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【深い社会】19 まとめ:イノベーションを起こしてみよう

東日本大震災が起きたとき、たくさんの保護者が子供を学校に迎えに来ました。
校庭で引き渡しするのですが、中には保護者が遠くに勤めていて迎えに来れない児童も。

「この子、知ってるから」と、近所のお母さんが引き取ってくれた事例がありました。好意に甘えて引き渡しました。
しかし、後で分かったのですが横浜市の学校防災計画では、引き渡ししてはいけなかったそうです。

さらに、計画では、すぐに地域の人が来て、体育館に防災拠点を
作ることになっていたのですが、待てど暮らせど地域の人は来ません。
実は地域に配るはずの防災計画は、防災倉庫のすみの誰の目にも触れないところに積んであったのです。

このように、横浜でも様々なパニックがありました。
そこで、半年ほどたってから地域の人たちと職員であつまり、研修することにしたのです。
普段あまり関わらない地域と学校。
初めての人もいましたし、この人が町内会長さんだったのか、と納得する人もいました。

さあ、アイデア出しをしましょう。
もちろんKJ法で。

イノベーションを起こすためには、まずデータの蓄積が必要です。
「引き取り引き渡しが心配」
「防災拠点設営をする必要」
「いつまで留め置きするのか」

神学大全のように、ダ・ヴィンチのように、徹底的にデータを集め眺めてみます。
すると、そこに共通点が見えてきます。

共通点が見えるということは、他との相違点も見えてきます。
これを続けて百科事典の系統図のように仲間分けしていきます。

仲間分けができたら、それぞれの仲間に名前を付けていきましょう。
この名前が1つ目のアイデア「上位概念」です。
「受付の仕方」→「防災拠点設営をする必要」
       →「引き取り引き渡しが心配」

次に仲間と仲間を比べましょう。
すると関係づいていることが分かります。

もしも一本線でつながったら、相関関係です。
もう一つ上の概念が見つかるはずです。

もしも矢印でつながっていたら、因果関係です。
時間の経過で変化することを示します。

それぞれどんな関係なのか名前を付けましょう。
この関係づけが2つ目のアイデア「関係」です。
「防災拠点設営をする必要」---「役所はいつ手助けに来るのか」
            連絡手段

仲間の一つを出して広げてみましょう。
すると、別の仲間、もしくは別の仲間と線でつながるかもしれません。
ジョブズやピクサーのように組み合わせて新しく名前を付けましょう。
これが3つ目のアイデア「組み合わせ」です。
「受付の仕方」---「連絡手段」
     訓練の必要

最後に仲間わけできなかった、残りのものを見てみましょう。
もしかしたら、今まで見えなかった新しい発見があるかもしれません。
これが4つ目のアイデア「その他」です。
「中学校はどうするか」

・上位概念
・関係
・組み合わせ
・その他

これら4つの発見をKJ法は導き出してくれます。

さて、この4つの中でドラッカーの7つの機会に当てはまるものはあるでしょうか。

1 予期せぬ成功と失敗を利用する
2 ギャップを探す
3 ニーズを見つける
4 産業構造の変化を知る
5 人口構造の変化に着目する
6 認識の変化をとらえる
7 新しい知識を活用する

「これは・・・、小学校・中学校・地域で新結合?」

こうして、地域と学校(小・中)で連携して防災訓練を行うこととしました。
真のねらいは、訓練を行うことで地域と学校が「顔なじみ」になること。
あいさつや声かけができる関係になって、情報のやり取りをしやすくすることです。

7つの機会を生かしたイノベーションです。

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