第10回 ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドとは、アメリカの財務アナリストであるジョン=ボリンジャーが考案したインジケーターのことです。
移動平均を中心として、その上下には統計学を用いて計算された標準偏差を表示します。

インジケーターとは、状態や状況を示す目印や信号のことです。
例えばITの分野では、コンピュータや通信機器などの筐体側面などに備え付けられている、内部の装置の状態や状況を示す小さなLEDランプなどのことを指すことが多いです。
ノートパソコンが立ち上がらないなどのトラブルに遭遇した時は、側面の電源部分のLEDランプを確認した人もいるでしょう。
つまりユーザーは、インジケーターを通して、普段は見ることが出来ない内部の状況を知ることが出来るという訳です。
因みに、ノートパソコン側面の電源部分の傍にあるLEDランプは、点滅の仕方で不良個所教えてくれます。

これと同じようにボリンジャーバンドは、動きが良く分からない相場の状況について、投資家がその状況を掴みやすくなるために使われるものです。
ですから通常、ボリンジャーバンドは、チャートと共に描かれます。

ボリンジャーバンドのチャートを見たいときは、ググって貰えれば色々と出てきます。
代表的なものは、下記リンク先かと思います。
https://kabutan.jp/stock/chart?code=0000

ボリンジャーバンドは、基準線の他に±1σ線、±2σ線、場合によっては±3σ線まで描かれます。
私は、±2σ線までを使用します。
この±σ線が、標準偏差になります。
多くの人が、数Ⅲの確率・統計と聞けば、嫌な顔をするでしょう。
数学は出来ても、確率・統計は分からないという人が多いと思います。

そこで、標準偏差を偏差値に置き換えます。
これなら、受験を経験した人にとっては、多少なりとも馴染みがあるでしょうから、拒否反応は少ないと思います。

ボリンジャーバンド+1σが、偏差値で60になります。
ボリンジャーバンド-1σが、偏差値で40になります。
ボリンジャーバンド+2σが、偏差値で70になります。
ボリンジャーバンド-2σが、偏差値で30になります。

受験生の時に、偏差値60あるヤツは頭が良いと思っていませんでしたか!?
でも、偏差値70あるヤツは、頭が良いを通り越して、頭がオカシイと思っていませんでしたか!?
因みに、バカボンのパパは、IQ300の超天才だから、あんなふうなんだと言う設定らしいです。

これと同じことは、投資でも考えられる訳です。
つまり、ボリンジャーバンド+1σを超えてくる、つまり偏差値が60まで上昇してきたときは、「よしよし、このまま頑張ろう」となり、強気になります。
ところが、ボリンジャーバンド+2σを超えてくる、つまり偏差値が70を超えてくると、「ちょっと出来過ぎだよ、無理してないか!?」ということで、不安になります。
更に、ボリンジャーバンド+3σを超えてくる、つまり偏差値が80を超えてくると、「ヤバいでしょ、これ。」となって、誰もが関わり合いたくなくなる訳です。
つまり投資では、+1σを超えてくると強気になり、+2σを超えてくると警戒し、+3σを超えると一旦手放すという訳です。

このボリンジャーバンドのチャートを見れば、拡大と縮小が交互に起こっていることが分かります。
これは易経で言うところの「陽極まれば陰に転じ、陰極まれば陽に転ずる」ということです。
陰陽を値動きと捉えれば、「値動きが大きくなり過ぎれば小さくなり、小さくなり過ぎれば大きくなる」ということです。
つまり、ボリンジャーバンドは、基準線がトレンドの方向性を示し、+1σや+2σの拡大、縮小の動きが、値動きの大きさを示しているのです。

実は、この点こそが、ボリンジャーバンドでは大きな意味を持っています。
と言うのも、値動きが大きいと言うことは、以前に書いた通り、リスクやリターンが高い状況だと言うことになります。
同じ銘柄でも、リスクマネジメントする上では、値動きが小さいときと、大きいときでは、扱いを異にしなければならないのです。
値動きが小さければ、ある意味、リスクヘッジは必要ないと思います。
ところが、値動きが大きいときは、必ずリスクヘッジしなければなりません。
同じ銘柄でも、タイミングによっては考え方を変えなければならないのです。

最後に、ボリンジャーバンドの確率について書いておきます。
ボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率は、約68.3%です。
ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率は、約95.4%です。
ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率は、約99.7%です。
つまり、±3σを超える確率は0.3%であり、連続して超え続けることはあり得ないと考えた方が良いくらいの確率になるのです。

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