Chelsea
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〜 poem サイド 〜
足音交差する
横断歩道
行き違わないように
短針は道標を指し示し
誰一人迷わぬように
まばたきのひとつ
シャッターをきった
色褪せないように
記憶のネガを透かして
みても
笑顔なんだ
全部
なのにどこか
ピントが震えて
滲んでる
秒針を足早に
セピア色の思い出まで
駆けた夜
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end
by kabocya
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〜 SS(ショートストーリー) 〜
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片開きドアを押してみれば、ひゅるひゅると音をした風が季節を運んでいくようだった。
通路に並ぶ木々のアーチは、新芽がちらほらと顔を出し春の面影を残してる。
もう
葉桜なんだ。
少しでも春の残り香が残せたらと、手持ちのインスタントカメラのダイヤルを巻き上げてひとつシャッターをきった。
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"恋をしたのはファインダー越しの人でした"
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転入手続きは無事終えたものの、来月から始まる研修やオリエンテーションの日程は着実に迫っている。
未知なる不安や現実から一旦距離を置こうとタスク表を閉じて、川を渡る電車の追い風に身を任せるように借りた部屋まで矛先を向けた。
帰ったら
大家さんに挨拶に行こう。
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ひとつ、長い深呼吸
続くのは落ち着かないベルまでのワンプッシュ。
大家さんはアパートの一階に現在も暮らしているようで、一人暮らしデビューの私にとっては心強い存在…だと思っていた、それなのに。
学年が二つ上で同じ写真部だった
私の初恋の先輩が
今目の前に
いる。
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先輩は当たり障りなくガスに水道や電気の手順、ゴミ出しの説明をしてくれている一方で…私の意識は、思考回路はハザードを焚いている。
どうやら先輩は
私に気がついて
いない。
入居時の説明があっさりと一区切りついたかと思うと、よろしくと挨拶を交わした。
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半ば放心状態で自身の部屋まで着いた。差し入れだと頂いたビニールが、思いのほか冷たい。
荷解きも無理なくねって
やっぱり優しいんだよね
先輩は。
せっかく冷やしてくれていたんだと、ビニールからペットボトルを出して頂くことにした。
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袋を探ると四隅がカラカラと
音をたてて遊んでいる
取り出してみれば
学生の頃に私が好きだった
チェルシー。
交換したこともあったっけ
私は赤いチェルシー派で
先輩は緑のチェルシー派
なんだ
覚えていて
くれたんだ。
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右頬にコロンとした味が
懐かしい。
・
end
by kabocya
※こちらのpoemは自身のXにて記載してあるものです。
見つけてくださり、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
失礼します。
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