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「絵になる」まちをつくる―イタリアに学ぶ都市再生

イタリア・ルネッサンスの延長として近代西欧で科学主義が、「自然を意のままに操る」思想に直結し、これが現代の自然破壊を生んでいること、あるいは、精神と物質をバラバラに考えるいわゆる「二元論」が、心や身体のさまざまな問題の解決を難しくしていることが、現在多くの識者から指摘されている。

しかしながら、イタリア人は、伝統と歴史を積み上げ、「保存・修復」という手法でまちづくりを行っている。こうしてイタリアの都市は、豊かな暮らしの舞台、生活者にやさしいまちとなり、ひとびとの愛郷精神を育む風景を熟成させている。

一方、世界を分断的にとらえず、有史以来、自然もひとも生きとし生けるものとして一貫したエコロジー思想を持っていたはずの日本において、都市は著しい空洞カ化に疲弊し、まちの風景や環境の破壊が深刻さを増している。

つまり、持続性や(風景を含む広義の)エコロジーをめぐって、イタリアと日本とのあいだに「逆転」が生じているのである。

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