何故、人間は「酩酊」を求めるのか

若者のアルコール離れが話題になって久しいのですが、代わりに健康を意識して、カフェインやその他、若干の精神作用をもたらす成分を含んだ飲料が出回っています。(筆者注:以降、薬物酩酊も ”酩酊” として表現させていただきます)

欧米では、カンナビノイド(特にテトラヒドロカンナビノール)を含む食品が普通に売られているのをご存知の方も多いと思います。いわゆる「大麻入り食品」のこと。

自生した大麻に蓄積されている ”テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)” を熱で脱炭酸化させると テトラヒドロカンナビノール となるので、「・・・紀元前1000年頃には古代インド人達によって食事に取り入れられていた・・・(Wikipedia参照)」とのこと。精神作用と宗教儀式は、切っても切り離せない関係にありますから、効果をもたらす植物として伝承してきたのでしょう。先月、大嘗祭につかう大麻を刈り取る「抜麻式(ばつましき)」が徳島県美馬市で行われたとの事。

日本では、「・・・テトラヒドロカンナビノール(THC、筆者解釈:略して、カンナビノイド。大麻、マリファナ)は日本において、麻薬及び向精神薬取締法により麻薬に指定されているため、その含有成分であるTHCを用いた臨床試験は麻薬及び向精神薬取締法により、麻薬研究者でない場合禁止されている。・・・(Wikipedia参照)」とのこと。したがって、許可を受けた者以外が取り扱えば(栽培含む)、「犯罪」となります。

「幻覚・妄想」や「依存性」の有無については、日本政府と見解が違う欧米(カフェイン程度の作用と認識)では、利用の一般化に興味を示す企業も多いと聞きます。

アルコールやカフェインとカンナビノイド。度を越えた摂取が酩酊をよび、それがどのような依存をもたらすのか。ここからは私の妄想です。

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まだ、人間が捕食される時代では、酩酊は、即、捕食される危険性がある状態だろうと思います。病に陥った時の危険性と同等でしょう。

一方、集団で集団を守ることが生き延びる最良の方法として取り入れられ、捕食されにくい生き物になっていきます。やがて、より強く集団を生き延びる方向へ導く統率者を求めるようになります。

統率者は超越した存在であり続けるために、非人間を醸し出す必要があり、呪術が発達します。さらに、それを幻覚の中で行う事が集団をまとめる効果があることが認識され、幻覚作用のある植物などが用いられるようになります。まだ、政(祭)の時以外は、利用しないのが普通でした。

人間にできないことを、飼いならした動植物で実現する時代を経て、機械化文明が発達し、さらに情報を駆使して人間が取り扱える限界まで高速化した文明が、現在です。集団の中で、あらゆる高速化に対応しなければいけない人間には、太古になかったストレスが溜まります。若干の成分で精神作用がある ”薬(草冠に楽)” を取り入れるようになります。

常に蓄積する疲労とストレス。それを軽減する ”薬”。お金があれば、いつでも手に入る状態。習慣的に ”薬” を取り入れることとなり、極小さな依存性をもたらします。

はっきりしない頭をハッキリさせたいがゆえに、カフェインを取りすぎると命を落とします。緊張を解きほぐすアルコールも同様。取りすぎ(酩酊)はなぜ起こるのでしょうか。

時間が許さない・・・。常に結果を求められる現在。よい事も悪いことも、時間遅れの結果は評価されません、「早くしなさい!」と、幼いころから躾けられます。それが、ストレスの原因となります。ストレス解消のために早く効果の現れるモノに頼ります。効果が現れなければ摂取頻度を上げ、体内にとどまる濃度を上げます。ストレス解消や覚醒の効果が持続することを願っていますが、それを自ら実証・検証することなく ”信心” となって日常で繰り返されるのです。

若干でも精神作用がある物質が体内で濃度の高い状態が続いた後、それが疎となった時、大脳は常に高い濃度を求めるのでしょう。よって、再び、”理由なく” その物質が含まれている商品の購入にひた走ります。ビジネスにとって、これほど ”おいしい” 現象はありません。手を変え品を変え、精神作用のある物質を投入し続ける事でしょう。

ほんの瞬間、”時を忘れて憩う”。これが、やめられない。そして、”時を忘れる” ことだけが目的となり、摂取過多となり、やがて、薬効に関わりない ”幻想” をもたらすようになります。その時点で、酩酊となるのです。

人間の限界を超えた高速情報社会。やがて、仮想現実が日常的に利用されるようになるでしょう。ストレス解消や覚醒が求められ、様々な仮想現実商品が出回ることでしょう。そして、傍らには若干の精神作用のある食品が転がっている・・・。「『幻覚・妄想』がなく『依存性』が極小」とされる物質が開発されたとしても、時間と大脳はそれを求めてやまない。仮想現実の世界で、酩酊は深まり、やがて、人間は幻想の中で自身に捕食されていく・・・。

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高速情報化社会の中で、雇用を生み出すビジネスとは何か。雇用の中で職場でストレスを溜めずに利益を生み出す覚醒した状態を保ちながら組織が生き長らえる ”なにか” とはなにか。人間が自身に捕食されないように ”健全” でいられる状態とはどんなことか。それは、どうやって維持できるのか。

この記事にある M&A から、飛躍した話となりましたが、まじめに「中らずと遠からず」と思っているのです。



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