アニメのビジネスモデルの整理(3)
前回は、現在のアニメは製作委員会方式で作られるものが主流であり、
この方式の場合はアニメ制作会社に著作権が残らないので、多くのアニメ制作現場にとっては苦しい状況であるという話までしました。
では、なぜ多くのアニメが製作委員会方式を採用するのでしょうか?
製作委員会方式のメリット
まず、製作委員会方式のメリットとして以下の2つを説明します。
1.資金調達のし易さ&リスクの分散
2.作品の二次利用時の相乗効果
「1.資金調達のし易さ&リスクの分散」は、
製作委員会方式の最大のメリットと言えるでしょう。
アニメ製作には多額のお金が必要となります。
<アニメの制作費用ってどの位?200万から157億円まで様々>によれば、30分アニメ1話あたり最低2000万円ほど必要なようです。
つまり、1クール(13話)のアニメの場合は、製作に必要な資金は2億円を超えるのです。
この多額の資金を1社で賄うことは大変ですが、複数の会社で出し合えば1社あたりの出資額が減るわけです。
また同時に、アニメ関連の商品が売れなかった場合の損失も各社に分散されるため、リスクを抑えることに繋がります。
広告収入方式が主流の時代に比べて、アニメの製作本数が増えたのは製作委員会方式のおかげだとも言われています。
2つめのメリットである「2.作品の二次利用時の相乗効果」は、
製作委員会が複数の業態の会社で構成されることにより生じるメリットです。
製作委員会のメンバーには、放送局・映画会社・制作プロダクション・広告代理店・商社・出版社・新聞社・レコード会社・ビデオソフト制作会社など様々な会社が挙げられます。
つまり、アニメ作品を商品展開する際には、各社の強みを活かし販売の相乗効果が狙えるわけです。
このような2つの理由から、多くのアニメ製作において製作委員会方式が採用されていると言えるわけですね。
製作委員会方式のデメリット
では、製作委員会方式にデメリットは無いのでしょうか?
考えられるものとして以下の2つが考えられます。
1.権利・利害関係が複雑になる
2.作品が無難なものになる傾向がある
「1.権利・利害関係が複雑になる」というのは、複数社で集まるメリットの裏返しです。
各社とも自社の立場や利益を確保しなければならないため、その調整でアニメ製作における業務の負担が大きくなるという訳です。
次の「2.作品が無難なものになる傾向がある」も、複数社ならではのデメリットです。
各社の意見を調整していくと、どうしても万人受けをする内容の作品をつくることを求められるため、俗に言う量産型のアニメになりがちなのですね。
製作委員会方式のまとめ
このようにメリット・デメリット共にありつつも、多くのアニメが製作委員会方式を採るのは、現状では関係各社にとってトータルではメリットの方が大きいということでしょう。
つまり、アニメ制作会社にとっては今の製作委員会方式は資金的に苦しいが、出資側にとっては製作委員会方式の方が都合が良いので、多くのアニメは製作委員会方式を採用するということになります。
ということで今回はここまで。
じゃあ、ずっとアニメ制作会社は苦しいままなの!?
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