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映画を、観る

 「平日から映画を観るのは贅沢以外の何者でもない」と言えば、贅沢それ以外の何者かである「幸せ」や「満足感」の入り込む余地がなくなってしまうため、不適格な表現に思える。
 それはそれとしてやはり映画は最高の娯楽である。
 ポップコーンを片手に安楽椅子に座り、ただなんの気無しに映像を眺める。 
 スタンリー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』の後半にもそんなシーンがあったような覚えがある。リマスター版にはないのかもしれない。

 しかし一方で現代はチャップリンですら工場の歯車に挟まれてしまうほど時間に厳しい世の中である。そんなご時世において平均2時間の作品を社会人が働く平日に、休みなく通して鑑賞することができるのは、働いていない人か働いているが時間を取ることができる人のどちらかだろう。少なくとも論理的にはそうだ。
 私は残念ながら悪口に取ることが可能な方なので、時間は余りある身である。

 そんな身の上の私が昨日観た映画を3作ほど選んで紹介させていただく。興味が湧いたら観ても良いし、観なくても構わない。そこに強制力は全く持って働かない。


『デリカテッセン』
 世界が滅んだ後の肉屋さんの話。私は大学時代ドイツ語選択だったのだが、タイトルの「デリカテッセン」という言葉を習うことはなかったため、これがドイツ語という可能性は低いと思われる。
 ただ今思い返すと愚弟がその昔オレカバトルという筐体型のゲームにハマっており、(ここでいうハマるとは精神的なものであって、物理的に挟まったというわけではない)それに登場するキャラクターが使う技名の一つに似たようなものがあったような気がする。

 勿論もしこの回想が間違っていたら謝ることは吝かではない。本当は私には弟はいないのかもしれないのだから。


『恋する惑星』
 アジアを舞台にした恋愛の話。ずいぶん昔に友達に観てくれと頼まれたことを思い出し、ようやっと重い腰を上げた次第である。

 ネタバレは好まないのでできる限り避けて表すが、冒頭に登場する金髪サングラスの美女はマリリン・モンローではないことをあらかじめ言及しておく。
 私は最後まで彼女が出演したのだと信じていたが、スタッフクレジットにその名が記されることはなかった。
 つまりウォーホルはこの映画を観た結果としてポップアートに目覚めた訳ではないということが類推できる。

『未来世紀ブラジル』
SF映画。タイトルに「ブラジル」と付いている以上ブラジルが舞台であったに違いない。

 世界観が素敵な作品であった。電車をはじめとするインフラや登場人物のファッションセンス、どれも日本にはない煌びやかさを持っていた。
 だからと言って「今の日本がもの足りない」と言っている訳ではない。充分な経済発展を遂げていると私は思う。

 あくまで映画はどこまで行ってもフィクションである。その点は留意する必要がある。いやどこまでも行ったらいつかは現実に辿り着くこともあるかもしれない。
 しかし我々が向かうべきベクトルや「どこまで」の水準が分からないためフィクションの側からしか語ることができないというのが正しい表現なのだろう。

 私には経験が圧倒的にないので残念ながら南米に足を踏み入れたことはないが、映画にあったような街並みが広がっているのであれば、ぜひ一度訪れてみたいと思った。
 そのためにはまずパスポートを取らなくてはならないので諦めることにする。


以上が今回の内容である。有名な作品ばかりを挙げたため、どれも既に鑑賞済みだった方に関しては「もう知っているよ」と虚しい時間を過ごすことになったかもしれない。それもまた一興、映画は2回目の方が面白かったりもする。

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