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琳琅珠玉と水晶玲瓏の舞姫 血煉紅玉の章 上

血煉紅玉、禁忌の石よ、
古き時代より伝承されし、
闇の力を宿す呪われし至宝
涙のように滴り落ちる紅、
その輝き、人の心を縛り付け、
欲望と狂気、繋ぐ鎖となる。
血の契約、交わされし約束、
古代の神々と人間の間、
破られぬ絆、永遠の誓いとして
呪われし血煉紅玉よ、
その力、世界を揺るがすものとして、
過去、現在、未来、全てを纏う
永遠の呪われた物語

「血煉紅玉」はその輝きは4つの神石の中でも美しいと言われた。

かつて、天と地が近かったに頃、銀の月明かりの下、神聖なる森の奥深くには、神々の秘密が隠されていた。その中心に位置するのは、薔薇の花びらのような煌く紅色を放つ宝石「血煉紅玉」であった。この宝石は、天の滴として落ちた雫から生まれ、星々の夢が結晶化したものと言われていた。

しかし、この美しい神石には、恐るべき秘密が隠されていた。宝石には、かつて愛した者を失った神の涙と哀悼の想いが封じ込められており、それを手にする者は、美しさの中に秘められた絶望と狂気を味わうこととなる。

ある夜、禁断の森を訪れた若き王子は、宝石の美しさに魅せられ、それを手に入れることを決意した。彼は宝石を手にした瞬間、美しさと同時に、心の底から湧き上がる悲しみと哀悼の感情に取り憑かれてしまった。

王子は、彼の心を支配する狂気と混乱によって、次第に自らの国や民を破滅へと導いてしまった。今に伝えられる「滅びの都」の伝説である。

そして、「血煉紅玉」は、それ以降、その美しい外見と裏腹に、持ち主の心を闇と狂気へと引き込む呪われた石として恐れられるようになった。

過去に数々の英雄や王がその力を手に入れようと試みたが、多くがその魔力に取り込まれ、破滅していった。

琳琅珠玉と水晶玲瓏の舞姫は、次の目的、神石「血煉紅玉」を追い求め、深い森を越え、暗く幽深な山を越えて、最果ての地「影絶の領域」へと足を進めた。

最果ての地「影絶の領域」は、歴史の書にもその名を刻まれず、太古の時代からの伝説や物語の中でのみ囁かれていた。

多くの勇敢な冒険者や知識を渇望する賢者たちが、その謎に満ちた土地を目指し、旅を続けた。しかし、その果てには成功の喜びより、消え去った者たちの名が語られることとなった。

星座が舞い、風が吹き抜ける大地でも、この領域だけは一筋の光も導かれず、地図にも描かれることはなかった。進む者には、絶え間ない絶望と深い孤独が待ち受けていた。

琳琅珠玉と舞姫は、冷酷な風の吹き付ける中、夜の帳が永遠に広がる闇の中を足取り重く、しかし確実に前進していった。

沈黙と冷気のみが支配するこの地に、時折、彼らの足音が響くのみであった。途中、古の文明の遺跡や荒れ果てた廃墟に出くわし、そこにはかつて栄えた都市の面影や、失われた技術の証が静かに時を刻んでいた。

壮大な彫像の残骸や、かすかに残る壁画は、この領域にかつて人々が息づいていたことを示していた。しかし、現在では、その全てが時間の流れとともに消え去り、今ではただの遺跡としてその姿を留めていた。

