アニメのビジネスモデルの整理(4)
前回は、製作委員会方式の長所・短所について説明しました。
さらに、アニメ制作会社にとっては多少苦しくても、現状アニメ産業全体としては製作委員会方式が合理的であると言う話もしましたね。
そこで、今回は製作委員会方式も含めたアニメ産業の構造についてよく話題になるアレコレについて閑話として改めて考えてみます。
DVD & Blu-rayの販売モデルがダメ?
これは、深夜アニメの場合に多いコア・ビデオ型の作品で言われることが多いと思います。
製作委員会方式では作品の二次利用で制作費を回収して利益を出す訳ですが、深夜アニメの場合は、メインの回収方法がDVDとBlu-rayに依存していることにより生じる問題のことです。
つまり、ただでさえ視聴者層がコアな深夜アニメにおいて、単価の高い
DVD&Blu-rayを顧客に買って貰わなければ事業が成り立たないという不安定なビジネスモデルについての問題提起なのですね。※
事実、人口減少やそもそも映像作品を買う層の減少がこの問題に拍車をかけているようです。(深夜アニメは内容がコアな傾向なので海外受けもしない)
※補足:SHIROBAKOの1巻の場合は、3話収録と特典込みで定価は7800円。ファンでないと中々手が出ない。(私はBD全巻買いました!皆買おう)
では、DVD&Blu-ray以外も売れば?と思われるかもしれません。
確かに日朝に放映されるプリキュアやポケモンなどのマスヒットを狙える作品はともかく、グッズの利益率を考えると深夜アニメでは難しいようです。
アニメの原作を買っても続編が製作されない?
これはかつて私も疑問でした。
アニメが話題となり原作が大変よく売れたにも関わらず、続編が作られる気配がない類のものです。
この理由は、上図を見てもらうと分かりやすいかと思います。
つまり、原作の著作権は基本的に出版社あるので、原作の売り上げはあくまで出版社のものなのです。
間接的にアニメのおかげで原作が売れたとしても、その収益をアニメの製作委員会に還元する義務はありません。
ですから、製作委員会の他のメンバーにとっては、原作のみが売れても赤字となるのでアニメの続編が製作されない訳です。
ただし、上図のように出版社自身も製作委員会のメンバーであれば、出版社が出資比率を高めることで続編が作られることはあるようです。
配信ビジネスは希望となる?
これは、従来のテレビ放送からのDVD&Blu-ray販売ではなく、NetflixやHuluといった定額の動画配信サービス上でアニメを配信するという話です。
Netflixの日本上陸でアニメビジネスも変わる? ローカルコンテンツ戦略を訊く
これについては、発言者の立場によって意味が変わるので一概に希望となるかはわかりません。
アニメ制作会社にとって良いことなのか、製作委員会のメンバーにとって良いことなのか…
動画配信サービスを使ったビジネスモデルの希望と、ちょっと横に置いてしまっていたアニメ制作会社の苦境脱出についてのビジネスモデルの再考は、
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