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大人の恋のほうがセンシティブでやっかいだ

久しぶりに、恋人もデートをする相手もいないという毎日。2年ほど同棲をしていた人と別れる決心を下してから、なんだか自分の心の様子が変だ。いや、明らかにおかしい。

無性にガンガン、バリバリ、ゴリゴリ恋をしていた頃の音楽を聞きまくっている。まだ大学生だったころ、自分が無敵に思える夜を無数に過ごしたあの頃の音楽や映画の数々。そして案の定、耳から心の中にメロディーがじゅわじゅわ染み込ん後、泣き顔になって涙をこらえる自分に悦になる。

どうしちゃったんだ私。

多分、久しぶりに恋らしきものをしたからなのかな。先日仕事であるデザイナーの男性にインタビューをした。髪がさらさらで口元にささやかでかわいい髭があった。ただこの2点だけで恋に落ちてしまった。(多分。)

会った瞬間に「あ、たぶんこれ好きになるわ。」と思うと100%で好きになる。サラサラな髪と髭。3秒で恋に落ちた私は、インタビューの間もその後もずっとドキドキして。

帰りの新幹線の中で、フェイスブックの友だち申請があった。すぐに交際ステイタスを見る。「独身」だ。よっしゃぁぁ。心のなかで大きくガッツポーズをして。またその後に悲しくなる。

どうしたらいいんだ。32歳で今までずっと恋愛をしてこなくて、同棲していた彼氏とは3年以上セックスレスだったのに。そんな悶々とした気持ちが現実逃避を私に勧め、10年近く前に愛でた音楽に没頭させたのだ。

気軽に誘えない。今何しているのとか絶対に無理でしょ。どうしたものか。大人の恋は打つ手がどんどん少なくなってくる。そして行き着く「関係」から見える背後の形式もだいたいすでにパターン化されている。

と、そんなことを考えながら。今はずっとキリンジの「エイリアンズ」を聴いているのだ。


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