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書籍紹介 「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」 山口 周

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ 」が良かったこともあり、同じ著者の本書を購入。折から社内でリベラルアーツの話題が盛り上がっていたこともありました。

我々にとって哲学の意味には、結果と過程の2つがあるといいます。例えば思索を重ねて古代ギリシアの哲学者たちが至った結論である「世界は四つの元素から成り立っている」という結論を見ても、現代の我々には無知蒙昧な古代人の結論か、で終わってしまいます。そうではなく、その結論に至った過程が重要なのだと著者は説きます。
つまり「当時支配的だった定説を鵜吞みにせず、新しい論点を立て、粘り強く思考を掘っていくような態度とプロセス」が有益だそうです。このあたりは、読解がなかなか難しい。読んでもなかなかピンときません。
おそらく、何度か繰り返して読み込まないと血肉にならない感じがしました。

というわけで、本書には50人の哲学者ないしはそれに類する人々の思想とその過程などが分かりやすく解説されています。

面白いと思ったのは「報酬」という思索について「人はなぜソーシャルメディアにハマるのか」という観点で解説した「バラス・スキナー」の項です。バラス・スキナーは哲学者ではなく心理学者のようですが、本書ではこのように哲学者以外の思索や実験も多く取り上げられています。
スキナーは、ネズミがレバーを押し下げて餌をゲットする場合の行動を研究して、レバーを押し下げると必ず餌を得られる仕掛けよりも、レバーを押し下げても時々しか餌をゲットすることができない仕掛けの方で、頻繁にレバーを押し下げ始めることを発見しました。
これをソーシャルメディアに対応付けると、ガチャ、とかいう単語が浮かんできます。また、ツイッター、フェイスブック、LINEなども時々貰える報酬を目当てに多くの人がはまっています。この場合の報酬は「ドーパミン」。「ドーパミンシステムは、予測できない出来事に直面したときに刺激される」そうです。

「サルトル」の「アンガージェマン」の項も面白いです。自分の行動、自由な権利、そして選択という事柄について解説されます。ここで内容の説明はしないですが(引用が多くなりすぎるので)「自由の刑に処されている」というサルトルの言葉は印象的です。

本書には他に聞いたことはあるけど、それ何の意味だっけ?という言葉も頻出します。
例えば、「ロゴス」「エトス」「パトス」。ああ、アリストテレスかと思った人も、意味はなかなか分からないのではないでしょうか。これは「論理」「倫理」「情熱」と言い換えることができます。人は「論理」だけではなく「倫理」や「情熱」がなくてはならない、ということ。これらは現代にも通用する考え方でしょう。

他にも「ルサンチマン」「ペルソナ」「イデア」「イドラ」「パノプティコン」・・・ああ、2、3回読まないと覚えられそうもないけど、毎日寝る前に1項目読むのも良いかもしれませんね。

最後まで読んでいただきありがとうございます!もっと文章が上手くなるように研鑽させていただきます。