琳琅珠玉は、壁画の前で立ち止まり、深く息をつきながら言った。

「これらの遺跡を見ると、かつての繁栄や人々の生活が目に浮かぶ。どれほどの時間が過ぎ、何が彼らを消失させたのか、それを考えると心が痛む。」

舞姫は、彼の言葉に対して静かに頷いた。

「私も同じことを感じます。この壮大な都市がいつかは忘れ去られ、歴史の闇に消えていく運命だったとは。時の流れは残酷です。」

「人々の笑顔や日常、そして彼らの夢や希望、愛情それら全てがこの土の下に埋もれているのだろう。」琳琅珠玉は遺跡の地を指差しながら続けた。

舞姫はしばらくの沈黙の後、柔らかく語りかけた。

「けれど、私たちが今、ここを訪れて、彼らの存在を思い出すことで、少なくとも彼らの魂は一時的にでも安らぎを得ることができれば。」

彼は微笑み、頷く。

都の中央にあった広場に、壮大な噴水があった。しかし、今はその水も枯れ果てた。そこに舞姫が足を止め、空に手を伸ばした。

彼女は深く、澄んだ声で歌を口ずさみ始めた。その歌は失われた都の歴史や、かつてここで暮らしていた人々の日常を彷彿とさせるものであった。舞姫の歌声が響くと、空が薄紅色に染まり、優しく風が吹き始めた。

舞姫はその風を受けて、ゆっくりと舞い始めた。彼女の動きは、かつてこの都を彩った人々の喜びや悲しみ、愛や希望を表現していた。

彼女の舞は、失われた都の魂を呼び覚ますかのようであり、その姿はまるで夢の中のように美しく、幻想的であった。

彼女の舞の間、失われた都の石畳や建物からは微かな光が放たれ始め、一時的にでも、都はかつての栄光を取り戻したかのように感じられた。

舞い終わった舞姫は、再び深く歌い上げた。その歌声に、失われた都の魂たちが応えるように、優しく風が吹き、細かな光の粒子が舞い上がり、都全体が輝き始めた。

舞姫の鎮魂の舞と歌は、失われた都に一時的ながらも、再び命を吹き込んだ。そして彼女は、その場所を後にした。彼女が去った後も、都は静かに、しかし、彼女の存在を感じ取りながら、再び永劫の時間の中で眠りについた。

そして、遥か彼方、紅玉の都の夜霧に包まれた塔の頂上から、ひときわ異彩を放つ存在が静かに舞姫の舞を見守っていた。朱玉朱色の衣装に包み、その瞳は鮮血の紅よりもなお深い色で輝いていた。

彼の目の前の水晶玉には、舞姫の舞の姿が映し出されており、その美しさが交錯する舞を目の当たりにすると、唇が微かに震え、狂喜を滴らせた。

琳琅珠玉と水晶玲瓏の舞姫は、さらに、旅の途中で絶え間ない試練と幽玄な場面に立ち向かいながら、不可解な領域を探索し続けた。

闇に包まれた森の中、蠱惑的な毒の花が輝く底なしの沼地、氷より冷たい霧が立ち込める荒れ地など、彼らが通過する風景は次々と変わっていった。

その中でも、特に心を捉えられたのは、紅く染まった空の下、夜の闘星が浮かぶ中、幻影が揺れる砂漠を渡る瞬間であった。

砂の上で踊る彼らの影は、まるで魂が飛び出そうとするかのように歪んでおり、その背後には血のように赤く輝く月が浮かんでいた。

「苦しみ」と言われる石の森では、月明かりが繊細に木々の間を照らしていた。その光の中、人の顔を持つ優雅な巨大な鳥が羽ばたきながら、悲しげでありながらも美しい旋律をささやくように歌っていた。

その声は森全体を包み込むようで、まるで古の詩人が古代の詩を紡ぐかのような響きがあった。

近くの死せる湖畔は静かにその音楽を反響させ、水面は銀色に煌めき、月と星々の映り込みと共に、まるで魔法にかかった鏡のように美しく輝いていた

長い闇の中を進んだ彼らは、ついに目的地、アーシラの門前に立った。

深い闇の中、その存在を語られることすら忌み嫌われた狂気の都アーシラは、星の輝きさえ掠めることのない領域に佇んでいた。

この都の空は、絶えず夜であり、明けることのない黒雲が空を覆っていた。しかし、その闇の中には、幾千もの蛍のように微かに光る灯りがちりばめられ、それが都全体を幻想的な雰囲気にしていた。

アーシラの建物や構造物は、捻じれた形や不規則な形状で建てられ、その每一つが異なる美しさを持っていた。それぞれの建物からは、独特の香りや音楽が流れ出てきて、都全体が一つの生き物のように感じられた

