【詩】さんづくり

線路が背骨のように行きわたったから、日本列島は立ち上がれるはずなんだけど、北海道の頸のところが、まだ座っていないのかな。四国と九州の脚と、沖縄諸島の尻尾じゃ、バランス取れないのかな。もしかしたら、寝ている事を選んだのかもしれない。石川県は何度も折れたし、鹿児島の先端を、大陸の角につけるから、諦めたのかもしれない。わたしは免許をもっていないのだけれど、運転する人は、自分のからだが車体まで広がるらしい。普通自動車第一種運転免許の発行で、自動的に拡張されるのかな。ポケモン図鑑が更新されるみたいに。春は寝ていたわたしの事も、この自然のからだで包んでくれているから、今度はわたしが、春のかたちを知りたい。枕の上を歩く羽虫。ナマクラになった荒風あれかぜ。調子外れのウグイスの声が、神様の位置から聞こえる。ケモノミチを歩く猫がいたら、見ないフリをしてください。
短歌のかたちって、きっと縦書き。パソコンの部屋の中で作っている時は、寝添ねそべってるから、夏の炬燵みたいだけど、一度立たせたらかく走りまわる。四歳男児みたいだ。お母さん、ありがとう。お父さんは、うん、まぁね。毛筆を使ってみると、芸術は汚す事だという事がよく分かる。詩人は言葉を吐く度に、豚のように汚す。なすられて、自然も、神様も、世界も、すがたがようやく見えてくるのに、人間は愛の為に、体を汚さない事が綺麗って思ってる。からだからかたちに、かたちからすがたに、変わる光が、今日もわたしの近くを、流れている。

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