【書評】【ワーク・ルールズ!】

著者のラズロ・ボック氏はGoogleに15年に渡って務め、その優秀な人達を扱う人事システムを設計・進化させてきた凄い人。そんな凄い人がGoogleで得られた知見をまとめたのがこの一冊です。

言及されている内容も幅広く、採用はどうするか、業績評価の制度設計はどうするかといった所謂人事部のお仕事的な話から、チームのパフォーマンスを上げるための取り組みや人材育成、メンバーの評価方法など現場での話に至るまで、会社としての取り組みが一貫して語られています。

読んでいく上で個人的に面白いと思ったのは、およそ今の人類の知恵と技術を結集した場合に、諸々の課題についてどこまでの回答を出す事が可能であるかの目安になるであろう点です。
多くの人が頭を悩ませている点について、知恵と技術で解決ができるのか、あるいは妥協的な対策に留まるのか、というのは皆けっこう気になるのではないでしょうか。
考えれば・金をかければ解決できる話なのか、いやいやリソースを掛けるだけ無駄に近い結論が出ているよというのは、検討対象が大きな問題であるほどに割と気になる人が多いですよね。

いくつかトピックを挙げるとすると、例えば「採用面接ってどこまで意味があるのか、どうすればより良い採用活動ができるのか」という問題があります。
これについては「どんなに優秀な面接官でも、最初の10秒で得た印象についての確証を得るために残り時間のを費やしてしまうので、多くの時間が無駄」というのがGoogleの出した結論。
ではどうすれば良いのかというと、そこはGoogleらしい(日本の一般企業ではとてもマネが出来ないような)話から、一般的な企業でもある程度参考にできそうな話まで展開されています。

あるいは「イケてない人をどうしたらよいか」という問題について。
業績が低くて目立つ人が一人いるチームがあるとして、安直にその人を辞めさせれば良いのかというと、実は他のチームでも同じような人がいたんだけどそちらでは他の人達からのフォローがあるために業績が低下せず、チーム全体のパフォーマンスも高いだけだったというケースも出てきます。
これは業績の低い人をフォローするノウハウを社内で共有した方が、チーム・会社全体としては利益になるというオチですね。

こんな感じで、デキる人達を相手取り、時にデータの力技で解決を図る姿に納得したり、フフっとなったりする話が多岐に渡って語られます。

「ぶっちゃけどうなんです?」的な話を聞いてみたい人におすすめです。

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