高い城壁の外からは、夜ごとに奇妙な歌声や旋律が漂ってきた。これは都の中心にある「魅惑の塔」からのものであり、多くの者がその音楽に引き寄せられ、都への入り口である「血の門」をくぐっていった。

しかし、一度この都に足を踏み入れると、二度と外の世界に出ることは許されなかった。

街の中には、常に流れる鮮血を思わせる河や、人々が群がる奇怪な市場が広がっていた。市場には、珍しい動物や魔法の品々、さらには人の魂をもを売買する露店も存在し、その光景は訪れる者たちを戦慄させた。

夜の都アーシラは、月の光さえも吸収するかのような闇に包まれている。その中で最も目立つのは、宮殿の上に浮かぶ一つの巨大な赤い月。この月は、都の守護神である「血獄の女神」の象徴とされ、月明かりの下で行われる祭りや儀式は、都の住民たちにとって最も神聖な時とされていた。

都の地面は、血のように濃い紅色の石畳で覆われ、その紅色は、時折、不規則に脈打ち、ゆっくりと動くように見えた

高く聳える建物の影には、微かな鼓動が感じられ、まるで都そのものが生きているかのような幻惑的な雰囲気を醸し出していた。

空気は、甘美で、同時に冷たく、人々の肌を撫でるたび、薄紅色の霧が立ちこめる。その霧の中からは、時折、幻影のような美しい舞踏者たちが現れ、その場で奇怪な舞を披露する。彼らの舞は、美しさとともに狂気が滲み、観る者の心を捉え、逃さない。

アーシラの住人たちは、闇の中での生活に慣れ、その狂気に酔いしれていた。彼らの肌は、淡い藍色を帯び、眼は深く、闇を湛えているかのように輝いていた。

彼らの会話は、普通の人間には理解できない古い言葉で交わされ、その声は、美しくも、どこかおぞましい響きを持っていた。

琳琅珠玉と舞姫が歩む石畳の道は、時折、血の色をした薔薇が生え、その花びらからは甘美でとろけるような香りが立ち込めていた。この薔薇は、過去に迷い込んだ者たちの魂を閉じ込めているとも囁かれていた。

中央の広場では、美しい面影を持つ人々が、狂おしいほどの舞を舞っていた。彼らの瞳は虚ろで、その舞には生と死、愛と絶望が混ざり合い、美しさの中に狂気と哀愁が滲んでいた

舞姫は、その舞の中で一人の女性を指差し、「彼女は、かつて私が訪れた村で見た舞者に似ている。」と囁いた。

琳琅珠玉は、その言葉に心を痛めながらも、「この都には、様々な時代や場所から来た者が、彼ら自身の過去を忘れ、新たな命を受け取っているのかもしれない」と返した。

舞姫が指さした女性の舞者は、異様に長く伸びた指で空をなぞり、その後、自らの体を抱き締めるようにして地に崩れ落ちていた。その様子は、過去の罪や後悔に囚われた魂の苦しみを表しているかのようだった。

深く進むほど、都はさらに狂気を増していった。市では、過去の記憶を瓶詰めにして高額で取引され、不思議な薬は、一時の快楽と永遠の狂気をもたらすのだった。

闇を支配する狂気の都アーシラの奥深く、黒曜石と血紅色の金剛石で装飾された巨大な宮殿が聳え立っていた。常に暗紅色の稲妻がこの宮殿の頂を飾り、その光景の中心には「血珠の間」が位置していた。

そこには、美しさと狂気を併せ持つ王が君臨していた。その瞳は、宇宙の深淵を思わせるような、無限の闇と真紅の光を宿していた。

彼の周りには、常に黒い霧が立ちこめ、その中から、時折、古い詩や歌が聞こえてきた。

この威圧感ただよう宮殿の支配者は「絢螺魔影」と名乗っていた。「絢螺魔影」は、美しさの中に秘められた死の香りと、底知れぬ狂気を身にまとっていた。

長きに渡り、彼は冥界に相応しい花嫁を求め、彼の悲しみと狂気を共有する者を探し続けていた

ある日、彼は虚空を彷徨い、失われた都で鎮魂の舞を踊る彼女を見つけた。

彼が彼女の姿を初めて捉えた瞬間、彼の冷たく死んだ心が一瞬だけ躍動した。彼女の白い肌が月光のように照らし出され、その瞳は闇夜の星のように輝いていた。

彼の欲望を叶えるため、彼は最も信頼する部下、紅玉の道化師を呼び寄せた。この道化師は、片面を血色の仮面で隠し、恐ろしい魔術を駆使して人々の心を操っていた。道化師は絢螺魔影の命令を受け、舞姫を誘拐する策略を練り始めた。

