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マンガの Netflix は現れるのか

コミック工学の学会に行ってきた。マンガのNetflixになるというキーワードがいろいろなところで聞かれたので、僕もひとこと言いたい。

Netflixは過去作品の稼働率を上げて収益化した。それはDVDレンタルで人気作品の在庫が足りないので、リコメンドエンジンを精緻に作り上げた結果だ。

Netflixが最初に侵食した市場は米国のブロックバスターが実店舗でカバーしていたDVDレンタルと有料ケーブルテレビ。マンガの場合は日本のマン喫とマンガレンタルかな。いずれにせよ、それでは市場規模が圧倒的に小さい。

だからNetflixのように、サブスク1億4000万アカウントをレバレッジにコンテンツ制作に参入していくシナリオがマンガでは描けない。だからマンガではNetflixのような視聴者への導管機能で儲けるプレーヤーより、伝統的に見えるかもしれないけどIP制作をイノベーションしていく方が大きい可能性があると思う。

過去作品で収益化しているといえばマンガではLINEマンガと発表されてないが、多分Kindle。膨大な過去のIPのアーカイブがある業界では、その稼働率をどう上げていくかという課題か常にあり、音楽でSpotifyがうまくやったのもそこ。彼らはプレイリストの作成に独自の科学を持ち込んだ。誰がヒット曲をヒットする前に紹介していたかなどのデータを利用したらしい。

僕らがマンガ新聞でやろうとしていた「1巻だけに対するマンガ大賞」も実はそういうことだったのだが、うまく趣旨が浸透していかなかった。

音楽では中抜きで制作者と消費者がダイレクトに繋がったのではなく、WEBならではの中間業者が出てきた。アグリゲーターやAWALのようなディストリビューター、サブミッションメディアなど。映像では導管企業がその機能を担ってる。さあマンガはどうなるのだろう。ここら辺、こんど話してみたい。

あと、明治大学の中村聡史さんの「コミック×行動科学」でネタバレの効果を定量化した研究も面白かった。。ネタバレしても結末まで読んだときの「面白さ」は変わらないけど、最後まで読もうという意欲を無くす人は4倍になるらしい。ブックウォーカーさんとebook Japan さんがAIを使ってマンガで何ができるかという研究の話もめっちゃ興味深かった。いろいろまだお話を聞いてみたい人がたくさんいた。

ところで、この本はメッチャ参考になったよ。


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