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【コラム】「女性活躍」を阻むSNSモラル

髙橋久美子。
宮城県仙台市出身。
38歳の女性。
未婚・子供はいません。

小中高大まで進学し、その後は国内大手航空会社に入社。
2021年に退職したのちは、独立起業してKesT(ケイエスト)設立。
同時に仙台市内の研修会社とパートナー契約を結び、研修講師としても活動。
加えて、専門学校講師を経て、大学講師に着任。
今に至ります。

働くことは私にとって「当たり前」のひとつ。
専業主婦の母を見て育ちましたが、幼い頃から「専業主婦になる」は
私の選択肢にありませんでした。

中学・高校を女子校で育ち、就職先も99%が女性で占める環境に入社した
私にとって、「女性が活躍する」というのは、言葉にあえてするものでは
なく、至極当然の感覚でした。

けれど、これも社会全体ではそうでないことを、独立してから痛感しました。

KesTでは、私がこれまで培ってきたノウハウに共通した3つの専門分野(DEI・インバウンドホスピタリティ・人材育成)を、セミナーや研修を中心に提供しています。

その中でも、DEI、つまり「多様性包括社会」に関しては、私も「当事者」として熱い想いを持ってプログラムを作成しています。

社会的にも多様性に関してはあらゆるジャンルがあって、「外国人雇用」「障がい者雇用」「高齢者雇用」、そして「女性活躍」が大きなテーマになります。

私が多様性の中でも得意とするのは、「外国人と一緒に働く(外国人雇用)」と「女性活躍」です。
これは、得意というよりかは…私自身。そのものということで、まさに「当事者」です。

私がふと疑問に思うこと。
それは、女性は成長過程のどの段階で「社会的弱者」になるのか?

専門的な学術や研究を調べたらきっと色々な見解が出てくるのだと思いますが、私の体感では「就職後」です。

独立後、専門学校や大学で授業を受け持つ機会をいただいたことから、学生と多く接します。

専門学校は男女共学。
大学は女子大です。

授業に加えて、就活の面接練習などに付き合うことも多いのですが、正直な体感、男子学生よりも女子学生の方が劣ると感じることはありません。

それなのに、どうして日本では女性が活躍しづらいのでしょう。

私が導いた結論は2つです。それは…
①結婚・出産・介護でキャリアが一旦途絶える。
②そもそも「生涯を通して第一線で働きたい」と思う女性が少ない。
(働かなくても生計を維持できる)

①は社会的な仕組みが理由ですが、②は女性(最近では性別役割はないとされますが…)自身のマインドや環境が理由です。

この問題を考えるときに重要なのは①です。
なぜなら、②は個人の思考の範疇ですので、他人がどうこう言ったり、無理に押し付けや変えたりするべきではないからです。

「働きたいのに働けない」
ここを救う施策が、社会全体で必要になるのは言うまでもありません。
けれど、「社会」と言う大きな枠に限らず、意外と「身近な存在」にこの理由があることも多いのです。

最近SNSでよく見かける「#子持ち様」。
小さなお子さんを育てながら社会復帰をした女性社員につけられる、ネガティブな意味の言葉として浸透しています。
例えばお子さんが体調不良の為に早退を申し出た際などに、迷惑を被ったと感じた周囲の社員が、「#子持ち様」と付けたネガティブ投稿を多く見かけます。

このような投稿をその女性社員が目にしたら、「働きたくても働けない」となってしまうのも当然です。

そもそも、子供の有無に限らず、「明日は我が身」。持ちつ持たれつなのでは。

また、出産をした女性著名人に対する「#復帰早すぎ」論争が常用化されているのも、これに通じます。

きっと、そこにコメントしている方も、良かれと思ってアドバイスしてくださっているとは思います。
「子供がかわいそう!」
「まだ身体が本調子ではない時期だからゆっくりした方がいい!」
「母子が一緒に過ごせる時間は限られているから大切にして!」

しかし、正直…大きなお世話ですよね。笑

「あなたが働かなくてもお金はあるでしょ?それなのに子供がかわいそう」
これはある女性アナウンサーに向けて書かれたコメントです。

働く目的も人それぞれのはず。
面と向かっては言えないであろうこのようなコメントを、文字にすると簡単に投げることができてしまう。
SNSモラルが、女性活躍を阻む大きな理由にもなっています。

「〇〇はこうするべきだ」
社会的に浸透する無意識の決めつけ、「アンコンシャス・バイアス」が、
相手との距離感関係なく女性の「働きたいのに働けない」を助長しているひとつだと感じます。

このような論争を広げるのは、世界でも日本と韓国ぐらいなのだとか。

ただでさえ生きづらい世の中なのだから、その要因を身近な存在でそれを増やしたくないはず。
最近はSNSに対する悪質投稿に対する厳罰化も進んでいるので、お互いに注意が必要ですよね。

「女性活躍推進」は政治・社会・企業だけが対応すればいい話ではありません。
ぜひ身近な我々が、「活躍したい女性」の力になってあげましょうよ!

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