CTOの冒険と教訓
この記事では、私のCTO経験をアウトプットします。
走り抜けた約2年間(フリーランスとして活動していた時期を含めると3年間)で、上手くいったこともあれば、そうでなかったことも少なからずありました。
CTOというのは何かと孤独な役割(CxO全般に言えることだと思いますが)です。
この記事が、絶賛試行錯誤中のCTO並びに技術組織を束ねる方々や、今後こう言ったキャリアを志す方々の参考になれば幸いです。
まず前提をお話ししますと、私の経験した組織の状態は、ほぼシード期(プロダクトの状態からの私の印象)~アーリー期~ミドル期の軌道に乗る前の状態です。
(色々と端折りますがw)最終的には、主に文化面で内製化が難しく、会社がミッションを達成するうえで技術組織は足枷になると判断しました。組織が活動を続けるためのアドバイスを最後の活動に、CTOを退任しました。
そんなこんな経験を記事としてあうとぷっとすることにより、反省点を学びとしてより深く分析していき、正しい活動へフィードバックします。
ねらい
改善点を見つめなおし、より正しい自身の活動指針とする
今現在挑戦をし続けている技術経営界隈へ私の学びをフィードバックする
スコアリング
私の活動を、技術/マインド/経営/組織の4観点で分割して、それぞれ5段階評価して良い点と学び(改善点→具体的な改善策)を分析します。
❕注意点❕
何度読み返しても、正直カテゴライズがしっくりこなかった個所もございます。「これこっちの観点でしょ」は多少なりあると思いますが、菩薩の境地で見守ってください。
技術:⭐️⭐️⭐️⭐️
私がスタートアップに参画して最初の仕事は技術的負債の返済でした。前任者がリリーススピード全振りで構築してきたアーキテクチャーが繁茂しており、技術組織の構築や継続的なグロースがとても望める状況ではありませんでした。
組織を去った日まで、多くの技術的負債を返済しつつ、次世代の技術選定ができたこと、選定した技術を使ったプロダクトをリリースできたことで、開発実績が出せました。
また、大手保険会社のシステム開発を受注し無事リリースできたことや、私の設計したアーキテクチャーでBiz要望に柔軟に対応・運用できました。
この仕事により、より多くのユーザーがWebで保険申込をできるようになり、社会は確実に一歩前進したといってよいと思います。
すべての技術的返済をしきれなかった点をマイナス評価して、結果4点としました。
良い点
技術的負債返済に向けてリーダーシップをとり、自浄するチームを醸成できたこと
新たな技術選定で実績を出せたこと
技術的に困難な課題に向き合い解決し、顧客に対してバリューを出せたこと
学び
負債を返済しきれなかったこと。
返済までのロードマップを描き、計画を具体化し、実施において計画をトレースすることで解決できたのではないかと考えている。
マインド:⭐️⭐️
オープンマインドであること、ゴール指向、失敗や学びを重視することにより、多くのメンバーに良い影響を与えられたことと思います。
関わったプロダクトの成否は以下のとおりです。もちろん私一人の力では到底及ぶことのないゴールであるため、関わったすべての方に改めて感謝したいと思います。
成功:2つのプロジェクト
軌道に乗った1プロダクト
失敗/見込みなし1プロダクト
軌道に乗せられなかったプロダクトができてしまったことや、今思えばそれを軌道に乗せることはそれほど難しくはなかったと思うので2点と評価しました。
特にそれまでのプロダクトで致命的な失敗がなかったことで慢心していたのだと思います。
このころから組織のサイロ化が見え始め、いわゆるオレンジ組織の悪いところが散見されるようになったように思います。開発内のリーダーシップにとどまらず、PMや営業など関連領域に積極的にかかわって、より上位の組織が成功することを念頭に活動すべきポイントが多かったと思います。
良い点
オープンマインドな3つの開発チームを醸成でき、自走可能な状態にできたこと
学び
一つのプロダクトにおいて成功体験を作り出せず、軌道に載せることができなかった
スプリントという小さな成功が主な関心事になっており、成功というゴールを見据えての活動を維持し続けていれば結果は変わったはず。
権限移譲をうまく駆使し、ディレクションとコラボレーションに力を注ぐべきだった
組織のサイロ化を見過ごし、自部署の責任範囲を超えなかったこと
うまく機能しない組織構成を破壊し、自部署に取り込むことでリーダーシップを取るべきだった
技術部とPM部を混成し開発部として再構成すべきだった
営業側面のパワーが大きく、あえて開発に制限することでメンバーを守らざるを得なかったこと、結果として社内受注状態を払拭できなかったこと
