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異国で出会った彼女

ここしばらく、私は異国に滞在し
そこでスキルの習得に励んでいる。

得られるものは多く、技術レベルの高い人たちの中で学ぶことは楽しかった。
同時に、自分の中の大切な価値観との乖離も感じていた。

そんなとき、彼女と出会った。

彼女はその世界に片足突っ込んだばかりのわたしには、とても遠い存在に見えた。
けれど少しずつ会話を重ねるごとに、彼女の魂の美しさにわたしは惹かれるようになった。
こうやって好意をダイレクトに表現しがちなので、友人以上のなにかがあるのでは、とたまに勘違いされる。
誤解を避けたいので先に断っておくと、恋愛という感情ではない。
けれど、友人という枠を超えた思いは持っている。
わたしが尊敬し、もっと話したい。
このひとと一緒にいるのは心地よい。
と感じる人たちに共通して持っている感覚は、端的に表すなら戦友である。

考え方も価値観も違う。
それでも通じ合い、自分が前に進む推進力になり、なにかの助けになりたいと思うのは
同じ苦しみを経験し、その世界でよりよく生きるために試行錯誤をしてきた同士だからだ、と最近よく思う。

彼女とはアプローチは違えど、思考の方向性が似ている。
たくさんの可能性の中から、自分のやりたいこととできることを検証し、収束させていく、というプロセスを踏んでいた。
そして効率主義である。
意味を感じられないものに対し、非常にクール。
けれど個人を尊重し、肯定してくれる。
そんな彼女のことを、私は美しいと思う。

おそらく彼女も、アプローチは違えど話がわかるやつ、と認識してくれていると思う。
彼女との会話は建設的で楽しかったし、少し先を行く姿はわたしの希望でもある。
きっとわたしも同じように、小さな世界から遅かれ早かれ旅に出るだろう。

その迷いや不安を、底抜けの明るさと、時折見せる毒を持って吹き飛ばしてくれる。
干渉はいらない。彼女もわたしも、自分が決めたことしかできない。
誰からの助言も、情報として受け取るが、どう咀嚼するかは自分次第だと思っている。
だから親密な関係にはならないだろう。
けれど私は願っている。

彼女の幸せを。
崇高な魂が不条理に曇らないことを。

そして時折、ふと連絡を取って
新しい世界でみつけた心躍る話を
聞きたいと思う。





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