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花という有能な詩人と暮らすということ。

 花との暮らしが身近なものになってくれると、毎日いろんなことが起きてくれる。
 花たちはとてもデリケートだ。置いてあげる場所をちょっとでも誤ってしまうと、途端に機嫌を損ねてしまう。
「あ、ごめん。この場所はふさわしい場所じゃなかったんだね。」
 花たちが求めている場所に気づくまで、場合によっては多くの迷いと時間を使ってしまうことがある。その後、私の目線がいつも届く場所に移してあげたら、おかげで今日はすごく元気だ。喜んでくれている。花たちのその表情を確認できることが、花との暮らしの中で最大の喜びだ。
 そして昨日は、現在共に活動する仲間とも、花の縁で新しい一筆を描くことができた。
ふとした思いつきで、仲間の誕生花を調べて、教えてあげることにした。するとそれは「ワスレナグサ」であることがわかり、イラストレーターである仲間にそのことメールで告げると、数分後にスマホへメールの着信がやってきた。
「ワスレナグサは、小さな頃によく摘んでいたお花です。」
 そのメッセージと共に、現在取り組んでいるとある仕事に、ワスレナグサの下絵が加えられてある画像が送られてきた。このスピード感、ああなんて美しい繋がりなのだろう。
嬉しかった。
 それにしても、ワスレナグサ(勿忘草)なんて、まったくなんて美しいネーミングなのだろう。気になって調べてみると、その命名の由来はドイツにあった。

 ドイツの悲話に、騎士ルドルフが恋人ベルタのためにドナウ河畔に咲くこの花を摘もうとしたが、足を滑らせて水中に消え命を落とした。それからこの花をドイツ語名で
  「Vergissmeinnicht(私を忘れないで)」と呼ぶようになったという。
 
 花は、その存在だけでひとつの詩人だ。
 そんな隠された背景を知ることで、花との暮らしはさらに深く、豊かなものになってくれる。そして一番重要なのは、自分が花と対峙してみて、自分がどんな想いを受けられるかということだ。

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