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市販のルーを使わない理想のビーフカレーへの道 〜カレールーの手間について考える編

やあ、みんな。ケイチェルおじだよ。

男性がハマる料理の代表格と言えばカレー。おいたんも例に漏れず、noteでこれまで暑苦しい記事を書いてきたわけだが。

「焦がしターメリック」の技法を使ってカレーの苦味問題を解決した後は、いよいよ市販のカレールーを使わずに美味しいカレーを作れるようになりたいと思うようになった。

「市販ルーを使わないカレー」と言っても、いわゆるスパイスカレーやインドカレーではない。インドカレーならこれまで何度も作ってるしね。ここで問題にしてるのは、小麦粉でトロミをつけたれっきとした「洋食のカレー」だ。できることならレストランやホテルで出てきそうなビーフカレーに近い物を作りたいわけだよ(「欧風カレー」と言ってもいいけど、もっと広い意味での洋食カレー、あの名前の分からない銀の器にルーだけ盛られてそうなイメージのカレー全般を指すことにする)。

前に焦がしターメリックの技法でジャワカレー辛口を使ったやつはかなりいい線行ってたんだけどね。てか、市販のルーを使っても美味しいカレーは作れると思う。バーモントカレーもゴールデンカレーもジャワカレーもディナーカレーも、それぞれめっちゃ美味しい。こくまろカレーは食べたことないから知らん。

しかしだ、我々はなぜ(インドカレーやスパイスカレーではない)カレーを家庭で作るときに市販のルーを使ってしまうのだろう?あのルーがないとカレーはできないというのだろうか?

他の料理、例えば麻婆豆腐であれば、クックドゥの麻婆豆腐の素を使えば簡単に美味しい麻婆豆腐はできる。クックドゥの素ってのは、我々が豆板醤・甜麺醤・醤油・顆粒ガラスープ・水溶き片栗粉などを準備する手間や、ニンニクと生姜をすりおろす手間を省いてくれるわけだ。だけど多くの料理好きな人は市販の素に頼らず、これらの手間を引き受けて自分で作ろうとするでしょう?

じゃあ、市販のカレールーが省いてくれる手間って、一体何なんだろう?

結論から言うと、それは単に「バターで小麦粉とカレー粉を炒める手間」を省いているだけに過ぎないのだよ。

もちろん、バターで小麦粉とカレー粉を炒めても市販のカレールーと同じ物にはならない。そして、「カレーは箱書き通りに作るのが一番美味しい」という巷の説を信じ、それを実践している人にとっては、市販のルーというのはかなり多くの手間を省いてくれているのは間違いない。

しかし箱書き通りのカレーに満足せず、やれ追加のスパイスだ赤ワインだ隠し味にコーヒーだのチョコレートだのを入れ、さらに飴色玉ねぎを作ったりリンゴをすりおろしたり肉を柔らかくするために圧力鍋で煮込んだりしてる人たちにとっては、市販ルーが省いてくれる手間というのは本当に「バターで小麦粉とカレー粉を炒めること」だけなのだよ。

ちょっと何を言ってるのか分からない?

少し話を変えよう。おいたんが市販ルーを使わないカレーを作りたいと思ったのは、別にそれらが嫌いだからではなく(むしろ大好きだ)、原材料がいかがわしいと思ってるからでもなく、何でも手作りする丁寧な生活を目指してるからでもない。単に、一人暮らしの人間にとってはあの1箱(8〜12皿ぶん)が多すぎるからだ。一度箱を開けたら何か月も冷蔵庫のなかに固形ルーが鎮座する呪縛から解放されたい。その一点につきる。

しかし実際に作ってみたら、期待以上のものが出来上がったのよ。そして、市販ルーを使わないほうが圧倒的に簡単にレストランで出てくるような洋食カレーに近づけるという確信を持つに至った。これは全くの盲点で、今までジャワカレーやゴールデンカレーを使って、それにコーヒーを足したりチャツネを足したり飴色玉ねぎを作ったり、それでもお店のようなカレーができない…と感じてた人はぜひ一度試してみて欲しい。あなたがかけている手間にもう一手間、「バターで小麦粉とカレー粉を炒める」という手間を加えるだけで、理想のカレーができるかもしれない。

と、まるで世紀の大発見をしたかのように書いているけども、実はそんなに大したことじゃない。というのも、おいたんが今回のカレーの作り方を思いついたのは、1か月ほど前にリュウジお兄さんレシピのハヤシライスを作った後なのね。

↑このハヤシライスというのが、味のベースはケチャップとウスターソースとコンソメだけなのにかなり美味しくて、もしかしてこれにカレー粉足せば洋食カレーになるんじゃね?って思ったわけ。

前に一度、インドカレーに小麦粉でトロミをつけたようなルーカレーを作ったときに、全然コレジャナイ感があって、「インドカレー(スパイスカレー)と洋食のルーカレーは似て非なる物」という認識を持ったのだけど、このハヤシライスのような旨味がインドカレーにはないのではないか、と思ったわけ。

