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【タイ移住日記2023/11/13−11/24】ブラックフライデーよりもブックフェア

最近忙しく書くまでに長い期間が空いてしまった。連載をお待ちの皆さんすみませんでした。「待ってねーよ」という突っ込みが数名から聞こえてきましたが、このまま進めます。発信する側の権力ってそう考えたら強いよな。よくない。だからこそどんなに思想があって、もしくは知りたい情報をくれる人の本、そして自分の心を落ち着けてくれるような自己啓発系の発信も一度「ほんまかいな」と穿つ(疑ってみる)のが大事なんだろうと思わせられる。

本日の執筆場所

導入に一番楽なのは今書いている場所から始めることだろう。天気の話は続かない。今日は晴れで、涼しいです。23度ぐらいでしょうか。特にタイはあまり天気の変化がないので、話の導入にならない。アップルのもともと入っている天気アプリの性能が悪く感じられるのは、「中の人」がどうせそんな変わらないから2日に一回更新すればいいよねとか思っているのかもしれない。絶対そうだと思っている。

書いている場所は週末に開催されるJinjai Marketのほど近く、Lotusというバカでかスーパーの入り口そばのカフェだ。買い物に疲れた人たちがコーヒーでも飲もうと集う。ここのコーヒーはマーケットとは違い、落ち着いており、コーヒー豆も選べて、軽食や多種多様なドリンクを取り扱っている割に、安めの価格設定なので何度か私もきている。家からはだいぶ遠いのだが、妻がこの近くでピラティス(ティラピア?ティラミス?)に定期的に通っているので昼ごはん食べついでについてきているのだ。

今日は私にも珍しく用事があり(無職でも用事はあるし、なんだかんだ最近忙しい。)、それなら一緒に行こうということでピラティスを終わるのを待ち、昼ごはんを食べた後に私の用事へ向かう。

私の用事

タイトルとは関係ないことをつらつらと書いているが、その話は後でにちゃんと取っておくのでもう少しお付き合いいただきたい。

私と妻はチェンマイでは珍しく「若くて暇だと思われていて、中長期的に滞在している身元がわかっている」日本人として、日本人学校からお声がけを頂き、非常勤職員として教えており、今日はその引き継ぎもあり、普段は家に篭りっきりだと思われている私が外出している。少し前の日記にも書いたが、私は学生時代から外国にルーツを持っていたり、家族の都合で海外に滞在している若い子のお手伝いができたらと思い、今はオンラインで家庭教師をやっている。教育の専門ではないけど、経験を活かせたらと思いお引き受けしたような感じだ。

なんだかんだで生活しているとこうした交流があり、孤独ではないなと思う。ありがたい限りだ。


ブラックフライデーには踊らされないぞ

タイでもCentralとかMAYAのショッピングモールに行くと、ブラックフライデーセールをしている。日本では近年導入された概念であるが、タイではどうなんだろうかと商品の内容よりもそういった背景に目がいってしまう。ということで私はブラックフライデーには踊らされない強い消費者なのだ。必要なものだけ買うぞ。

と意気込んでみたが、人間とはどれだけ欲に弱いものなんだろう。モノには充足しており、欲しいものはない。ただ、Amazonという怪物は恐ろしい。Kindleで小説が半額になっていたりする。本は私にとってはただのモノではなく、酸素のようなモノなのだ。

日本語でアクセスできる本はなかなかタイのチェンマイにいては手に入らないのでKindleは私にとっては日本語の本にアクセスができる、ある種のインフラなのである。

そういいながら、私はチェンマイに来てから英語で書かれた本やまだ発音はできても意味をいちいち調べないとわからないぐらいなのにタイ語の本も買い集めている。そこでああ私は本の蒐集家なのだなと再確認する。富や権威を見せつけるための豪邸は要らないが本をたくさん持つための大豪邸が欲しい。つまり本は民衆に開かれたツールでありつつも、富の象徴であり、お金を持てる者の趣味なのだろうと思ってしまう。

そういう意味ではKindleは場所の制限をなくしたという意味では革命的であり、資本主義に真っ向から盾ついている気もするが、本を売る者たちにとっては商店街の近くにできたイオンモールのような大敵なのである。スモールビジネスを殺していく資本主義モンスターなのである。

