヲ~古事記の暗号 2

メリー・クリスマス!

ということで、今日はクリスマスに関することを書こうと思います。

「クリスマス=イエス・キリストの誕生日」と一般的に解釈されていますが、正確には誕生祭なんですね。

イエス・キリストの誕生日は、記録がないので誰も知りません。

元はミトラ教の「冬至の祭り」の日だったのが、後にキリスト教に取り込まれていったようです。

冬至とは、まさに「陰極まりて陽に転ずる」日です。

太陽

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全ての人はクリエイターである。~古事記の暗号 1

全ての人はクリエイターである。~古事記の暗号 1

古事記において、最初に現れた神は、天之御中主神(アメノミナカヌシ)です。

続いて二柱の神、高御産巣日神(タカミムスビ)と神産巣日神(カムムスビ)が現れました。

高御産巣日神(タカミムスビ)と神産巣日神(カムムスビ)に共通するのは、神名に産(ムス)という字を持つことです。

産(ムス)とは、産み出すことで、つまり創造することです。

では、この「産(ムス)」は、現代の私たちにどのように対応してい

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