それで調べてみたら、世の中には小麦粉からカレールーを作ってる人はいっぱいいて、「小麦粉+カレー粉+ケチャップ+ウスターソース+コンソメ」が自家製カレールーの基本だということを初めて知った。おそらくこのnoteでも、飲食関係のプロや元プロの方ならすでにご存知だったんじゃなかろうか。それでも世間にはあんまり広まってなさそうなので、おいたんなりの作り方をご紹介しよう。

基本的にはリュウジさんのハヤシライス+カレー粉なんだけど、肉を柔らかく煮込む必要のあるカレー用に調理手順を変えました。

というわけで材料はこちら。

<市販ルーを使わない理想のビーフカレー:2皿ぶん>
牛すね肉:好きなだけ
玉ねぎ:1/2個
ターメリック:小さじ1(お好みで)
マッシュルーム:4個(すりおろす)
ニンニク&生姜:1かけずつ(すりおろす)
ケチャップ:大さじ3
ウスターソース:大さじ2
赤ワイン:150cc
水:250cc
顆粒コンソメ:大さじ1(味噌でも代用できるかも)
バター:20g
薄力粉:大さじ2
カレー粉(S&B赤缶):小さじ4
ブラックペッパーパウダー:小さじ1/2
カイエンペッパー:お好みで(小さじ1/2で辛口レベル)
ガラムマサラ:お好みで(小さじ1/2くらいを推奨)

まずはフライパンで、塩コショウした肉の表面がコンガリするように焼きます。

肉を焼いてるあいだに玉ねぎをスライスしましょう。

肉の表面が焼けたら圧力鍋に取り出し、同じフライパンで飴色玉ねぎを作ります(圧力鍋使うので飴色にする必要はないかもしれない)。

玉ねぎを炒めてるあいだにニンニク・生姜・マッシュルームをすりおろしておきましょう。

焦がしターメリックにするのを忘れてた。ここでターメリック投入。でも今回は後でカレー粉を炒める工程があるので焦がしターメリックは不要かな。まあお好みで。
飴色玉ねぎができたらすりおろしたニンニク・生姜を入れてしばし炒めます。
次にケチャップ投入。ケチャップは酸味が飛ぶまでしっかり炒める。むせるような匂いが立ち上らなくなるまで。
赤ワイン投入。アルコールを飛ばす。
ウスターソース投入。
水を入れてコンソメ投入。
すりおろしたマッシュルーム投入。

ハヤシライスに入ってるマッシュルームは、カレーではすりおろすことにした。このとき自分の指をすりおろしそうになるから注意な。命懸けの作業だ。というのは言い過ぎで、すりおろしにくい部分は無理にすりおろさなくても雑でも構わない。どうせ圧力鍋で溶けるから。

圧力鍋に移して肉と一緒に30分加圧します!
加圧してるあいだにカレールーを作ります。熱したバターに小麦粉を大さじ2杯くらい。
カレーをあまり黒くしたくない人はこれくらいで止めてもいいです。
今回は黒っぽいカレーを作りたかったので、コーラ色になるまで炒めました。
いったん火を止めて、赤缶のカレー粉小さじ4投入。
ブラックペッパーパウダーとカイエンペッパーを小さじ半ずつ。辛いのが苦手な人はカイエンペッパーは入れなくてもいいけど、ブラックペッパーは入れよう。
再点火して香りが立つまで炒めます。これでカレールーの完成。
加圧が終わった鍋にルーを入れ、トロミがつくまで弱火で10分ほど煮ます。
最後に塩とガラムマサラで調味。ガラムマサラは小さじ1くらい入れた。 

できればいったん冷まして、食べる前に温め直すのが理想。だけどこの日は時間がなくてそのまま頂くことに。

やっぱり福神漬けは添えたい。
見て下さい、この本格的な色合い。

もう完全に市販のルーなんて全く歯が立たないレベルの本格カレー。ホテルやレストランで、あの名前が分からない銀の器に盛られてでてくるやつだよ。カイエンペッパーで辛さも自分好みにしてるし、おいたんの理想のカレーにかなり近づいたと言えよう。

このときは2皿ぶん作ったので、翌日に残りを食べたんだけど、丸1日寝かせたらさらに味に深みが加わって、ますます美味しいカレーになってた。家でこんなのができちゃっていいの!?っていう、ほぼほぼ理想のカレー。

「ほぼほぼ」と言うのは、まだ改良の余地はあって、若干甘味が強いかもしれない。ケチャップの量を減らすか、トマトペーストに変えてみるか。さらに、最初に肉を炒めるときにコリアンダーホールとかをテンパリングしてもいいかもしれない。

というわけで、普段カレーを作るのにいろいろ手間をかけてますという、そこのあなた。一度市販ルーを使うのをやめて、バターで小麦粉とカレー粉を炒めてみてはいかがかな?きっとあなたの理想のカレーへの道が開けることでしょう。

おわり。

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