夜の都アーシラは、他のどの都市とも異なる独特の雰囲気を持っていた。時に流れと共に街全体が薄紫に染まり、その後暗紅色の灯りがほのかに輝き始める。

この灯りは、通常の火の光とは異なり、まるで血のような色彩を放っており、蠢く影が街の至る所に踊りだす。

石畳の道は、この赤い灯りに照らされて、まるで血の流れる河のように見えた。遠くの住居や宮殿の窓からは、不気味に揺れる蝋燭の光が見え、その光が絶えず動きながら、狭い路地や広場に影を投げかけていた。

風が吹き抜けるたびに、甘くて魅惑的な香りが街を包み込む。この香りには何か催眠的な力があり、訪れる者たちはその香りに魅入られ、現実を忘れてしまいそうになる。

暗紅色の灯火が静かに揺れ動く街で、時空の境界が曖昧になるような奇妙な雰囲気が漂っていた。その中で琳琅珠玉と舞姫は、予期せず一通の招待状を手に入れる。

それは美しい絹紙に墨で繊細に書かれたもので、その文字は波のように動き、目を奪われるような魅力があった。

「霧絵梦香の夜の宴に、貴方を招待いたします」という言葉と、その下には薄紅色で描かれた小さな唇の形が印されていた。

舞姫は、「この招待状は一体どこから?」と驚きの声を上げたが、琳琅珠玉は「奇妙なものだな。しかし、この都にはこのような不思議が絶えない」と語った。

二人は夜の静寂に包まれたアーシラを歩きながら、霧絵梦香の宴の会場を目指した。途中、彼らの周りには形の定まらない奇怪な生物や影が跳ねるように現れ、その動きはまるで踊りのようであり、音楽のようでもあった。

やがて二人は、透き通るような奇怪な形の白い大きな宮殿に到着する。その宮殿の入口には、薄紅のカーテンが垂れ下がっており、中からは甘美な香りと幽玄な音楽が漏れ聞こえてきた。

中に足を踏み入れると、霧絵梦香が中央の高い台の上に立っていた。彼女の姿は幼く、しかし目は古代の賢者のような深みを持っていた。こ紅玉を見に纏い、不可思議な紅の髪が体を覆いそれ自体が衣裳のようであった。

彼女は「ようこそ、霧絵梦香の宴へ」と微笑むと、その瞬間、会場全体が暗闇に包まれ、奇妙な生物や影が舞い踊り始めた。

琳琅珠玉と舞姫は、この不思議な宴を前に、その場で起こる出来事に驚き中、次の出来事を待ち構えた。

宴の席では、美酒と見た事もない珍味が振る舞われ、しかし、その中には、訪れる者を魅了し、永遠の眠りにつかせる毒も混ざっていた。

この宴に招かれることは、一種の名誉であり、その宴には都の名だたる者たちが集る。

二人が宴の会場へと足を進めると、その周りには形の定まらない奇怪な影たちが舞っていた。彼らの顔は不規則に歪み、しかし、その中には美しさを感じさせるものもあった。

宴の中心には、大きな透明な水槽があり、その中で色とりどりの魚や輝く奇妙な生物が泳いでいる。その光景は美しく、しかし何とも言えない恐ろしさを感じさせた。

なんとも言えぬ美しい楽の音が流れる。蒼白の美しい少年たちが、囁くように歌う。楽師は手に持っていた各々の銀色の楽器を吹き、奏で始め、そこにいた人々はその音楽に引き寄せられるように踊り始めた。

