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PENTAX P30

発売年  1985年
マウント KAマウント
重量   510g
電池   LR44 SR44
特徴   プログラムAE

フラットで鋭利な軍艦部
シンプルな操作感
悲しきかなあまり出番がなかったがために
破格のコスパを誇る
Kマウントマニュアルフィルムカメラ
PENTAX P30

プラスチッキー

私はPENTAXの軍艦部、ペンタ部が好きである。
特にフィルムカメラ初期と最近のデジタル一眼に見られるペンタ部の強烈なトンガリ君は見ていてとても気持ちがいい。

だが、甘い
このP30はさらなる軍艦部フラット化計画により、全ての山野を切りひらき平らにならし、全ての機能を地下に集約
象徴のペンタ部のみが物言わず静かにそびえ立つ究極の「凸型構造設計」となっている。

いいではないか。

そんなP30の洗練された造形に私は陶酔した。
初期のフィルムカメラの形を踏襲しているように見える一方、ギラつかないツルッとした外装からかミラーレス機っぽく見えなくもない。
ロゴは80年代の「今」感が感じられる。
なんだこのカメラは。

そんな様式美のある(と勝手に思っている)P30
形は新鮮だし、見た目カッチカチな堅牢PENTAXかと思った私である。

だが、甘い
内実はめちゃめちゃプラスチック
想像の2倍チープであり、が故にとても軽い
そして、彼らのその全ては電力に依存している。
電池なくば全く微動だにしないのである。
また、「カチョーーーン」というシャッター音の虚無感には涙した。
中古市場で破格の値段で売られるのには納得がいく。
電池がなければ動かないのでは動作確認せずジャンク扱いで売ってしまう気持ちも分からないではない。

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控えめなやつ

そんなP30、後継機も含めたPシリーズの歴史はそれほど長くない。おまけに、PENTAXの各シリーズにはそのボディの性能に合ったレンズが売られてきたがPシリーズだけそれもなし。
「お古で頑張りなさい」という母の声が聞こえてくる。

控えめなスペックも相まって人気がないのか、中古カメラ屋さんにて他の完動PENTAXと同じ棚に置かれているところを見るのは珍しい。
ジャンクコーナーにはうず高くつまれている。
一般普及用の廉価カメラだが、今となってはその存在を知らない者が山をかき分け発見し、動作確認をして購入するとは思えない。

しかし、
ひとたび電池が入れられ長い眠りから覚めたP30は、その電池寿命尽きるまで良き相棒となり得る。
それは、持ち前のその軽さと直感的な操作が可能だからである。
ファインダー内の露出表示やローディング方式など、
「全てマニュアル」
なのに「少しだけ便利なポイント」が目白押し。

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少しずつ頑張るスタイル

P30のファインダー内露出には、ダイヤルされたシャッタースピードの数値と適正露出のシャッタースピード値がLED表示されている。
シャッターボタンを半押しすると露出を測り、適正値を点滅表示で知らせてくれる。
あとはシャッタースピードのダイヤルをクリクリして撮影するのみ。もちろんクリクリに合わせてLEDが点灯してくれるのでみやすい。

さらに、フィルムの巻き上げはオートローディングに見られるフィルムを目印線まで伸ばして蓋を閉めるだけ、溝に挟み込むタイプではないから引っかかってなくてフィルムを巻き上げられなかったなどのミスがない。
勿論自分でレバーを引かなければならないが、その所作はフィルムカメラを使う上で寧ろご褒美ではないか?
いや、そんなことはないか。

また、ISO感度はフィルムのバーコードみたいな部分(DXコード)から読み取られ自動で認識してくれるため、一々ダイヤルを回す必要がないし、そもそもダイヤルはない。
裏蓋には、小窓があるので何のフィルムを入れていたかも容易に確認できるなど

兎にも角にも、ちょっとした便利ポイントがたくさんあり、使い心地がシンプルで良い

「カメラの知識はないけど、なんでもオートでやってくれるコンパクトカメラじゃなくて、ちょっとは自分でカチカチやってみたい!」的な人にはちょうど良し。
液晶表示などなく、あくまでもSPシリーズの延長のようなマニュアルフィルムカメラだから、取説なしでもいけてまう。
シャッター音の虚無感に目をつむれば、
いや、むしろその「カチョーーーン」さえも割と好きになれるかもしれないと錯覚する程扱いやすいカメラなのである。

軽量で、一見ミラーレス機にもSP系のフィルムカメラにも見えるその見た目は、個人的に「持ち出したいな、ぶら下げて歩きたいな」と思わせるカメラでもある。

良いところもあれば、惜しいところもある
否惜しいところなら山程あるが、「フィルムカメラで撮っている」ということを実感することができる
楽しいカメラP30
流石PENTAX

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