技術経営の重要性をCEOに継続的に変わらないスタンスとして伝えるべきだった。この時数値目標や損益のバランスを可視化できるとなお良い
経営:⭐️
私のCTO期間で一番苦しんだ領域です。まだまだ多くあった現場仕事と経営のバランシングが非常に難しかったです。
IPOを目指したガバナンス強化やプロセス重視の考え方、CxO間の意思疎通、CEOとの付き合い方などなど、多くの学び(あるある?)を得ました。
コミュニケーションを増やしたり、よりリーダーシップを発揮すること防げたエラーが多くあり、一番の成長株ということで1点評価します。
良い点
システム障害や生産性などKPIとして、取り扱えたこと
評価軸が安定し再現性のある評価ができるようになったこと
学び
文化の言語化ができず、全体的に職能的な組織になったこと
ジョインした段階で文化について徹底議論し、ふさわしい人物像/の仕事像の共通認識を持つべきだった。
マネジメント研修で使った業者をうまく巻き込みきちんと意見を収束すべきだった
技術的なKPIと経営(収益)とのリンクが説明できず、結果としてゴールを目指す一員として認識してもらえなかったこと
権限移譲をすることにより、組織の状態を納得してもらうところにコストをつぎ込むべきだった
他責の文化が根付き、学びに振りにくくブレーキがかかったこと。その文化を払拭できなかったこと
問題の組織を開発部隊として取り込むことで、コントロールすること。
問題のあるムーブに対して、降格など手段を問わず対処すべきだった
経営チーム一体として、CXOを巻き込みきれなかったこと
絶対的にコミュニケーションは足りなかった
月一で飲みに行くなり、ミッションについて語たり明かすなり精神的な接続を持つべきだった
組織/チーム:⭐️⭐️⭐️
多くの開発チームにおいてリーダーシップを発揮し、自走可能な状態にできたと思います。
一方で権限移譲だったり、降格人事などを未経験分野を活用することでスムーズな運用ができたと思います。
また、一時期ティール組織を目指したことがありましたが、あまりハマらなかったです。
これは当時の組織に素養がなかったのではなく、私自身がティール組織を誤って理解してたことにあります。私自身のリーダーシップ(この時はあえて放置して実験してた節があります)や、メンバーのオーナーシップの醸成をしないままにメンバーに組織運営を託したため、組織の混乱期脱却が遅れました。
とはいえ、多くのチームでバリューを出せる状態まで構築できたので3点と評価します。
良い点
あらゆる開発チームにおいて技術的にリーダーシップをとり、バリューを出せるチームを醸成できたこと
組織規模に対して、多くの採用実績を上げることができた
退職後も社内外の多くのメンバーとプライベートな繋がりを持てたこと
学び
私のタスクの棚卸が後手に回り組織運営が困難になったこと
組織設計を行い、権限移譲を早い段階から実施すべきだった
マイナス評価に対する知見がなく後手に回ったこと
降格人事などマイナス評価のルール作りをすべきだった(キャッチアップや目標未達の回数制限など)
リーダーシップを注がないことにより組織の混乱期脱却が遅れたこと
自浄作用のある組織にはある一定の約束事が必要
組織設計とやっていいこと、いけないことなど誰にでも伝わるよう言語化し、それを語れるメンバーを増やすべきだった
まとめ・現在
(学びを多く得たいという目論見もあり)割とネガティブな経験を語ったところが少なからずあり、事実、結果自体は悔しく終わりました。
ただ感覚としては多くの実りを実感しております。
実際に、仕事を通じて今後の活動の幅を増やす多くのプライベートなつながりもできましたし、今現在の活動で過去の答え合わせをする中で自身の正しさを証明もできております。
多くの領域で私の活動が認められているんだと素直に喜ぶことにしています。
実活動的な話でいうと、多くの学びを糧に、とある事業会社(念願のライフケア・フィットネス業界)でPMをやったり日本CTO協会のワーキンググループに所属し世のCTOと共にThink Big, Small Startする活動をしております。
実は初めてのポジションになるのですが、失敗を生かした結果確実に2週目感(強くてニューゲーム的な?)を感じています。
現場の仲間もすごくキラキラしており、日々刺激をもらい勉強もさせていただいております(特に部長さんの手腕(サイロ化した組織の中で生産性を最大化できていると思う)は学ぶべきところが多い!)。
色々ありましたが、結果いい場に巡り合えた私は運がいいのだなと皆様に感謝する日々を過ごしております。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?