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ラグビー日本代表の応援は、日本人にとっても歴史的な体験だったんじゃないかな。知らんけど

力尽きてぐったりです…。昨夜のラグビーワールドカップ、ベスト4をかけた一戦。

本当にいい試合だった。結果は完敗といえるものだったかもしれないけど、あの南アフリカが日本代表を相手に、決死の覚悟で挑んできた。正真正銘の「本気」だった。そんな瞬間をこの目で見られたことに幸せを感じました。

あと、残念な気持ちとともに、ちょっとだけホッとした自分がいたことも告白します。南アフリカに勝ってベスト4、さらに決勝なんかまで進んでしまったら、ちょっと行きすぎなんじゃなかろうか。この先の日本代表にとって目標が見えにくくなってしまうのでは、なんて心配も少しだけ。いやいや、余計なお世話なのは百も承知ですけど。


でもね、やっぱりそんなに甘くなかった。というか、前回は歴史的勝利を含むグループリーグ3勝、でも予選敗退。今回は4戦全勝でベスト8進出し準々決勝で敗退。なんだかできすぎなくらいのステップの上り方がニクい。選手のみなさんには甚だ申し訳ない言い方になってしまいますが、にわかファンとしては「次こそ4強」という目標にワクワクしながら4年後を楽しみに待つ気持ちが生まれました。


それにしても、2015年のブライトンの奇跡から昨日までの4年間、日本代表はぼくたちにたくさんの「新しい世界」を見せてくれた気がします。


まず「鍛錬」とか「努力」という言葉の意味が少し変わったんじゃなかろうか。これほどアンビリーバブルな、奇跡と言われるほどの躍進を遂げた背景として、彼らの口から「鍛錬」とか「努力」と言われると、もう自分のやっていることなんて生ぬるすぎて「努力」と口にすることが憚られてしまいます。できれば彼らが達成した偉業のために新しい言葉をつくってほしいくらい。


そしてもうひとつ、気持ちや志で団結したとき「人種」や「国籍」なんて無意味になるという事実。そんなものは、どこかの誰かが定めた決まりに基づく便宜的な区別にすぎない。「仲間」というのが、それらをはるかに超越する意識であることを教えてくれました。それはこの島国日本において、ほとんど革命的ともいえる出来事なんじゃないかという気さえします。


このW杯で引退すると明言していたトンプソン。長年日本のラグビーを支えてきた大功労者であり、チーム屈指の人気選手。昨日の敗戦後のインタビューでアナウンサーが「今日で最後になりますね?」と質問しながら、その声がすでに感極まって震えている。アンタが先に泣いてるやん!とツッコミながらぼくも泣きました。彼が愛される理由は、体を張った献身的なプレーと、表情や言葉からにじみ出る仲間想いの優しさ。そりゃ少しは「外国人なのに」日本を愛してくれている、という理由だって混じっているかもしれない。でもとにかく、同じゴールを目指して戦っている選手たちを、どの国の出身とか関係なく心の底から応援した。それが日本の歴史上でも例がないと言っていいほど、すごく貴重で重要な経験だったんじゃないでしょうか。歴史のことなんてよく知らずに書いてますけど。


残るは3位決定戦もあわせて4試合。結果的には順当に優勝候補が勝ち上がっています。これまでの戦いを見る限りではニュージーランドが頭一つ抜けて強いと見えますが、昨日の南アフリカは、強豪国が決勝トーナメントに入ってからもう一段上がる「ギア」を持っていることを教えてくれました。これも日本代表が見せてくれた「新しい世界」のひとつ。どこが優勝してもおかしくないベスト4。強豪国が強豪国たる所以を存分に見せてくれる戦いを注目したいと思います。

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