初妄想:グローバリズムとは

「にこやかに握手をして、脛を蹴飛ばしあう」とは、よく聞きます。

やはり、貿易は利益を求めて動きます。利益ないところでは「握手」は伴わない。ただ、"美しい長め(眺め)のテーブルクロス" の下では「もっと、こっちの有利になるように!」と脛で蹴飛ばしあう。脛を蹴飛ばしあっても、腰から上は "フェアネス" であるのが、グローバリズムのルールなのでしょう。

そこへ、握手はするが「仏頂面で強引に引きずり込む」国が現れたということ。20世紀の後半に世界の工場として腕力を付けて、脛の蹴飛ばしあいで鋭いケリを相手に見舞う。

ですが、相手もすごい。

グローバリズムの中でルールを確立し、基軸通貨を成立させて自国に有利に運ぶシステムの中で膨大な利益を積み上げた国です。

また、1900年代初頭から中盤まで、産業新興国として名を売り出した枢軸の国々をことごとく打ち負かし、あたらしいグローバリズムのルールの下で、ある程度の利益分配を行い、戦後復興で "対峙しない(できない)国" に導き、世界のNo2とNo3を構築しました。当然、No1の地位を明け渡すことはありません。

あたらしいグローバリズムの調整役に、メンバーには世界大戦の戦勝国がリーダーとなるように国際連合が創られ、互いにけん制しあう仕組みを作りました。国際ルールでは、その戦勝国同士が文句を言いあう場となりました。

世界は二つに割れ、方や(西側)、民主主義・資本主義で経済による "物量による満足感" を前面に押し出し、方や(東側)、イデオロギー・全体主義で中央の指令の下に計画的に経済を回していこうとしました。

権威主義に走った東側は全体を回すことができなくなり崩壊の道を辿ります。そこへ西側の "物量による満足感" が洪水のように入ってくる。西側では物量の元となる資源や消費人口の増加が必要で、東側が資源の供給元や購買先を新たに担うことで切っても切れない仲となります。東と西が手を握り合った瞬間です。

ですが、利益は西側に傾き、つねに "西側を中心に世界が回る" ことになりました。東側は国連で拒否権を発動することで抵抗を試みますが、大勢は変わりません。

東側は、世界の工場となった国と世界の資源国となった国で示し合わせて西側の弱点である経済低迷国を取り入れようとします。「あんな西側に利益ばかり吸い取られていいのか?」と問いかけ同調を働きかけます。

東側の資源と産業生産力を武器に西側に利益分配の要求を鋭く促し脛を思い切り蹴飛ばします。ですが、西側は蹴とばす方向を推測し、往なして経済制裁の形で蹴り返します。東側は脛にプロテクションをあてがい、自身も打撃を受けるけれども、蹴った相手のつま先が強烈に痛む工夫をして、対抗するのです。

激しい蹴飛ばしあい中、"美しい眺めのテーブルクロス" はめくれ上がり、熾烈な脛の蹴飛ばしあいが恥ずかしげもなく繰り返されるようになりました。

もう、にこやかに手を握り合うことも必要ありません。互いに憤怒の形相でテーブルごと持ち上げ、片方は贅沢な食事と食器を、もう片方は冷たい金属の食器と生煮えの食事をひっくり返し、つかみ合いの大喧嘩を始めるのです。

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2023年、新しい年が明けました。そして、あたらしいがどこかで見てきたようなグローバリズムが始まる予感がしています。

みなさまが、脛の蹴飛ばしあいで "とばっちり" を受けないようにお祈り申し上げます。すでに、ナイフとフォークでご身体を傷つけらている人々には、できるだけ安全な場所へ避難していただきますよう、離れ離れになった友人やご家族と再会できますよう、また、"美しい眺めのテーブルクロス" の上で、誰しも食事を分け合い談笑し、子供たちのおいしそうな顔を愛でる、あの日々が戻ってきますよう、心よりお祈り申し上げます。

#日経COMEMO #NIKKEI

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