第5回 日経平均

日経平均とは、日経平均株価のことです。
日経平均株価とは、日本経済新聞社が、東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定した225銘柄から構成される平均株価のことです。
日本の株式市場の大きな動きを把握する際の代表的な指標とされています。
投資信託や先物取引などの派生商品にも利用されています。
また、225銘柄であることから、日経225とも呼ばれます。

この日経平均ですが、先日までの最高値は1989(平成元)年12月29日に記録した38,957円44銭で、終値では38,915円87銭です。
この値を令和6年2月22日(木)に39,098円68銭まで上昇し、34年ぶりに更新しました。
その後、3月21日(木)には史上最高値の40,815円66銭を付けて現在に至っています。
バブルの高値を超えたことで、再びバブル到来のように言われたりしていますが、実際にはそうではありません。

例えば、株式価値の指標にPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)というものがあります。
PER(株価収益率)は、株価を1株当たりの純利益で割ったものです。
PBR(株価純資産倍率)は、株価を1株当たりの純資産で割ったものです。
どちらも、数値が小さい方が割安という評価になります。
このPER(株価収益率)が、バブル期では60倍超に対して、現在は20倍程度。
PBR(株価純資産倍率)は、バブル期では5倍超に対して、現在は1.2倍程度です。
つまり、日経平均の値としてはバブル期の高値を超えているのですが、その値を形作っている企業の業績は大きく上昇し、割高という水準に達していないことがわかります。
つまり、バブルではないということです。

もし、今の企業の業績をバブル期の値に当てはめれば、PER(株価収益率)は3倍にしなければならないので、日経平均は12万円、PBR(株価純資産倍率)4倍にしなければならないので、日経平均は16万円。
ということで、今の企業業績なら日経平均が14万円前後まで上昇したら、バブルと言えることになるわけです。
今の日経平均が騰がり過ぎではないことが、ここで分かって頂けたと思います。

そこでこの日経平均ですが、実のところ株式市場の動きを知るためのもの以外に余り意味を持っていません。
強いて意味を探すとするなら、次に説明するTOPIXとの比較くらいです。
TOPIXは東京市場に上場している中心銘柄が構成銘柄として組成されている指数です。
これに対して日経平均は、日本経済新聞社が選んだ代表的な225社で組成されているので、製造業、その中でも特に輸出産業の比率が高いものになっています。
鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄がこれに該当します。
最近では、半導体や自動車なんかも含まれるようになっています。
だから日経平均は、TOPIXに比べて景気敏感色が強いものになっていると言えます。

ここで、景気敏感色と書きましたが、景気敏感とは景気の変動に対して敏感に反応して動くという意味です。
対義語として景気鈍感と言われてそうですが、実際は言われずにディフェンシヴと言われています。
それなら景気敏感はオフェンシヴかと思われそうですが、それも言われていません。
実際のところ、この辺りの用語は慣用的に用いられてきたので、景気敏感株、ディフェンシヴ株と呼ばれても、景気鈍感株、オフェンシヴ株とは呼ばれないのです。

景気敏感色が強いということは、景気動向に比例して大きく動くということを意味しています。
好景気になれば良く上がり、不景気になれば良く下がるということです。
最近、日経平均が4万円を抜けたのは、半導体を中心とした企業の株が買われているからです。
買われているというのは、その企業の業績が伸びるだろうと投資家が予想しているからです。
つまり、多くの投資家は、ここから景気は更に良くなると考えているということになります。

今、日本はゼロ金利を解除しました。
この解除は、実際のところ賛否両論があります。
日銀は、日経平均が4万円を超えて将来的な景気の過熱を先取りする形で解除しました。
ところが今は、景気に過熱感は全くありません。
やっと物価高目標の2%を達成できるとなったところです。
この物価高目標の2%は、ゼロ金利で達成できたものです。
つまり、ゼロ金利を解除することは、物価高目標にマイナスの効果を与えることになるのですから、良いことだとは言い切れません。
もしかしたら、景気の腰折れを起こさせてしまう可能性すらあります。
ですので、ここからの景気動向の予想はさらに難しくなると思います。

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