コナンとルフィ

そういうことを考えながら私はカフェで書いた前章まででセーブし、家のシャンプーやら排水口掃除の粉や洗濯剤をスーパーで買う。スーパーの周りには小さな暗い商店たちが並んでいる。そこは日本の街中のようにシャッター商店街ではなく、ときたま人が通り、店も空いている。そこで買い物をしている人もいる。ただ、普段あまり来ないスーパー方面にくるとどうしてもスーパーに寄ってしまう。そして着いてからそういえばシャンプーやら何やらがなかったなとそれらをまとめ買いしてしまう。普段は自宅の周りの商店で買うようにしているが、意志はそこまで高く保てない、エセ反資本主義者なのだ。

そんなこんなでまた筆を取り始めた。私は11/22から12/1まで開催されているチェンマイ大学ブックフェアに初日と2日目で2日連続参戦してきた。タイの出版社や本屋、古本屋、そして紀伊國屋書店も参加しており、チェンマイでは最大規模のブックフェアだ。タイ人は「ブックフェー」と発音している。

1日目はタイ語の授業があり、本蒐集家としては情けなく、「荷物が重いから」という理由で購入を断念してしまった。古本屋さんでタイ語で書かれた建築系や都市社会論的な本があり、それを「まあ明日でもあるか」と思い、その日は買わないでいた。

そして2日目、何も用事はなかったので今日はあの本買うぞと意気込んで行くと、昨日あった場所にはもうない。そこには日に焼けたONE PIECEとコナンが。学生たちがこぞって購入している。タイでのルフィとコナンたちの燃えるような活躍に胸を打ちつつ、蒐集家としての勝負の敗北を味わったのであった。

出品者多っっってなって興奮した

ブックフェアで踊る

敗北感を味わった私は、何とか釣果を得ようとその店でタイ人の日本旅行記(タイ語で書かれたコミックエッセイ)と短編漫画(タイ語)を購入。心をなんとか落ち着かせた。

違うタイトルの本が無造作に平置きされているのをみると、海外のブックフェアに来たなあと思う。

図書館のメインホール方面に歩いて行くと出版社エリアが広がっている。そこには1日目から目をつけていたタイ人のエッセイ(シリーズものになっていて第1巻だけ英語とタイ語で刊行、第2巻はタイ語のみ)を売っている出版社の前を通りかかる。私はタイ語ができるできないに関わらず、シャイなので日本の古書店でもそういうイベントのブースでもこちらからは話しかけない。挨拶だけして本をじっくりみているだけだ。

だが、そのときはその出版社にチラリと目をやっていると、若い男性の担当者にタイ語で話しかけられる。最後まで耳を澄ますもわからず、英語で話してもらう。私が気になっていたエッセイを紹介してくれる。話を聞くとチェンマイではたらく男性が仕事に嫌気がさしてアメリカに行くという話。私にものすごく響いた。でも英語で買うか、今後の勉強用としてタイ語版を買うか、でもそうすると読むのに大変な時間かかるなと思っていたら、大学生が数名ブースに来たのでお兄さんが対応。学生が帰った後も悩んでいると、タイ語のパート1、パート2同時に買うと安くなるよとのこと。タイ語ってどんだけ難しく書かれてるのと聞くと、まあそこまでは、、という反応。質問が悪かったなと思っていると、12/1までやっているからまたおいでよ!といってくれる。

結局私はその場でタイ語バージョン2冊と英語で発刊されている1巻をまとめ買い。お兄さんはレジ係のお姉さんに「日本人のお客さんが買ってくれたよ!」なんて嬉しそうに話している。お金を払い、出版社のインスタアカウントを教えてもらい、帰ろうとすると、17時とかまでここいる?と聞かれる。普段は暇人な私は残念ながらその日は海外在住の子にオンラインで勉強を教えているので、帰らないといけないと話すと、17時から私が買った本の作者が登壇してサイン会をするという。シャイなので流石にタイ語もできないし、と思い、オンラインレッスンが終わった後にインスタでその様子を見た。

2日目の釣果。来週も行くぞ。

タイは本のフェアが本当に多い。田舎のチェンマイなのに9月にもモールでブックフェアが開催された。大阪よりも大規模なものとしてブックフェアの回数多いのではないか。(よく阪急の古本市通ってた)出版文化が豊かで、日本の小説、漫画、ビジネス本(一部怪しい系のやつまで。本屋を運営している私は仕入れないようにしている系)までタイ語で翻訳出版されている。翻訳出版のみならず、タイ発の漫画から小説、アート系の本、歴史書、お坊さんの説法本もたくさん販売されており、翻訳に頼っていない。そして、英語で書かれた本の流通量も多い。手軽に街中の本屋、古本屋でも手に入る。

本好きの移住者も喜ばせてくれるのがタイ。ぜひ、ブックフェアや古本屋巡りしたい方いらっしゃたらまた記事にしますね。。。


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