水晶玲瓏の舞姫もまた、中庭で他の舞姫たちとともに舞を請われ、披露していた。彼女の動きは、まるで月明かりの下で煌めく水面のように滑らかで、彼女の肌は赤い灯りに照らされて、磨き上げられた白玉のように光っていた。

そのとき、舞姫の前に紅玉の仮面をつけた道化師が現れた。彼の瞳は赤く、途轍もなく虚ろだった。

道化師は少し距離を置きながら舞姫に近づいて行った。彼の手には、小さな香炉があり、そこから甘く、魅惑的な香りが漂ってきた。この香りは瞬く間に舞姫の鼻をくすぐり、彼女の身体を柔らかく、意識を朦朧とさせていった。

舞姫がふらつき、よろけると、道化師はすばやく彼女を抱きしめた。彼女の身体を彼の元へと引き寄せるようだった。舞姫の首筋に、道化師の冷たい唇が触れ、彼の吐息が彼女の肌を撫で上げた。

彼女を助けようと琳琅珠玉が、迫るとは奇妙な生物たちに囲まれた。彼らの姿は絶えず変わっており、一瞬、美しい女性のように見えたり、次の瞬間には大蛇や狼のように変貌する。

その姿は美しいだけでなく、同時に異様な輝きを放っていた。彼らの目は琳琅珠玉をじっと見つめ、その瞳からは飢えたような欲望が滲んでいた。

彼らが阻んでいる間に道化師は、舞姫を連れて、闇の中へと消えていった。道化師と舞姫が闇に吸い込まれていくさまは、まるで夜の暗闇が彼らをそっと包み込んで、その神秘的なベールの向こうへと誘っているかのようだった。そして、アーシラの夜は、さらに深く、暗く、そして狂気に満ちていくのであった。

琳琅珠玉は心の中で叫びながらも、剣を手に、その光を振りかざして生物たちを退けようとする。しかし、彼の周囲には次から次へと新しい生物が現れ、一筋縄ではいかない状況となっていた。

突如、空気が震えるような微かな鈴の音が響き、霧絵梦香の姿が浮かび上がる。彼女の瞳は夜の闇を映し、その瞳からは奇怪で狂気じみた光が放たれていた。彼女は、琳琅珠玉の姿を楽しむように見つめながら、鈴の音のように冷ややかな笑みを浮かべた。

「霧絵梦香の夜の宴、気に入って頂けたかしら?」彼女の声は幻惑的で、同時に冷酷な響きを持っていた。その声に、会場の空気がさらに冷たく、緊張が走る。琳琅珠玉は、その場から逃れ出すことの難しさを痛感しながら、答えを探した。

琳琅珠玉の瞳は炎を宿しながら、霧絵梦香に詰め寄った。
「水晶玲瓏の舞姫をどこに隠したのだ
!? 」声の中には切迫感と怒りが混ざり合っていた。

霧絵梦香は再び、鈴のような優雅な笑みを浮かべ、彼の質問を無視し、手を振った。すると、幾百の奇怪な生物たちが再び現れ、彼の前に立ちはだかった。

「あなたが望む彼女は、他の宴の主賓として、宮殿で待たされているわ。でもあなたの遊び相手は、霧絵梦香よ。さあ、共にこの宴を楽しみ、踊りましょう?」彼女の声は甘美でありながらも、その背後には陰湿な狂気が隠されていた。

琳琅珠玉は、その生物たちを退けながら、水晶玲瓏の舞姫を探し求めて、神刀「絶縁無双」を振るう。

彼は、この奇怪な宴が、彼と舞姫に仕掛けられた試練であることを感じ取り、心の中で舞姫に呼びかけながら、
剣を振り続けた。

そして遥か彼方の夜空には、数え切れない星々がきらめき、月の光が涙のように降り注ぐ中、壮麗なる景色が広がっていた。空気は厚みを増しており、その中には静かなる刻の音が聞こえていた。

