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ガロとナゴムレコード/りゅう@うつぬけライターさんのご紹介

YouTubeやブログを通じて、誰もが情報発信出来る時代だ。「うっせぇわ」のヒットに見るまでもなく、無名のクリエイターにとって、随分、チャンスの幅が増えている。note経由で書籍が出版されるのも同じ流れである。

では、YouTube以前にヒットしたクリエイター達は、今の時代であれば、昔よりも簡単にブレイク出来ていたのか?そうは思わない。クリエイターとしての能力は素晴らしくても、プロデューサーとしての能力が足りないからである。

今、YouTuberとしてブレイクするためには、モノを作り出すクリエイターとしての能力、モノを売り出すプロデューサーとしての能力の両方に長けていなければならない。製販兼業である。経験豊富な芸能人やそのスタッフも参入するYouTube上で伍していくのは並大抵なことではないのだ。

メインストリームでは、今でも秋元康や少年ジャンプの集英社がプロデューサーの役割を果たし、クリエイターとの分業が続いているが、昔はインディーズ(独立系)でもそうであった。

インディーズでプロデューサーの役割を果たしてきたのは、例えば、ナゴムレコードのケラや、ガロの長井勝一である。ネットのない時代に無名のクリエイターを発掘し、彼らに不足するプロデュース能力を補い、メインストリームとの架け橋となってきたのである。

ガロなしに、つげ義春はなかったし、ナゴムレコードなしに、"たま"はなかった。つげ義春は「ねじ式」等で知られる伝説の漫画家、たまは「さよなら人類」などで知られる伝説のバンドである。もしかすると、白土三平や水木しげるや電気グルーヴさえなかったかもしれない。

下北沢の小劇場や、京阪神のライブハウスも同様の役割を果たしていた。あの小屋の目利きにかなった劇団、バンドなら間違いない、ということになっていた。今も、キュレーションという言葉があるにはあるが、やや軽薄だ。発掘、目利きとは少し違う。

さて、前置きが長くなったが、先日、私の記事を紹介してくださった、りゅう@うつぬけライターさん(以下りゅうさん)は、noteにおいて、ガロやナゴムレコードの役割を果たしてくれていると思う。プロフィールページ「シンプルな自己紹介」(下にリンク)でさえ、自分の歴史や人となりではなく、りゅうさんが好きなnoterさんの紹介ページになっているほどだ。

私の記事が紹介されたからというのではないが、これをやるには、相当の目利き力、noteの場合には読解力と筆力が必要になる。面白くないものを紹介すると、自分の信用に関わるからだ。りゅうさんの記事を読んでもらうとわかるが、批評力がすごい。しっかり読み込んでいないと、踏み込めないことがたくさん書いてある。

YouTube、noteの時代でも、誰しもがクリエイター兼プロデューサーをやれる訳ではない。プロデュース能力は足りないが、優秀なクリエイターというのもたくさんいるはず。そこにスポットライトを当ててくれるりゅうさんは、不器用なクリエイターにとっても、面白いコンテンツを探す読者にとっても、有益なプロデューサーなのである。

ヘッダーは宮川電卓さんの、電気グルーヴのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。




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