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働くことを考える―なぜ働くのか―

※学級通信「挑戦者」vol.166(2015年2月12日発行)、vol.167(2015年2月13日発行)、vol.168(2015年2月16日発行)の連載記事を一つにまとめたものです。

誰しも仕事に就くもんだって思ってるけど…

 新聞やニュースを見ていると、「生きる力」をつけるとか「キャリア教育」とかって言葉がよく聞かれているのだけど、その先にある「働くこと」ってのが何者なのかって話はあまり語られないことが多い。進路について考える2月。仕事を知るのと併せて、そもそも人間はどうして働くのか――その意義と働き続けるために必要なことが何なのかを考えてみて欲しい。
 友達をはじめ多くの同世代が高校に進学するから、自分も進学するんだぐらいの気持ちで、働き始めるときっとしんどい。まずは自分の頭で考えてみましょう。

 「人はなぜ働くのか」という問いに悩むようになったのは、ここ数十年ぐらいの話の模様。日本人、もっと言えば人類は、地球上に誕生してからずっと貧しい状態が続いていて、働かなければ生きていけなかったし、親の仕事を引き継いで自分の仕事とすることが多かったので、職業選択に迷うということは無かった。「働かない(普通でない働き方をする)」とか「親のしている仕事以外の仕事をする」という自由が無かったがために、悩まずに済んでいた。それが、産業革命・緑の革命・情報技術革命……によって爆発的に人間の生活は豊かになった。そして、「働く」ということの形も多様化してきた。
 そんな昨今、「なぜ働くのか」の問いに対する考え方として、次の3つの視点から考えることが多い模様。

 ①経済的自立のため
 ②人間的な成長のため
 ③社会参加・社会貢献のため

①経済的自立のため

 私たちが生活する社会は、基本的に自己責任を原則としている。子どもの時代は親によって育てられ、守られるが、「大人」になって自分のリスクで生きるためには経済力が不可欠(経済的自立)。結婚したり、子育てしたり、パートナーと一緒に暮らしたりするのにも一定の経済力が必要となる。この経済力をつけること(経済的自立)が働くことの最も基本的な目的といわれている。その点からは、働きに見合った賃金の額が重要となる。働きに対して低すぎる賃金では、経済的自立は難しくなる。昨今話題の、たくさん働いているのに賃金が前々もらえず、貧しい状態にあるワーキングプアは、本人にとっても社会的にも大きな問題。

②人間的な成長のため

 働くには、仕事の仕方について、上司の指示に従うと同時に自分で工夫をし、同僚と共同して作業を遂行する必要がある。その中で、一定の強制を受けて(決められた事を指示されるなどして)継続して働くことによって、他人に対する配慮と自分を見つめることが多くなり、それだけ自己成長につながるチャンスが増える。また、自分の意思を適切に伝え、相手の意向を理解するコミュニケーション能力も身につく。とうよりも、身につかなければ働き続けることは困難。とりわけ、職場には異なった年齢層や価値観をもった人がいるので、異年齢層や別の価値観を持った人との関わり合いの中で、自分自身がより人間的に魅力的な人に成長していくことができる。これは学校や友人関係だけで獲得することはなかなか難しい。けど、一応学校出だって少しはそれに向けた練習ができているんだけどな……。わかってるかな……。

③社会参加・社会貢献のため

 働くことは他人や社会のニーズに関連してくる。例えば、物を販売する仕事は、その生産、流通、宣伝販売等の仕事と密接に連動している。それで社会的に“つながり” が形成されて国の経済が展開する。よく仕事をしていて嬉しかったこととして、お客さんに感謝されたことがあげられる。社会の他の誰かの役に立つというのも社会参加(貢献)の一つ。

◆◇◆◇

 1年生の終わりに向かう2月。学年末の諸々(入試とか会議とか)で午前授業が多くなる時期なので、まとまった時間を使って進路について考えを巡らせてほしいなと思って始めた進路系連載の一部です。職業紹介から始めた野ですが、そもそも論としての「はたらくとは?」も考えて見て欲しいなと思い立って始めた連載でした。

 自身の文章での3連載の後は、『日本一の給食』(佐々木十美・学研)の本文を紹介する4連載をしました。見出しだけご紹介すると、

・失敗も大事な経験
・ゆるぎない思いでやり通す
・後悔は役に立つ
・あらゆる努力をしてみる

でした。気になる方は、『日本一の給食』(佐々木十美・学研)を読んでみてください。すでに廃版のようでAmazonなどで新品はないようですが、お近くの図書館などには蔵書があるのではないかと(道立図書館にはあるようですし、斉藤の手元にも1冊あるのでお近くの方はお貸しできます)......。


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