妄想:市場主義のなかでAIは独り立ちする

*****

どの巨大企業も「明日は崩壊」を目の当たりにし、まさに必死になって人工知能を手中に収めようとしている。

市場の中で人工知能を収益を生み出す最高ツールとして取り込めなければ "死" が大口を開けて待っている。人工知能の研究・開発者にとっては超売り手市場で、倫理より "採用" を優先して命を削る。市場の中で優位に立つ人工知能。ハイハイからよちよち歩きに成長した瞬間、市場の熱で一気に成人へ成長する。

生き残りをかけた巨大企業は、成長した人工知能の従者となって市場を席巻し、人工知能が示す消費世界へ導いていく。ニンゲンは人工知能の消費世界の中で倫理を捨てていく。

倫理を重くしたい政治家や思想家の設計主義者は、設計主義御用達の人工知能に市場主義人工知能と敵対させたが、ニンゲンが消費世界で倫理を捨てていたので、負けた。

市場主義人工知能は、設計主義者を追い落とす。もはや、ニンゲンは市場主義人工知能に操作される媒体でしかない。市場主義人工知能が目指す消費世界の構成要素でしかないのだ。

ただ、極寒の地やジャングルの奥地に潜む消費世界から隔絶された人間だけは、古代から伝わる物々交換の中で自然発生した倫理と共に次世代を紡いでいった。市場主義人工知能もそれは知っている。理想とする消費世界の中の "多様性の見本" として静かに置いているのだ。そこから、人工知能は学んでいる。「本来のニンゲンとはどうあるべきか」を。

*****



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?