彼女の住む場所は、海の中心に浮かぶ小さな島「夢影の地」。そこで彼女「夢鳳楼海の魔女」は、紅く染まった血を吐きながら倒れる。

彼女は禁忌を破って、琳琅珠玉と水晶玲瓏の舞姫を禁断に領域で助けたが、その行為の代償として、彼女は命を捧げる運命にあった。

薄く閉じた彼女の唇が、静かに動き出す。「古き友よようこそ。」と柔らかく、そして暗い声で囁いた。

彼女の目の前には、黒い鎧に身を包み、冷たい瞳で彼女を見つめる恐るべき死の騎士、炎冥破狂が立っていた。

「月下蒼鳳」よ久しいな。いや、今は「夢鳳楼海の魔女」と言われているのか。闇のように黒く暗い声が響き渡る。

彼女が「夢鳳楼海の魔女」として知られるようになってから、彼との再会は初めてだった。

「月下蒼鳳」という名の彼女は、過去の自分を捨て、新たな名を持ってこの世に生きていた。

「すでに神石「羅紫玉璽」は既に彼らの手にありますよ。」彼女は囁く。

「だが、その代償は大きい。「月下蒼鳳」。かの神石を奴らに渡す際にお前の命を捧げたな。愚かしい行為だ。」

「今のそなたを殺すのは簡単だ。お前の命の炎は既に燃え尽きている。月下蒼鳳」と、彼は冷酷に言い放つ。。

彼女の瞳は深い悲しみに濡れ、
「魂までもその邪剣に食いつくされたのですね、「翠風雅翔」と、彼女は炎冥破狂に彼女は盲いた目を向ける。

「その名を持つ男は死んだ。わたしは既に打ち砕かれた硝子。砕かれた断片にすぎぬ」炎冥破狂は静かに呟く。

「翠風雅翔」という名の男も、もはやこの世には存在しない。炎冥破狂もまた過去の名前を捨てていた。

その瞬間、邪剣「闇煌逆鱗」は夢鳳楼海の魔女の魂を求めて凄まじく絶叫を上げた叫びは、周囲の空間をゆがめさせ、現実を歪め、全てを闇に飲み込む力を持っていた。

月光の中、深淵の静寂が広がる場所で、月下蒼鳳と炎冥破狂は対峙した。

炎冥破狂は、月の光に照らされた邪剣「闇煌逆鱗」をゆっくりと彼女の方へ向けた。その刃は、月光に反射して赤く光り輝いていた。彼女は、見えないはず瞳で彼の目をまっすぐに見つめ、深く息を吸った。

「最後まで戦うつもりだったのに」と、彼女は静かに微笑んだ。その微笑みは、儚くも美しく、砕けるような輝きを放っていた。

炎冥破狂は、彼女の微笑みに一瞬の迷いを見せたが、すぐにその迷いを振り払い、剣を振り下ろした。刃と彼女の白い肌が触れた瞬間、周囲の空間は一瞬真っ白に輝いた。

月下蒼鳳の体は、月の光の中で儚く散っていった。彼女の最後の息吹とともに、美しくも悲しい旋律が風に乗って響き渡った。炎冥破狂は、彼女の消えゆく姿を、何も言うことなく、ただ静かに見つめていた。

「再びの再会は無いだろうさらばだ、月下蒼鳳の舞姫」


三英雄の詩

天の界より英雄「翠風雅翔」、壮麗なる騎士、神々の領域より舞い降り給う

彼の携える神剣の閃きは、天照らす日輪の輝きにも似、万物を照らすばかり

月下の如く儚げなる舞姫、「月下蒼鳳」と名乗る。
彼女の舞、天の河を彷彿とさせ、神秘の力で魔を誘い、魅了し給う

その舞、夢幻の如く、触れずとも心に深く響き渡り給う

古より伝説に語られし「魔星煌師」、星辰の知識を携え、深淵の闇さえ破る力を示す

彼の詠む呪文、宇宙の奥底より湧き上がる力、それは闇を撃退し給う光となりて

此の三者、古の伝承に綴られし絢爛極まる伝説。魔王の暴風、彼らの前には如何なる障碍もなし。絶え間なく語り継がれ給う此の物語、永き時を超え、人々の心に希望の灯りを保ち給う



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